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長官記者会見要旨(平成21年10月15日)

会見日時等

平成21年10月15日(木) 14時00分~14時40分
於:気象庁会見室

発言要旨

  9月17日に予定されていました定例会見につきましては、9月16日付閣僚懇談会申合せに従い外局の長も会見を行わないとされたことから、前日の9月16日に急遽取り止めることに致しました。予定されていた会見を直前になって中止し、皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。このほど、気象庁の定例会見は、大雨や台風、異常気象、地震・津波・火山による災害の予防等に係る情報の解説を行うものであることを国土交通大臣にご理解いただき、会見の実施について大臣のご了解をいただきました。今後はこれまで通り定例会見を実施させていただきますので、どうぞよろしくお願い致します。

 さて、先週は、台風第18号の上陸に伴い、各地で暴風や高波、高潮、それから大雨や竜巻などによる災害が発生しました。被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。気象庁は、今年から5日先までの台風進路予報の発表を開始したところでございますが、今回の台風18号につきましてはこの5日予報を開始してから初めての上陸台風となりました。気象庁といたしましては、この台風に関して、台風予報をはじめ各種の防災気象情報を適時的確に発表できたと考えております。本年4月に5日予報を発表して初めての上陸台風であったこと、また2年ぶりの上陸台風であったこと等もありまして、私どもの発表いたします防災気象情報等につきまして自治体や報道関係の皆様に是非ご意見をお聞かせいただければと思っており、そのような機会を早く作りたいと考えています。また、台風予測自体の技術の更なる向上にも努めてまいります。この取り組みの一環として、11月30日から12月2日にかけて、「台風の進路予測技術の高度化に関する国際会議」を東京で開催いたします。この会議は、海洋政策研究財団のご支援によるもので、国内外の専門家を招聘して、昨年に気象庁も参加した国際的な取り組みである台風特別観測実験(T−PARC)の結果を踏まえ、台風進路予測技術の現状や今後の課題について検討を行うものでございます。最初の日の午前中には公開シンポジウムということで、基調講演を予定しております。外国からも講演者をお呼びいたしますが、皆様にもわかりやすくお聞き頂けるように通訳を準備いたしますので、ご関心のある方にはぜひご参加いただきたいと考えております。詳細につきましては、後日皆様にお知らせするとともに、気象庁ホームページ等で公表したいと考えております。

 最初に申し上げた台風第18号は色々な災害をもたらしました。その中で、愛知県の三河湾では、高潮によりコンテナが流されたり、浸水などの被害が出たところがございます。この被害につきまして、当該地域の担当官署である名古屋地方気象台と神戸海洋気象台が共同で現地調査を行っており、その調査結果につきまして明日発表できると聞いておりますので御参考にして頂ければと思います。

 時間が前後しますが、9月30日には、サモア諸島とインドネシアのスマトラ南部で相次いで大きな地震が発生いたしました。現地では甚大な被害が生じましたが、犠牲となられた方のご冥福をお祈り申し上げます。このうち、サモア諸島の地震につきましては、日本の太平洋沿岸にも津波注意報を発表し、注意を呼びかけたところでございます。実際に観測された津波の最大は、岩手県久慈港における36�であり、幸いなことに日本での被害はありませんでした。私の方からは以上です。


 

主な質疑応答

Q. 今日から記者会見を再開しましたが、政府から政策について見解を述べないように言われている中で、長官が話す内容や我々の質問への回答について心情的なものを含めて変化はありましたか。
A. 私のお話しすることは、情報の解説や私どもの情報の出し方についてのことですので、今まで通り、特に大きな変化があるとは思っておりません。

Q. 台風第18号の時に、民間気象会社のウェザーニューズが気象庁の発表する上陸地点と違う上陸地点を発表しましたが、その時の経緯と気象庁が行なった処分についてお聞かせ下さい。
A. 私どもは上陸地点を知多半島付近と発表いたしました。御指摘のあったウェザーニューズの発表によると、志摩半島に上陸し、それから渥美半島に上陸したというふうに聞いております。台風の上陸位置というのは重要な防災情報で、気象技術・気象学的にみて様々な議論があるとは思いますが、どこに上陸したのかということを皆様が求めていらっしゃる段階で複数の情報が出る、つまりシングルボイスでなくなるというのは、慌ただしい状況の中、混乱を招くおそれがあります。そのようなことを避けるために、防災情報というものはシングルボイスであることが望ましく、台風の情報に関しては気象庁の発表している情報の解説に留めてほしいということを常々申し上げてきているところでございますので、私どもからはウェザーニューズに対して、再度その旨をご説明しご理解を頂きつつあると思っています。

Q. ウェザーニューズは過去にも土砂崩れメール等で行政処分を受けたり、台風に関しても気象庁とは若干違う情報を出したりと常習性があるように思いますが、今回、口頭の注意処分に留めたということですが、それで良いと思われますか。
A. 主旨をご理解頂ければそれで良いのではないかと思います。

Q. 昨日、ウェザーニューズが会員向けに送ったメールの中で、「自分達はこれで正しかった。今後も台風の進路を追究していく」というような記述もあるようで、あまり反省しているように見えませんがどう思われますか。また、今後も独自に台風の進路情報を出すという時に気象庁の対応はどのようなことを考えていますか。
A. 解析をいくらなさるのも構いませんし、それによって御自身の色々な意思決定をなさるのは構いませんが、それを外に発表するとなると、先ほど申し上げたように、シングルボイスを保ったほうがよいと思われる情報ですので、そこは何度でもご説明する必要があります。私はある程度ご理解を得られたと考えていますが、それでも違う情報を出すということであれば、情報の性質上、シングルボイスであることが望ましいということを重ねてお話したいと思います。

Q. 仮に今後も続けるという回答が来るようであれば、予報業務許可の取り消しなども考えられますか。
A. 仮定の議論になりますので答えは控えます。私どもの説明の主旨はご理解頂きたいと思っています。

Q. ウェザーニューズの防災情報によって死者が出た場合、気象庁が放置していたことの責任が問われることになると思いますが、そういう危惧はありませんか。
A. 危惧を言い出すときりがないかもしれませんが、本件についてはお話すればわかって頂けると信じています。なぜかと申しますと、かつて気象審議会などでウェザーニューズからの委員がご発言になっていた時に、防災情報のシングルボイスの重要性ということをご自身がお認めになっていることですので、その点はご理解頂けるのではないかと信じています。

Q. 台風の上陸情報が複数発表される場合、どのような混乱があると考えていますか。
A. 2種類の情報を御覧になった時に、どちらが正しいかを考えなくてはなりません。そのようなことにエネルギーを割いているような状況ではないだろうということです。防災情報というのは、バタバタしている時に、似ているようでちょっと違っている情報が入ってくると非常に厄介なので、それは一つにするというのが基本的なコンセンサスだと思っています。今回、具体的に誰かがこのことでひどい目にあったという情報はつかんでいませんが、緊急対応しなければならない状況において、防災情報をお伝えになる立場の方にたまたまこの2種類の情報が入ったときに、どちらが本当かを考える無用な時間を強いることになってしまうのではないかと思っています。

Q. 鳩山内閣が発足して明日で1か月になりますが、職員の動きや庁内の雰囲気の変化といったものを感じていますか。
A. 一般人としての関心や意識の変化はあるかもしれませんが、私どもの仕事の性格からいって、今の段階で直接大きな変化を私自身は感じていません。

Q. 鳩山新政権の予算の関係で研究・業務等に支障があるということはありませんか。
A. 平成21年度補正予算につきましては先週ブリーフィングがあったと思いますが、私どもの原案に近い形で進んでいるところでございます。平成22年度予算についてはまだお話できる段階ではありません。

Q. ウェザーニューズは、気象庁の検定を受けた測器に加えて会員が収集してきた情報を用いて、公に情報を発表しています。これは気象業務法に触れるのではありませんか。
A. 例えば目視観測については、技術上の基準はありませんので法律違反とは言えないかもしれません。手段よりも、むしろ防災対応を行う時点で解析の結果を発表することが混乱を起こすのではないかと私は考えております。ウェザーニューズが使用しているデータに不適当なデータが混じっているのではないかという点については聞いていないのでお答えできません。

Q. 気象庁としては、台風の中心位置について気象庁の発表を待ってからでいいのではないかということですか。
A. 台風の中心というものは点ではないのですが、発表にあたってはどこか一点に決めなくてはなりません。南の方に台風がいる時などは、衛星写真で綺麗に台風の目が見えますが、だんだん緯度を上げたり、陸の影響を受けると形が崩れてきます。このため、台風の中心位置の解析結果には幅がありますが、そうしたことは後から学会等で議論して頂ければ良いことであって、防災の修羅場でやるべきことではないと私は思っています。

Q. 補正予算の見直しで、気象庁の業務の一部執行停止がありましたが、どのように受け止めていますか。
A. 金額的には変わっていますが、できなくなったことが現れたわけではありません。全体の工程に若干の変化が出ていることは事実ですが、今のペースで行けば大丈夫だと思います。

Q. 当初予定されていた補正予算に関わる業務については影響はないということですか。
A. はい。

Q. 緊急地震速報について先日、人為的なミスがありましたが、現時点での課題と改善策を聞かせて下さい。
A. 8月末の緊急地震速報の誤報で皆様方に非常に大きなご迷惑をおかけしました。大変申し訳ございませんでした。緊急地震速報は、観測してから情報発表までに人間の介在を許さないものですので、途中のプロセスに間違いがあっても情報が発表されてしまうという性格をもっています。このため、誤報というものを最小限に止める努力を引き続き行なっていきたいと思います。センサーやソフトウェアの改修にあたっては、非常に慎重な対応を取っていくということが重要なことだと考えています。また、宿命的なこととして、震源の真上・直近では間に合わないということがございますので、深いところにある地震計を使うことで1秒でも早く情報を発表できないかということが技術的な課題と思っています。

Q. 気象庁で、ユーザが緊急地震速報をどのように入手しているかの実情を把握できていないように思います。誤報の影響範囲を気象庁自身で調べられないということについてどう思われますか。
A. マスメディアで伝達して頂いているため、相当広い範囲で影響が現れているということは認識しています。また、専用端末をご利用になっている方についてはある程度把握しています。ただ、ある程度は把握しているつもりでしたが、誤報の影響範囲をすぐに答えられないというのは、調査が足りていなかったということだと思います。これについては勉強させて下さい。

Q. 緊急地震速報の誤報が出ても、わずかでも揺れてしまったときにそれを取り消す仕組みがないことについてどう考えていますか。
A. 緊急地震速報を導入する時点で、色々の議論が行なわれて一応の決着がついたと理解しています。落雷や自動車の事故等で地震計が揺れを検知してしまったということであればシステムが自動的にキャンセルする処理が入っています。しかし、震度を5強とか6弱と推定したけれども実際は震度1や2といった場合、キャンセル報を出すかということですが、これは当初想定していませんでした。この問題の解決には、ご利用になる方・伝達される方のご意見を伺う必要があり、まだ若干時間がかかりますし、震度の見積もりが違うということは今後もありうることですので、緊急地震速報が出て例えば2分待って何も揺れなかった場合は、これは震度を大きく見積もりすぎたと思って下さい、ということをお伝えしていくことになるかと思います。今のは5弱以上と推定しましたが、実際の揺れはもっと小さいようです、という情報を出すかどうかということについてはまだ議論が必要です。

Q. 台風第18号について、台風5日予報の精度の評価はいかがでしたか。
A. 概ね想定どおり、4日先で400km、5日先で500kmぐらいのところで収まっていました。進路という意味ではかなり早い段階から予想進路は同じ形をしていたと思います。いつどこまで来るかということについては若干ずれがありましたが、傾向はとらえることができていたので、心積もりができるという意味ではお役に立てたのではないかと思います。日にち刻みで何日が危ないかということについてはまだまだ技術を向上させていかなければなりませんが、いずれ来るという傾向で見ていただければ十分使っていただけるものと思います。

Q. 過去の台風と比較すると、上陸時の勢力の割には被害が限定的だったという印象がありますが、防災の意識や体制が向上しているなど今回の被害について感想はありますか。
A. 私の感想を申し上げますと、メディアの方々がかなり丁寧に台風の取材をして頂いたことが良かったのではないかと思います。過去の事例をお話下さったり、実際の被害をとりあげていただいたことが皆さんの警戒をより慎重にして頂ける効果があったと思います。

Q. 規模の割には被害は小さかったということですか。
A. いろんな要素があるので分析は難しいのですが、伊勢湾台風の時代と比べてソフトウェアもハードウェアも非常によくなってきていて災害を減らすほうに効いていることは間違いないと思います。

Q. 主任予報官による事前の解説が比較的早く3日前から行なっていて気象庁として早めの防災対応を意識付けようとしていたように思います。長官が指示されたのですか。
A. 予報の現場が好判断をしてこのぐらいにやったほうがいいと判断したものです。

Q. その対応についての評価はいかがですか。
A. 申し分ないと思います。台風情報を出して、猛烈な台風が来ていますよ、というだけではなかなか分かっていただけませんが、こちらで主任予報官が説明をすれば、皆様方も取り上げて下さるし、一般の方もいつもと違うなと思っていただけます。やはり大事なところでは会見をしなくてはなりませんし、また、いいタイミングでできたのではないかと思っています。

Q. 来週23日に新潟県中越地震から5年が経ちますが、気象庁震度計の設置環境に不十分なところがあり、継続して調査するという発表もあった中で、震度計を中心とした被害把握について今後の課題は何でしょうか。
A. まだ全ての震度計の調査が終わったわけではないのでこれから課題が出てくるかもしれませんが、気象庁分についてはこれまで報告したとおりです。中越地震の直後に行なった点検よりも厳しい基準で見直していますので、いくつか要チェックとなり場所を移したところもありました。他機関の震度計についても今見直しているところなので、まだそのようなところが出てくるかと思います。震度計というものはどこかで強い揺れがあったということを知る仕組みですが、あらゆる場所に設置するわけにもいきませんし、どこかで折り合いをつける必要がありますので、今ぐらいの配置がひとつの落ち着き先なのかなと思っています。そこで機械がおかしな揺れを起こしたりしてはいけませんから、点検の体制を丁寧にするということに尽きるのかと思います。

Q. 現状の点検体制をもっと強化した方がいいということか、それとも現状のままで問題ないということか、どちらでしょうか。
A. 今ぐらいのサイクルで点検していけばいいのではないかと思います。

Q. 気象庁ルールだと2年に1回ですが。
A. はい。

Q. 震度計の数や点検の体制については問題があるとは思っていないということですか。
A. 設置環境の問題だったと思っています。

Q. 長官会見の中止について長官宛に抗議を出しましたが回答が広報室から来ました。その時点で長官から回答を頂けなかったのはどうしてかお聞かせ下さい。
A. 抗議を頂いて、記者クラブのご意向を本省の広報課に報告しました。上から中止と言われていることについて、私から何かを答えるというのは非常に辛うございました。会見ができるようにご理解を頂くような措置を、本省を通じてとっていただいたということを、大変失礼だったかもしれませんが、広報室の方からお話させて頂いて、それで意は通じていると思っていました。

(以上)

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