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長官記者会見要旨(平成22年5月20日)

会見日時等

平成22年5月20日(木) 14時00分~14時30分
於:気象庁会見室

発言要旨

 6月1日は気象記念日です。気象庁では、気象業務のこの1年の動きや現状を防災機関や国民の皆様に紹介するために、「気象業務はいま」という冊子を例年この時期に発行しています。本年も「気象業務はいま2010」を発行します。
今年は特集としまして、「気象災害から身を守るために」というタイトルで、今月の27日から情報提供を開始する、市町村を対象とした気象警報・注意報と、竜巻や雷など局地的に発生する激しい気象現象についての短時間予測情報(ナウキャスト)を取り上げて、利用方法などと共にご紹介しております。

 さて、近年、非常に社会の変化がはやく、それに伴って極めて多くの情報が私たちの身の回りに溢れているように思います。そうなりますと、災害の記憶も瞬く間に過去のものになってしまうような気がします。「災害は忘れた頃にやって来る」という言葉を裏返すと、忘れた頃を作らない工夫が災害の予防には大事だと常々思っているところです。そういう意味で、報道関係の方々におかれましては、タイムリーな特集記事や番組を作られることが非常に多く、常々感心しているところです。折しも、沖縄・奄美は、5月の初めに梅雨に入りまして、これから集中豪雨の起こりやすいシーズンになろうかと思いますが、梅雨の季節の集中豪雨については、国民の皆様も、そういうことがあるんだろうなと思っておられると思います。今日、私が申し上げたいのは、2年前の平成20年の夏、局地的な大雨によりかなりの方がとても痛ましい形で犠牲になりました。だんだん暖かい季節になって、局地的な大雨の頻度が多くなってきますので、ぜひ、こういったことを思い出しておいて頂きたいと思いまして、お話させていただいたところです。
 気象庁としましても、今年の1月に、こういった局地的な大雨を含め、積乱雲に伴う激しい現象に対する備えをお願いする広報資料として、「竜巻・雷・強い雨(ナウキャストの利用と防災)」というリーフレットを発行しました。これはホームページからもご覧いただくことができ、竜巻や雷のナウキャストなども含めたリーフレットです。そのほかにも、これまで、降水ナウキャストの提供、さらには1年前になりますが、レーダの観測間隔を5分に縮めるという取り組みも行ってまいりました。積乱雲に伴う激しい現象に適切に対応していただき、気象情報の効果的な利用が進むように、私どもも防災講演会や出前講座等で周知広報に取り組んでまいりますので、報道機関の皆様方におかれましても、ご協力、ご支援の程いただければと思っております。


主な質疑応答

Q 市区町村ごとの警報がいよいよ来週からですか、改めてなんですけれども、これを受け取る側、自治体や住民に対して、どういうことを期待されるかとか、あるいは、メッセージみたいなものがありましたら、お願いしたいのですが。
A 市町村毎の警報は、平成16年の大雨災害を契機に準備してきた業務でございます。平成16年に起きた各地での様々な大雨による災害においては、まず、避難指示や勧告を出すための情報について、どこを対象に出されているのかが、市町村長さんたちに分かりにくい、それから、市町村名を名指しで言えば、住民の方々もご自身で正確に判断ができるのではないか、というようなご指摘が多くありました。そこから出発して、我々はいろいろな基盤整備を進めてきたところでございます。
 雨の予測技術は、すぐに格段に良くなるわけではありません。しかし、既存の予報技術を使って、たとえば、大雨による災害が起きる境目を決める方法(警報の基準値)の中に、土砂災害の危険性を示す土壌雨量指数というパラメータや、洪水や浸水などの危険性を示す流域雨量指数といったパラメータを開発し、それを市町村ごとに警報基準として設ける、というような取り組みを行ってきたところです。
 発表する情報自体も、いままでの細分区域の約380から、市町村となりますと1700を超える量になります。作業をする方、情報をお渡しする場合、あるいは情報をお受けになる方、そういうところ全部に非常に大きな影響が出るため慎重に作業を進める必要があり、長い準備期間をかけて、ようやくここへ到達することができたと思っております。
 私どもとしましては、少しでも地域名を絞り込んで、国民の皆様にご理解いただきやすいように情報を提供できる枠組みが、まずできたと思っております。予測技術は、これからまだ改善していくところが多々ございます。市町村毎の警報が運用されても、警報の発表対象となる地域があまり変わってないじゃないかというご指摘もあろうかと思いますが、まず、地域を明確にして情報を提供する枠組みを作り上げた、というところでございます。
たとえば現状では、二次細分区域のごく限られた地域が対象となるような場合でも、二次細分区域の全域を対象に大雨警報を出すわけですが、今の予測技術を用いても、必要のない地域を除いて限定的に警報が出せる枠組みができたわけですので、ご利用になる方々に、そういう意味でのメリットもあると思っています。
 住民の方々、あるいは防災関係の機関の方々にこの情報を使っていただいて、避難等の防災対応にいいタイミングで活用いただけることを期待しております。

Q 今のことに関連してなんですが、大変なご努力で、ここに至ったと思うのですが、これ、各自治体といいますか行政とかですね、そういったところから、具体的にこういう疑問点とか、あるいは、どういう使い方をしたらいいのかというような、疑問点がぶつけられるようなこととか、おありでしたでしょうか。
A 受け取られる側からみると、自分の市町村が名指しされているかどうかの違いですから、いままでと基本的には同じだと思いますので、そういう意味(どういう使い方をしたらいいかという意味)でのご意見は伺っていないように思います。

Q 私たちメディア側とすると、地震の震度と同じようにですね、非常に細分化されたメリット部分と、それから、ラジオ等の場合には、テロップなどがございませんで、さあどういう風にして、その紹介をしていこうか、警報・注意報などをですね、どうやって紹介していこうか、というふうに考えている最中なんですよ。その点きっと、おわかりいただけているのではないかと思いますが。
A テレビ、あるいはラジオ、特にテレビの例えば関東地域放送では市町村を羅列すると膨大な量になりかねないというご意見も頂いておりますし、ラジオだと放送時間に収まりきらない事態にもなりかねないと思われます。今やっております二次細分地域と同様の、市町村をまとめた名称も引き続き残したまま使いますので、例えば、時間や画面の制約がある場合には、そうした形での情報のご提供を行っていただいて結構ですと申し上げてまいりました。
 それから、ローカルメディア、例えばある地域だけをカバーするようなテレビとかラジオにとっては、特徴を出しやすい形の情報になっていると思われますので、そういうところにおかれては、おそらく市町村毎に発表する方向でご対応いただけていると思います。情報量が増えますので、カバーする範囲の広いところ、たとえば関東地域放送では、そう簡単ではないと思っております。市町村名をまとめた地域名称で放送していただき、それをご覧になってさらに詳しく情報が必要な方が、市町村単位での警報も掲示する予定の、私どものホームページや、国土交通省の防災情報提供センターによる携帯電話向けのサイトなどをご覧いただきたいと考えております。

Q 目的は、住民たちの被害が起きないようにと、あるいは、減災を目的としておりますので私たちも努力していきます。ありがとうございます。
A ありがとうございます。

Q いま、防災情報提供センターの携帯の話が出ましたけど、今後、この市町村警報を載せていくということで、ただ、あの情報は携帯を使っている人たちが取りに行かないと見られないものであって、例えば、山や川でキャンプやったりとか、バーベキューやっている人が、そういうことをしながら警報が出たかどうかというのを調べるというのは、なかなか難しいなと思うのです。これだけ携帯が普及してしまった今ですね、プッシュ型のメールサービス等にすればですね、もっと効果が上がると思うのですが、そういったことはお考えになることはないのでしょうか。
A  昨年行いました局地的な大雨の議論の中でも、たとえば、一部の市町村では、メールアドレスを登録すればそこから情報を流すプッシュ型のメールサービスや、ある地域内にいらっしゃる方全員にプッシュでメールが届くようなサービスを導入しておられるところもありますので、そういう地域・地域で工夫をしていただけるといいと思います。それから、民間気象事業者の中にプッシュ型のサービスを行っているところもあると伺っていますので、そういうようなところで、ニーズに応えていただいているのではないかと思っております。

Q ちょっと厳しい質問かもしれないですけど、民間事業者は当然利用料を取って、月々300円なりなんなり取ってやっていますが、防災情報提供センターは無料でやってますよね。確かに民業圧迫かもしれませんが、そういった意味を超えて国側として何かやっていく価値というのはないでしょうか。
A その点については、勉強させていただきたいなと思っているところです。国の仕事として出している情報でも、プッシュ型の情報提供まで国でやるべきかといった議論もする必要があると思います。勉強していきたいと思っております。

Q 情報量が端的に4倍くらいということでしたが、情報処理の面では特に何か懸念はありませんか。 A 現在当方では、試行を行っている中で、いろいろな、かなりの負荷をかけてテストをしているところでございまして、現時点では、当方のシステム内での処理に特段の問題はないと思っております。XMLという新しい形式を使う関係で、情報の量が相当多くはなっていると思いますが、現時点ではスムーズに機能していると思っております。

Q 先日、長官がですね、測候所の跡地の環境保全を訴えてる東北大の先生とお会いになられたと思うのですが、先生のご主張もいろいろあると思うのですが、その話を聞かれてですね、長官として、何か実際にその環境を保護しないといけないとか、なにか感じられることがあればお教えいただきたいのですが。
A 気象観測の環境は、これも長年の私たちの課題です。観測にはそれぞれ目的があろうかと思います。たとえば、防災上の非常に激しい現象をとらえて対応をとるための観測や、100年間などの長い期間での変化を忠実にとらえるための観測というものもあると思います。
 私どもとしましては、測候所の跡地について、露場の周りの広い敷地を観測環境だけのために維持するのは、なかなか難しいところがございます。長年の統計に耐えるかどうかについては、露場くらいの範囲を保持した上で、その周辺の環境をチェックして、大きな変化がないと思われる地点を抽出し、それをもって長い期間の変化を議論していくのが適当ではないかと思います。
 露場に草が茂っているとか、木が覆っているとかいう状態はまずいので、我々の点検サイクルの中で丁寧に対処したいと思います。一方、露場の周りのかなり広い範囲の環境になりますと、さまざまな問題をはらんでまいりますので、先生のご意見も伺いながら勉強しているというのが現在の状況です。

Q さっきの質問にも関連するのですが、雷ナウキャストとか竜巻のナウキャストとか、いろいろ発信されてる情報というのが、割と、個人がそこで見て使えるというか、そちらの方が意味があるのかなぁという感じの情報を、だんだん作っている感じがするのですけれども、メールとまでは言わなくても、たとえば気象庁のホームページを携帯で見られるように、携帯用にするとか、その辺はそんなに時間も費用もかからないのではないかと思うのですが、せめて、その辺の発信の仕方を早急に考えるというようなお考えは今のところないということでしょうか。
A 一方で、スマートフォンという割と簡単にパソコン向けのウェブサイトが見られるものも急速に普及してきていますから、そういう現状も考えて、今まさに考えているという段階です。すぐに積極的にそちらの方に踏み出すかについては、まだ、決まっていません。報道機関の皆様からご覧になると、携帯向けのコンテンツのような環境を、国自ら早く整えるべきだと思われますか?

Q いつもご説明いただくと、長官も先ほどおっしゃった様に、民間事業者がやっているというお話で、気象庁が出す情報に民間事業者が付加価値を付けて発信するものに対して、利用者が選択してお金を払うというのは、当然あっても良いと思うのですけれども、気象庁が出している情報を家でパソコンでただで見られるものを、外でも見られるようにするというのは、これは、ごくあたり前というか、むしろ、それをやらないというのは、言葉は悪いですけど、片手落ちみたいなことになっているのではないかなという風にみているのですが。
A 恐らく、情報入手方法についての世の中の水準がずっと変わってきたために、そういうご質問、ご発言があるのかなと思っております。私どもの情報提供は、そもそも非常にレベルの低い形での提供しかなかった時代から、インターネットがこれほど普及すると、ホームページが第一標準になってきました。その次は、携帯の爆発的な普及があって、最低限ここまではやるべしという基準が、どんどん変わってきているのかなということを実感しておりますので、勉強してまいりたいと思っております。


(以上)

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