長官記者会見要旨(平成21年12月17日)

会見日時等

平成21年12月17日(木) 14時00分~14時40分
於:気象庁会見室

発言要旨

 前回の会見の冒頭で申し上げましたように、12月1日に緊急地震速報の講演会と訓練を行いました。講演会には約300名の方にお越しいただきまして、なかなか面白かったと概ね好評でございました。報道機関の皆様方にも様々に事前にPRして頂きまして、これだけの方にお越し頂けたのではないかと思っております。本当にどうもありがとうございました。

 それから12月1日の訓練でございますが、訓練報を今までは国とか自治体など、かなり限定して流すという形でやって来ましたけれども、今回初めて一部の家庭や事業所等のいわゆる専用端末と呼ばれているものにも配信するという一歩進めた形の訓練を実施しました。
中央省庁、地方公共団体の参加に加え、35の配信事業者を通じて約8000箇所の専用受信端末に訓練報を配信するという訓練ができました。ご協力いただいた方々にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
 訓練の成果でございますが、まだ取りまとめ中あるいは調査中の部分もございますので、最終版ではありませんが、「緊急地震速報を見聞きした時にどんな対応をとったらいいかある程度わかった」、「実際に端末が動作することが確認できる」、「訓練の必要性を認識した」などのコメントを頂いています。
 一方、一昨日報道発表させていただきましたが、事前の周知不足により訓練報で福岡市の地下鉄が一時停止するということがございました。
 そういったことを踏まえまして、今回の訓練の課題についてまとめなくてはならないと考えておりますが、非常に限られた方のご意見・反応しか把握しておりませんので、もう少し範囲を広げて調査することを考えております。
 ただ、現時点におきましても、例えば訓練報を区別できない端末が存在すると訓練がなかなかやりづらいものですから、これをどう考えていくかという課題が出ています。
 また、配信事業者の中に、訓練報だったら伝達しないとか、あるいは訓練報をこの人には渡すけどこの人には渡さないとか、色々工夫していらっしゃる事業者や、きめ細かく設定することが原理的に難しい仕組みの事業者もありますので、そういうような方々がいるという前提のもとで訓練をどのようにやっていくのかということが課題だと思います。
 また、訓練報をどういう形で利用しているのか、ということをもう少し調べておく必要があると思われます。
 それから、利用者への訓練実施の周知も重要な課題です。現時点においても、少なくともこれぐらいの課題があがっています。訓練には、私たちのみならず、配信事業者、実際にご利用になる方、多方面の方が関係しているので、そういった方々や、問題を客観的に見られるような有識者の方々のご意見を聞きながら、今後もう少しうまく訓練ができないかを考えていきたいと思っています。
 やはりこういう訓練という形で皆様に情報に触れて頂くようにすると、少しでも理解が深まります。緊急地震速報を初めて聞くのは、本当に事が起きた時だということでは、ちょっと対応がとりづらいと思いますので、訓練の実施について何か良い方法を考えなければいけないと思っています。


 それから2番目ですが、8月にも一部ご説明させて頂いたかと思いますが、今年度実施した震度計の設置環境調査についてでございます。
 気象庁の震度計につきましては8月に結果を公表させていただきました。現在、地方公共団体及び防災科学技術研究所の震度計について、設置機関のご協力で調査が進められているところですが、これまでに地方公共団体分につきましては約1300地点分、防災科研につきましてはほぼ全点の780地点分の現地調査が終わっています。これは現地の設置環境がこういう状況にありますよという事実を報告頂いているわけですが、現在、気象庁においてその評価を行っています。評価には若干時間がかかります。
 すなわち、実際に一点ごとに環境を見て、場合によっては問い合わせをしなければなりませんので、かなり時間がかかります。今申し上げた1300点と780点につきましては、3月のはじめぐらいにはなんとか公表できるのではないかと考えているところでございます。


 12月の会見ですので、この1年を振り返ります。

 気象に関しましては7月の中国・九州北部の豪雨、その後の台風9号に伴う大雨では、兵庫県佐用町で多くの方が亡くなりました。
それから2年ぶりの台風の第18号の上陸などがあり、風水害は結構大きなものがございました。
 私どもといたしましては、災害が発生する前に必要な情報は出せたと考えていますが、自然災害の犠牲者をゼロにするという切り口から、引き続き的確な情報の提供、それから情報の見直し、さらにその情報を使ってどういうふうに対応をとって頂いたらいいのかという関係機関との連携に努めていかなければいけないと思っているところでございます。

 6月に交通政策審議会気象分科会において、「局地的な大雨による被害の軽減に向けた気象業務のあり方について」という報告書をまとめて頂きました。ここでは、昨年の局地的な大雨に対してどう対応するかということを検討していただきました。
 これを受けて、我々は防災・安全知識の普及ということをひとつの大きな柱にして、様々な働きかけを行いました。報道機関の皆様方にも御協力いただきまして、新聞記事をはじめ様々な方法で、「こういうときは危ないよと」いうことをお伝え頂けたと思っています。
 特に今は情報が非常にたくさんあり、記憶は簡単に風化しますから、出水期の前にこういったことをお伝えするということを、引き続きやっていきたいと思っておりますし、皆様も折に触れて、国民の皆様にお伝えいただけると幸いでございます。

 それから地震火山関係ですけれども、8月11日の駿河湾の地震では、新しい情報体系になって初めての「東海地震観測情報」を発表することになりました。実際に地震が起きた場所が東海地震の震源域に非常に近かったためです。
ただ、この情報に対する認知度が必ずしも高くはなかったというご指摘がございますので、今後さらに周知啓発活動に努めて参ります。

 8月25日には緊急地震速報の誤報を出してしまいました。大変申し訳なく思っており、あらためてお詫び申し上げます。こういうことがないように再発防止を徹底したいと思っております。
 この誤報が起きた原因は震度計から出る信号を東京と大阪の2箇所に送るというソフト改修でございましたが、業者さんにもご尽力いただき、私達も装置全体をチェックした上で作業を再開し、震度計機能と緊急地震速報処理の両方を持った観測点についての改修は11月中に完了しました。

 それから火山でございますけれども、10月に秋田駒ケ岳に噴火警戒レベルを導入いたしまして、これで26の火山について噴火警戒レベルが導入されました。
 今年2月の浅間山噴火の際、事前にレベルを引き上げることができましたが、こういった良い例を積み重ねて行きたいと考えております。今後とも地元の自治体等とよく相談をしつつ適切な運用に努めて参ります。

 最後、地球環境関係でございますが、今年は世界気象機関(WMO)主催の第3回世界気候会議がジュネーブで開催されました。
 気候の情報、例えば季節予報などの情報はなかなか利用が難しいものでございます。利用者と情報提供者との間がうまく連携がとれることで「そういう仕事だったら、この情報をこういうふうにすると使えるね」「そこまでの要望にはなかなか応えられないね」といったような利用者と情報提供者との間のコミュニケーション強化などを枠組として、「気候サービスのための世界的枠組」を構築することが決定されました。
 私どもも気候関係の様々な情報を出していますが、利用者の要望に即した気候情報を提供できるよう努めていきたいと思っています。
 一方、気象庁では、WMOの地域気候センターとして開発途上国向けの気候情報サービスの強化も開始しました。アジア各国の方々に来て頂いて、気候情報の利活用方策についての技術的支援も行っていきたいと思っています。

 ありがとうございました。


 

主な質疑応答

Q. 予算の大臣折衝で昨日、菅副総理と仙石行政刷新担当大臣、藤井財務大臣と川端文部科学大臣の間で、次世代スーパーコンピュータの予算の復活についての合意がなされました。その中に、次世代スーパーコンピュータ、今開発中の神戸のものと、現在あるスーパーコンピュータ20台をリンクさせる「ハイコストパフォーマンスコンピューティングシステム」というものを活用してより利用者の拡大を図る、スーパーコンピュータの利用者の一人として、気象予報分野・地震観測分野で今後のスーパーコンピュータにかける期待があればお願いします。

A. ご承知のように私どもも現業用にスーパーコンピュータを使っておりまして、皆様にお届けしている天気予報の基礎にはスーパーコンピュータによる計算結果を使っています。したがって、これから計算機が速くなって大きな計算ができるようになると、色々な予報の精度が高まるだろうと私達は強く期待しています。
 そういうことが簡単に試せる環境、つまり大きな計算機を使うことにより細かい現象を表現することで高いパフォーマンスが出るということを実証していかないと、なかなか大きな計算機を現業的に導入することはできないと思っています。研究ベースで環境が整って、トライ&エラーができるということ(大規模な計算が容易に開発・試行できること)は非常に素晴らしいことだと思っています。


Q. 今年は台風5日予報を始められましたけれど、来年はどんなことをやろうとしているのかと、その進捗状況を教えてください。

A. 一番大きいのは、注意報・警報を現在は二次細分区という都道府県をいくつかの区域に分けた形で出していますが、実際に防災対応をとる最前線は市町村なので、市町村を対象として注意報・警報を出すことを計画しています。できれば来年の出水期から開始したいと考えており、これはかなり大きな変革だと思っています。
 ただ、今の予報技術でやりますので、今の段階で格段に情報の精度が良くなるかというと必ずしもそこは保証できないのですが、市町村単位で警報を出していく枠組みができますので、例えば今までだと、予報区の中に「ここまでは降らないだろう」と予想できる市町村があっても予報区全域に警報をだす(我々はよく「道連れ」と言いますが、)ことになりますが、この新しい枠組みの導入で、そのような市町村が余分な警戒をして頂かなくてもいい状況になると期待しています。


Q. 先ほどお話のあった緊急地震速報の訓練の話なんですけれど、今後、課題をまとめていかなければいけない、それにあたって今は一部の声だけしか聞けていないので、幅を広げて声を聞き取るというか調査をしなければいけないということをおっしゃっていましたが、これについてはさしあたりどういうことを考えていますか?

A. さしあたり、今頂いているアンケートの範囲が一部の配信事業者の方だけであり、ごくわずかなんですね。そこからの二次配信先の方々の声も聞ければありがたいと思っています。配信事業者さんから送っていただいたりしないといけませんので、簡単かどうかは分からないのですが、もう少し範囲を広げてみようと考えています。


Q. 末端の利用者までアンケートが行きわたるように?

A. 少し工夫をしてみます。8000まではとてもいかないかもしれませんが、少しでも多くの方から、ということを考えています。


Q. これまでそういうことをしたことはない?

A.ありません。


Q. 緊急地震速報の利用者がこれだけ拡大している現状で利用状況を全て把握できるのか、全ての末端の利用者に今回の訓練のような緊急地震速報に関する情報を周知することが事実上できるのか、ということについて長官の感じ方は?

A. 一昨日、色々と当庁から皆様にご説明させて頂いて、皆様から貴重なご意見を頂きました。本当にありがとうございました。その中で御指摘のありました「利用方法を把握すべきではないか」ということですが、利用者がどんどん増えていくと非常に難しいと思っています。
ひとつの方法としては、把握するということはあきらめて、「こういうふうに使ってください」という端末の適正な利用に関するガイドラインを作ることで、カバーできないかと考えております。
 もう一方、今回非常に影響の大きかった鉄道事業者さんのような場合ですが、そういうところにつきましては、関係機関の御協力を得て、実際の利用の状況をもう少し具体的に把握していきたいと考えています。
 今のところ思いつくのはそれぐらいで、網羅的に利用者全ての利用状況を把握するのは、御指摘の通り非常に難しいことだと思いますが、影響の大きいところについて関係機関の御協力を得ながら、少し調べさせていただくということはあり得ると思っています。

 訓練の事前の周知ですが、単に聞き流されるだけであれば、直前に音声通知で「これは訓練です、これは訓練です」と言えば、そんなに大きな問題にはならないと思うのですが、それでもビックリされる方はいるでしょうから、色々丁寧な周知の方法を考えなければいけないと思っています。
 今回、同意というのをお願いした経緯がございます。すなわち「訓練報というものが流れますがいいですよね」ということです。
実際には同意が非常にとりにくいデータ提供方法もあります。そういったところは無理なので、例えば、前回の会見の冒頭でどんな配信形態があるかということで4つ述べましたが、携帯電話に送っておられる事業者さんは、今回は流しておられません。皆さんに聞いて、全員がOKというわけがないですし、また、全員にコンタクトをとるのもなかなか難しいと思います。
 もし、何か思いがけないことが起きると困る人がお客さんの中におられると、訓練報をその人にだけ送らないということができれば最善ですが、ブロードキャストに近い形で情報を配信していらっしゃるところもあるわけですから、そこでは訓練報を流すことが無理になってしまいます。
 ただ、同意を取らなきゃいけないということが今回はっきりわかりましたので、訓練をやるならば同意を取った方だけに流すということがひとつわかったことです。
 もうひとつ、一昨日にもご指摘があったのですが、端末の利用者さんは訓練があると思っていたが、その端末へデータを送っている配信事業者さんは、そういう問題があるので配信をやめたため、待てど暮らせど訓練報が来ない、ひょっとしたら私の端末はおかしいのじゃないかと、こういうふうに思われる方も出てしまいました。今度は、その方に、「訓練報は行きませんよ」ということを何らかの方法でお伝えしなければならないのですが、これについては例えば私どものホームページとか事業者さんのホームページに載せることで、この場合おそらくとてつもない迷惑はかからないのではないかと思っています。本番の情報が来ないというのは大変なことですが、訓練報が来ないということですから、確かめてみたらそうだったのかとわかって頂けたら、それでいいのかなと思います。ただ、私どものホームページの表現にも若干分かりづらい部分がありましたので、その点は反省しておりまして、この点も含めて改善していきたいと思います。同意については色んな手段を使っていきたいと思っています。
 これからも検討を深めていきたいと思っておりますので、結論ということではありませんが、現在はそういうことを考えております。


Q. 端末の適正利用を呼びかけるガイドラインを作るというお話ですが、訓練報を制御システムに連動しないような端末を使ってもらうように呼びかけるとかそういう主旨ですか?

A. 訓練報をコントロールできるようにするのもひとつの方策ですし、そもそも初めから訓練報では動作しないのもひとつの方策です。
ケースバイケースだと思いますが、そこまでは今、明記していませんので、端末がこういう機能を備えていたらいいなというところを、何らかの形でガイドラインとしてお示ししないといけないと思っています。


Q. 今はそういうガイドラインはないのですか?

A. 気象庁としてはありません。


Q. 震度計の設置環境調査で、3月初めに公表できるところは自治体の1300箇所と防災科研という話ですが残りはどこですか?

A. 地方公共団体の分がもう1500くらい残っています。震度計については今年度消防庁で整備の補助金等が出ているものですから、そういう地方公共団体におかれては、その整備の段階で調査に行って報告していただくことを考えています。
(地震火山部)補足説明させていただきます。調査は来年度末までに全部終わると考えています。それまでの過程でも逐次、区切りのいいところで御報告させていただきたいと考えています。


Q. 本件に関して補正予算執行の一時停止は特に影響はないのですか?

A.(地震火山部)こちらで聞いている限りでは直接大きな影響はないと思っていますが、詳しくは消防庁に聞かれた方が間違いがないと思います。


Q. 緊急地震速報に関して、警報という位置づけでもあり、訓練で個人の人にも慣れてもらうということが重要なことだと思いますが、携帯電話会社が参加していないなど、今回参加された事業者が35という数は少ないように思います。
気象庁として今後、来年同じ時期にやるとしたら、気象業務支援センターを通じて、周知というよりは、直接業者に参加を要請するとか、もうちょっと積極的な形での参加促進のような方策をとるということはないでしょうか?

A. 今回、基本的には配信事業者の方々、あるいはこの業務に携わっている方々の多くの方は訓練というものに対してかなりご理解頂けて、前向きにお考え頂いたと思います。
ただ、問題はユーザーの同意が取れるか、突然一斉に流して大丈夫かということになると、リスクが高いと考えて、断念される方も少なくありません。そこが今後の課題ではないかと思います。
 ラジオやテレビや携帯となりますと同意を取るのは不可能ですから、こうしたところに流すというのは効果的ではあるんですけれども、そこをどうやっていくかとなると、かなり多くの方のご意見を伺って進めていく必要があるのではないかなと思います。
 もうひとつ、そんなに大きくはないけれど狭い範囲で提供している方にもう少し入っていただくとか、それから地方公共団体にもう少し入って頂けるようにお願いするということを重ねて続けていきたいと思っております。
すなわち、訓練の効果をうまく説明して、「実際に耳にしておいて頂けるほうがいいですよ」と言いながら宣伝してご参加頂くということを、引き続きやっていかなくてはならないと思っています。
 今ご質問されたようなことで何かお知恵があれば、私達にも聞かせていただきたいと思います。広い範囲に投げるというのはそれなりに効果があると思いますが、一方でリスクが大きいと思います。


Q. 関連で周知の話で、配信事業者から訓練報を配信しないということが末端利用者に伝わっていないということがあったり、福岡の地下鉄の件は、ホームページだけの周知に留まって、末端利用者の福岡市に訓練をやるということがちゃんと伝わっていなかったということがありました。
 気象庁が10月に出していた文書だと別紙の「訓練をやります」という紙を末端利用者に必ず配布するようにして下さいという要請をされていたと思いますが、結果的には地下鉄のトラブルは実際には末端の利用者にその紙がよく行き渡っていなかったというケースだったと思います。周知徹底という意味で、末端利用者の数が多いと配信事業者が全てに周知するというのはなかなか難しいのかもしれませんが、同様のことを繰り返さないためにも、ここは数が多くても周知するというのは義務的な性格を帯びていると思います。
 今回もある業者から数が多すぎるので、ホームページの周知に留めたいと言われて容認したという経緯があったと思いますが、ケースバイケースになると思いますが、周知することを強く要請する、徹底させていくということが必要だと思います。

A. 今回このようなことがありましたので、それはやらないとダメですね。今回もかなり気をつけていたつもりなのですが、二つの情報不徹底のケースがありました。
訓練報が行く人に対して行きますよということが伝わっているかということと、行かない人に行かないということが伝わっているということです。この二つはちょっと問題が違うと思います。後者は比較的被害は小さいので少し置いておいて、問題は前者ですね。訓練報の使い方については色んなタイプの人がいて、聞き流す人もいれば、自動システムを連動させている人もいて、自動システムを連動させている人には明示的に言っておかないといけない。地下鉄が良い例ですが、このような方々にははっきり伝わったことを確認しないとダメですね。
 今後は訓練報を流すときに、動作する可能性がある端末であるということをどうやって把握するかということですが、往々にして、配信事業者さんは利用者が訓練報を受けた後、それをどうやっているかということをご存じない可能性があるので、利用者からはっきりと訓練報を流してもらって大丈夫ですというのをもらわない限り、次に訓練をやる場合は流せないと思います。ユーザーに一斉に配信するシステムの場合は、ひとつでも分からないところがあったら流せません。一個一個相手を見て「あなたのところには訓練報も流します」というコントロールができる配信形態がありますが、これは値段が高くなります。
 一方、携帯電話に近い仕掛けを有線でやる、つまりインターネットを使ったりして一斉に流すのもありますが、値段は安くなりますがひとりひとりの制御はできません。 普及を進めるという観点からはトレードオフになってしまいます。携帯電話で緊急地震速報を流す事業者さんが訓練報を流さなかったのと同じように、非常に大勢のお客さんがいらっしゃって、しかも一斉に配信しているとなるとそう簡単ではないと思います。


Q. 細かくて恐縮ですけれども、配信する側は末端の配信される側の状況が把握できない、してらっしゃらない、今後は訓練報を流しても大丈夫だという確信が得られないと流せませんというお話でしたが、今回のケースで言うと、間に入った配信事業者の報告として、「うちのシステムを使っていれば制御システムには流れないはずだから、そういう問題は起きないはずだから」ということで、今回も制御システムには流れないという確信があって、気象庁としてはホームページでの周知を容認したと思いますが、配信業者の誤解というか認識不足でそうではなかった、実はそれで流れてしまってということがあったわけですから、全ての末端利用者の状況を把握するのは難しいかもしれませんが、ある程度影響が大きいと考えられる会社については、民民の契約かもしれませんが、どこの会社はどういうシステムを使って、どういう機能があって、どういう仕組みで流れていくのかという実態調査みたいなのを少なくともしないといけないんじゃないかと思います。それについては如何でしょうか?

A. 影響の高い典型的な例は鉄道事業者さんだと思いますが、そういうところは割と声をおかけしやすいので、まとめてお聞きする、確認するというようなことはやっておきたいと思っていますし、OKが取れればそこは安心して流せるので、そういうような工夫をしていきたいと思っています。
 こういったことをもう少しこれから考えていきたいと思っているところでございますので、おっしゃったようなことを念頭において検討させて頂きます。


Q. 今後も訓練は一年に一度程度は続けていきたいということですか。

A. そうですね。できればやりたいですね。


Q. そういった部分を逆に担保できなければできないと思いますが。

A.そこをどういうふうにやればいいか、皆さんの意見も聞きながら、考えて参りたいと思っています。実際に警報音が鳴ると、どういうものか分かりますよね。とても大事なことだと思います。ただ、副作用がいっぱい出てしまうとどっちが大事なんだということになります。


Q. もし分かればでいいのですが、福岡市のように端末を独自のシステムとつないでいる他の鉄道事業者はありますか?

A.(地震火山部)まだとりまとめの最中なのでわかりません。


Q. 気象研究所の独立行政法人化について色々議論がありますが、その辺りのお考えは?

A. これまで独立行政法人化ということで法案を出して参りましたが、審議に上らない状態で廃案になってきています。皆様もお聞きおよびかと思いますが、行政刷新会議の中で、気象研究所ともうひとつの機関の独法化を除いて国家公務員の定員純減を実施するということが了承されたとなってございます。
気象研究所の独法化について、厳密に言いますと最終的な政府の方針が決まっていませんので、基本的にはこれから決定される方針に則って対処していくということになります。研究への影響ということですが、基本的に大きな影響は出ないと思っています。



(以上)

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