長官記者会見要旨(平成23年2月17日)

会見日時等

平成23年2月17日(木) 14時00分~14時15分
於:気象庁会見室

発言要旨

 初めに、新燃岳は、1月26日から本格的なマグマ噴火が始まりました。多量の火山灰等が放出される噴火活動でございまして、火口内には溶岩が噴出し、爆発的な噴火が繰り返されるという状況にございます。この火山活動につきましては、皆様ご存じのとおり、2月15日に火山噴火予知連絡会(以下「予知連」)が開催されまして、総合的な評価を頂いたところです。予知連の評価につきましては、地元気象台を通じて、県・市町等の防災関係機関にも直接説明するなど、丁寧な対応に努めているところでございます。また、火山の観測・研究を実施する機関が連携して、総合的な観測・評価を行えるよう予知連に「霧島山(新燃岳)総合観測班」を設置したところでございます。今後も気象庁自らも観測体制を強化し、火山活動の観測・監視を行い、噴火警報あるいは火山に関する情報の的確な発表に努めて参ります。さらには、現在雨が相当気になるわけですが、土石流や泥流に関係する気象情報、さらには上空の風に関係する情報といったものについて、地元自治体の要望を踏まえながら関係機関と調整の上、その解説や発表に万全を尽くしたいと考えております。特に本日は、夜遅くにかけて1時間最大雨量15ミリ、さらに18日の明け方までは24時間に50ミリという雨が見込まれますので、地元自治体等へ情報を提供し、警戒を呼び掛けているところでございます。
 次に、今年の冬の大雪でございますが、昨年末から寒気が日本付近に南下しやすい状況が続いており、数回に渡って強い冬型の気圧配置になりました。このため、各地で大雪となりまして、除雪中の事故などで多くの方々が亡くなられました。心よりお悔やみを申し上げます。気象庁としては、この間、大雪に関する警報、あるいは気象情報などを発表しております。引き続き的確な防災情報の発表に努めて参りたいと思います。特に、今後は気温が上昇するということでございますので、雪崩等に一層の注意が必要です。報道機関の方々の協力も得ながら地元気象台発表の情報を的確に提供していきたいと考えております。
 最後に、3月10日に、「津波防災シンポジウム」を開催いたします。これにつきましては、昨年2月末のチリ中部沿岸の地震による津波からまもなく1年ということでございますので、この時期をとらえて、津波防災シンポジウムを開催いたします。テーマとしましては、「津波警報!!そのときあなたは?」ということで気象庁講堂で開催いたします。シンポジウムは、東北大学の今村先生による基調講演のほか、津波の専門家、防災機関の担当者、また報道関係の方々をお迎えしまして、津波警報の一層適切な利活用について、そして的確な津波避難について、パネルディスカッションをお願いすることにしております。多くの方に参加いただきまして、津波からの避難の重要性について、一人ひとりが具体的に考えていただき、さらにそれを広く広めていただくということのきっかけになればと思ってございますので、よろしくお願いします。


主な質疑応答

Q 新燃岳の噴火ですけども、長官にとっては就任間もなくの出来事でしたけれども、改めてこれまでの気象庁の対応についての自己評価をお聞かせいただけますでしょうか。
A 新燃岳で警戒レベルを導入して初めてのレベル3の発表ということですが、現在の観測データを用い、予知連に協力いただいて、的確な発表が出来たのではないかとは考えています。ただ、初めての経験で、自治体の方、住民の方々との理解が若干違ったところも指摘されておりますので、警戒レベル等について十分理解いただけるように周知・広報に努めなければいけないと思っております。

Q 今のことに絡みますが、特に情報の発信の仕方、用語についての解釈にズレがあったなどして混乱を招いたと、予知連の藤井会長も苦言を呈していたということがあるんですが、それについてはどのようにお考えですか。
A いろいろあろうかとは思いますが、今回の経験を踏まえて、可能なものから改善していくということが重要ではないかと思っております。

Q 具体的な検討ですとか対応ですとか、そういうことはいかがですか。
A 現時点ではまだその段階には至っていないと思います。

Q 先ほどのお話に関連するんですけど、住民との理解に若干の差があったと、特に気象庁が想定している部分と初めての噴火の経験ということもあって、なかなか作業を現場でしながら、情報を伝える難しさがあったと思うんですけど、その辺のところをどういう風に改善すればいいのかビジョンのようなものはありますでしょうか。
A 具体的には、警戒レベル自体が入山規制あるいは避難というものを大きな前提として組み立てられているということと、実際には住民の方々は小さな噴石でもかなり不安、怖いというところもありますので、小さな噴石などの情報をどう住民にお知らせして、住民がどういう風に身を守るかというような注意事項を、今もいろいろとホームページ等を通じて、あるいは報道機関の協力を得て呼び掛けていますが、その辺を徹底していく必要があると思います。避難ということと、家に入ればほとんど被害を被ることはないということとは随分と違いますので、その辺の違いを丁寧に説明していくことが重要と思います。特に、現在、住民の方の関心がかなり高いということで、例えば16日に、霧島市で予知連による評価に関連して住民説明会をやったということでございますが、報道によると900名位が2回にわたって参加いただいたということでございます。可能な限り、その辺の違いを十分周知していくということが重要ではないかと思っております。

Q 例えば、電話ではなく面と向かって話せばよかったというような反省点はあるでしょうか。
A 実際、初期段階において、地方気象台からの接触というのは、今の段階に比べれば不十分な点もあったのでは、という気がいたします。現在では相当改善されておりますので、連携はさらに深まったのではないかと思っております。

Q 今後、多分皆さん心配だと思うんですけど、まず火山活動がどうなるかというところを伺うと、この間の予知連でも藤井会長が、観測体制を強化してマグマの動きをちゃんと調べなければいけないというお話をされていましたけれども、気象庁として今後どういう取り組みをしていくおつもりなんでしょうか。
A 基本的には予知連、藤井会長にご指導いただきながら観測網を強化して監視に努めていくことだと思います。さらに、総合的にそれらのデータを予知連の方にお諮りして、評価・見解をいただくということではないかと思っております。
 藤井会長の会見にもありましたとおり、やはり数か月単位でデータを見ていくという長期戦でございますので、しっかりと観測網を強化してデータを蓄積していくということが重要ではないかと思っております。

Q 今日も雨がこれから強く降るということで、土石流と泥流の心配があるかと思うんですが、例えば今後、雨の観測点を増やすとか、そういうご予定があると伺っているんですけど、スケジュールみたいなものはあるんでしょうか。
A 現在、宮崎地方気象台から、府県気象情報あるいは天気の情報を関係機関に土砂災害対策のため提供しています。観測点の強化ということについても、従前、有珠山あるいは三宅島で臨時の観測点を設けて極めて有効でしたから、臨時の観測点を設けてよりきめ細かな情報を発信していくということを現在検討中でございます。具体的な設置場所としては、現在3か所ほど考えておりますが、最終的な地元との調整をやっております。来週中には設置できるのでないかと思っているところでございます。調整段階ですので、いつからかというのは今は言えませんけども、可能な限り早期に決まり次第皆様方にもお知らせしたいと思っております。

Q それを予報にも活用するということでしょうか。
A そのとおりです。

Q 場所は宮崎県側でよろしいのでしょうか。
A 多量の降灰の地域、地元自治体の防災対策ということを考慮して、3点ほど現在設定作業中ということでございます。

Q 雨が予想される場合に、宮崎地方気象台から府県気象情報が出てますけれども、今後、警報の基準を下げるとか、あるいは運用の仕方を一部特別にするとか、そういった予定はあるのでしょうか。
A 現時点では基準がかなり低いということがありますので、それを警報に組み込んでしまうとあまりにも警報が頻発され、火山灰による土砂災害と通常の土砂災害に対する警報の区別がつきづらくなりますので、現在のように府県気象情報という形で運用していくと考えています。ただ、運用基準については、砂防部局の様々な調査も進むでしょうから、関係機関と連携しながら基準を順次変えていくということになろうかと思います。

Q 観測点を強化されるということで、冒頭でも長官から話がありましたけども、改めて、そういったものを通じてどういう風に取り組んでいきたいかというところお話しいただけますでしょうか。
A 実際の雨量基準等も具体的な雨の状況等によって時間を追って変化していくものと思いますので、それをしっかりとフォローして、情報を自治体の対策に使えるように常に見直していくということが重要ではないかなと思っております。
 特にこの1か月は政府の支援チームも入っており、政府は一体となって自治体を支援しておりますので、その中で地元の気象台がどういう情報を発信するかという整理が進んでいくと考えています。

Q 「東海地震観測情報」の名前が「東海地震に関連する調査情報」に変わりましたけど、長官ご自身のご感想はいかがでしょうか。
A 「観測情報」で混乱があったということで、それを受けて有識者を交えて検討いただいて「調査情報」になったということで、一般の方々もより分かりやすい情報名称になったと思います。今後は、十分周知をすることが重要かなと思っております。特に静岡県と関係する自治体には十分に周知に努めたいと思います。また、報道機関のご協力もよろしくお願いします。

Q 結果的に、あまり知らないとか、良く分かってないという人が多かったということで改善は図れそうでしょうか。
A 改善を図るように努力をしなくてはいけないということではないかと思います。


(以上)

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