長官記者会見要旨(平成19年12月13日)

会見日時等

平成19年12月13日(木) 14時00分~14時12分
於:気象庁会見室

発言要旨

 こんにちは。12月も残すところ半月くらいになりましたが、今年1年を振り返ってみますと、3月に能登半島地震がありまして、7月に中越沖地震がありました。また、海外ではペルーで8月にマグニチュード7.9の地震がございまして被害が出ました。
 地震・火山はいつ起こるかわかりません。日本は有数の地震国でございますので、何か起こりましたら、いち早く情報を的確に発表し、災害の軽減に努めてまいります。
 そこでここ数年取り組んで参りました、緊急地震速報の運用が10月に開始され、さらに12月には、気象業務法の一部改正により、地震動の警報として位置づけられ、火山の情報も新たに警報、予報として位置づけることになりました。
 火山につきましては、16火山につきまして地域防災計画への取り込みなどの準備が整いまして、噴火警戒レベルを導入いたしましたが、今後さらに地元の防災機関とも協議調整を進めて、順次他の火山にも噴火警戒レベルの対応を広げてまいります。
 これらの新たな警報は、今年始まったばかりでございますが、地震災害や、火山噴火の被害の軽減・防止に役に立つよう国民の皆様に対する周知・広報と情報の精度向上に努めてまいります。

 

主な質疑応答

Q.実際に緊急地震速報の運用が始まって3か月になるが、この3か月間の運用は順調だとお考えか。
A.震度5弱以上が予想される場合に警報として緊急地震速報を発表いたしますが、それは幸いにしてまだ発表しておりません。しかし地震動の予報として震度4クラスの予報を行ったケースが4例くらいございました。時間の短いものは数秒の余裕しかありませんでしたが、もう少し余裕のあった事例もございますし、的確に発表されていると考えております。ですからこの態勢を維持していきたいと思っております。
 技術的なところはかなり安定したと思いますけども、問題は我々が以前からずっと取り組んでおります周知広報です。緊急地震速報を国民の皆様にお伝えしたときにどういう反応があるかというところはまだあまりはっきり見えていません。実際に発生したときの国民の皆様の反応を踏まえて、さらに国民の皆様への周知広報対応としてフィードバックしていくなど、いろいろやっていきたいと思っております。

Q.今まで2回アンケートを取っているが、その後はどうか?
A.そのあと内閣府で特別世論調査を10月にやりまして、この中にも緊急地震速報の設問が2問くらいございました。その中で、この緊急地震速報を受信したときにどういうことをされるかお考えですか?という質問については、かなり多くの方がどうするかを考えておられるとお答えいただいております。これは報道機関のご協力もありましたけども周知広報の活動がうまくいっている現われかというふうに思っております。何度も引き続いてアンケートを行っても仕方ないと思いますが、また機会をとらえて周知広報の中でこういう調査もしていきたいと思っております。

Q.各地にある大きな駅やデパートなどの集客施設の導入の状況についてはどうか。
A.10月以降、まず鉄道関係では、日本民営鉄道協会でポスターを作られております。一部携帯電話などで情報を入手された方とそうでない方の間で摩擦が起こったりすることを懸念してのことだと思いますが、慌てないでくださいというようなことを周知する活動をやっておられると聞いております。
 それ以外は例えば駅のホームで知らせるといったところまではまだ難しいと考えておられるそうです。
 それから、デパート関係では、マニュアルなどを作って周知するという流れになっていると聞いております。
A.百貨店では、10月1日から三越百貨店さんで導入されたと聞いておりまして、その他のデパートでの導入例もございます。今後も順次、放送設備や訓練等の準備ができたところから導入していただけるものと考えております。

Q.ある段階で主要な集客施設でどの程度利用されているか。そういうような調査を行うことはないのか。
A.緊急地震速報につきましては、関係省庁の連絡会議というのがございまして、来年早々にもそういうところで取りまとめまして、ご質問のようなところを調べ、その結果は皆様にお知らせできるかと思います。

Q.自治体の緊急地震速報を伝達する装置導入は進んでいないようだが、如何か。
A.J-Alertにつきましては、県単位にいくつか、それから市町村にありまして、それは最終的には自治体に留まらず、防災行政無線を通じて国民の皆様に直接お伝えする、こういう全体の流れになっております。ご指摘のとおり、現時点ではそれほどの普及状況ではありません。これは財政的にも厳しいところもあるということは承知しておりますけれども、我々もできる限り普及していただくように技術的な面で支援をしたいと考えております。

Q.異常天候早期警戒情報というのを来年の3月から開始されるということだが、この情報の名前は異常天候早期警戒情報で決定なのか。
A.今は試行状態で運用は開始しておりません。試行では最初からその名前で始めておりますけども、発表するときに決定されると思います。

Q.各マスコミでもこの名前で発表するとニュースで出ているが、情報文を読むと「注意してください」と書いてあるのに、なぜ警戒なのかというところが疑問だ。報道の際、警戒と注意は区別して使っており、かなり上のランクになると思う。2週間警戒するというのもなかなか難しいと思うし、情報文は注意してくださいと書いてあって、タイトルは警戒というのは整合性がとれていないと思うのだが、長官はその点どのようにお考えか。
A.脅かしすきじゃないかというご指摘だと思います。そういうご意見や、利用者の方からもご意見を頂き、そういったご意見もふまえて考えていきたいと思っております。
 私が思いますに、この早期警戒というのは英語の”early warning”を直訳した名前だと思います。いわゆる警報とは違い“早期警戒”です。警報ではないんですけれども、誤解を受ける可能性があるかどうか、そのあたりを利用者にもご意見を頂きたいと思っております。

Q.我々も注意と警戒という言葉を使うときは気をつけて使っている。土砂災害警戒情報などいろいろあって、ああいうものとはまた違うというのは分かるけれども、言葉の使い方として大事だと思う。
A.そういうご意見もふまえて現場で検討させたいと思っております。

(以上)  

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