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長官記者会見要旨(平成19年4月19日)

会見日時等

平成19年4月19日(木) 14時00分~14時45分
於:気象庁会見室

発言要旨

 本年度もよろしくお願いいたします。
 ここ1ヶ月あまりの間に地震が相次ぎました。先月25日の「平成19年(2007年)能登半島地震」は石川県では観測史上初めて震度6を越える大きな揺れに見舞われ、お一人の方が亡くなるなど、大きな被害となり、今なお、多くの方が自主避難等されています。
 また、今月2日には、ソロモン諸島でM8.1の大きな地震があり、報道等によれば、数メートルの津波も発生し多数の死者も出ております。
 さらに、今週日曜日には、三重県中部で震度5強を観測する地震が発生し、けがをされた方がおられました。これら地震や津波で被害に合われたみなさまに心よりお見舞いを申しあげます。
 さて、気象庁が本運用を目指しております緊急地震速報につきましては、本運用に係る検討会にて報告書をとりまとめ、第19回中央防災会議(3月20日開催)でその本運用を目指した利活用方策の検討や政府一体となった周知・広報の推進が指示されました。
 気象庁は、9月頃の広く国民への提供開始に向け、気象庁内でモデル実験を開始するなど、様々な取り組みを進めております。
 報道のみなさまには、緊急地震速報の周知啓発と本運用について、引き続き、ご協力いただきますようお願いします。

 気象庁が発表する天気予報や気象情報、解説等で用いる「予報用語」の改正を4月1日に実施しました。前回平成8年の大幅な改正から10年以上経過し、技術の進展や用語の明確さ、平易さ、聞取りやすさの観点も重視して全面的な見直しを行ったものです。

 また、本日(19日)から、国土交通省河川局と気象庁が共同で発表する洪水予報において、洪水の危険のレベルをわかりやすい表現に改善します。
 より的確で安全な避難実施のために、住民や防災担当者に理解される内容や表現であることが極めて重要であることから、国土交通省河川局と気象庁で「洪水等に関する防災用語改善検討会」を設置し、洪水予報の改善に向けた検討をすすめ実施に移すものです。
 具体的には、洪水予報の標題を洪水の危険に応じてレベル化し、市町村や住民の皆様にとっていただきたい行動との関連がわかりやすいような表現を用いることとします。

 こうした各種情報を有効活用いただくためにも、報道機関の皆様には今後とも、ご支援・ご協力を頂きますよう、よろしくお願いいたします。

主な質疑応答

Q.緊急地震速報の9月実施に向けて周知に関するスケジュールは具体化しているのか。
A.日時は決まっておりませんが、大きなものとして関係省庁とも相談しながら大掛かりな訓練を考えております。気象庁の動きとしましては、庁内に周知・広報推進本部を設置し具体的な計画を確認しながら進めており、さしあたり、周知・広報用のリーフレットは来週に、DVDは5月末に完成予定です。

Q.そういった周知方法で日本民間放送連盟(民放連)に、応えられるのか。
A.民放連の方々にもご相談しながら、進めているところです。

Q.ソロモンの地震に関連して、準リアルタイムとはいえ、検潮所のデータが気象庁に入電するまでに1時間以上かかっている。そのため気象庁の津波予報も遅くなり、津波の「ある・なし」は調査中という表示が出たままとなる。もっと早くデータを入手できないのか。
A.北西太平洋の津波情報のために早く入手するというのは重要と考えています。相手国のある話なので辛抱強く働きかけを行っていきたいと思っています。太平洋での取り組みや当庁の北西太平洋津波情報センター業務の改善のため、関係国間で技術的議論を行っているところです。

Q.震源を推定し量的津波予測をしているので、情報の確度を高めるためにも、早い時点で実測値が入った方がよい。日本に限らず、他地域についても、津波情報改善のため、早く入手できるように。
A.おっしゃる点については、十分理解しています。

Q.気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第四次評価報告書が公表されたが、気候変動について気象庁として重点的な動きはあるのか。
A.先の話になるが、第五次評価報告書に向けて、より地域的な影響を細かくみる必要があると思います。気象研究所の特別研究の中で実施されている地域的な予測をはじめ、全球的に言えば不確実性の低減のためにより細かな変動の観測といったこと等を穴のないように行う必要があり、幅広い研究や調査が必要になると思います。

Q.気象研究所の話が出たが、来年度、気象研究所の独立行政法人化のための予算措置はないのか。
A.独立行政法人化の前に、そのための法律を提出しなければなりませんので、すぐという訳にはいきません。

Q.来年の通常国会に提出ということはないのか。
A.現時点で具体的な日程を申し上げる段階ではありませんが、できるだけ早く法律を提出できるよう検討を進めている段階です。

Q.能登半島地震に関連して、一番揺れの大きかった門前町では、気象庁も防災科学技術研究所も地震計がなく、自治体の地震計しかなかったが、震度だけでなく、波形データについても、入手することは考えていないのか。リアルタイムでなくとも、重要なデータだと思うが。
A.自治体の設置しているものについては、自治体の責任で行っているので、気象庁がどうこう言う問題ではないが、おっしゃたようにリアルタイムでなくても、調査解析のために重要なデータだと考えおり、保存することは重要だと考えています。今の地震計でできるのかはわかりませんが、更新の際にはそれも念頭におきながら整備していただくことを期待しています。また、気象庁の地震計は波形データが収集されますので、その強震解析を進め、防災に役立てられる成果を提供することは、今後の課題だと考えております。

Q.大手町の風向風速計を移設した件について、どうお考えか。
A.大手町に限らず、わが国の風の観測というのは、観測環境を維持するのは難しい状況にあります。都会に立地している関係から、自然の状態を確保することは難しいので、観測上必要な条件を満たし、防災にも役立てられるよう、工夫しながら対応しているところです。今回も、近くに背の高いビルが建つことから、観測に影響が出ることが判明したため適切な場所に移して観測を続けるという考えで進めているところでございます。

Q.近年でも、冬夜間に風向風速計が凍結して、欠測したという事例があるが、障害時の復旧など、支障はないのか。
A.1つの観測を絶対に止めてはならないという考え方ではなくて、観測というのは観測網、ネットワークという考え方で、網の目の1つが落ちても、防災上有用な情報が得られるようにと考えております。しかし、いったん何か故障が生じれば、速やかに復旧できるようにしております。

Q.大手町の観測点は気象庁を象徴するようなものなのではないか。
A.私は、ネットワークの1つだと考えています。

Q.日本の首都の値が欠測するということは、ネットワークの1つだから良いだろうということにはならないのでは。
A.長期的に運用できないという話であれば問題ですが、1地点が短時間欠測してもやむを得ないと考えています。

Q.離れることによって、復旧するまでに時間がかかるという懸念はないか。
A.移動に何時間もかかる場所に設置することは考えておりません。

Q.庁舎移転の際、観測について発生する問題点について、議論は開始されているのか。
A.議論というか、各地の都市ではビルが次々に建設され、大阪や広島でもこうした対応を経験しています。何が自然な環境なのかについては難しいですが、防災上その地域を代表するような観測を行う必要があり、これまでも防災情報を出すために工夫して対応しておりまして、改めて議論が必要だとは考えておりません。

Q.庁舎移転そのものについてどう考えているか。
A.庁舎移転については、まだ決まっていないという点に留意して頂きたいが、有識者会議で検討されていて、土地の有効利用という観点から、気象庁の敷地や建物について検討されています。中間報告も出ていて、今後検討すべきとなっていますが、仮に移転しても防災上必要な情報を発表するという立場にありますので、関係機関と密接な関係が必要ですから、霞ヶ関あるいは官邸から、現在地より遠くならないような場所に移転できるということであれば、土地の有効利用の観点から、移転はいやだとは言っていないと申し上げたい。

Q.いやではないと言うと、長官としてはどちらの考えか。
A.気象庁側から進んで移りたいという動機はございません。容積率を有効に活用せよというご意見があれば、しかるべき場所に移転するのはやぶさかではないということです。

Q.緊急地震速報のモデル実験はなぜ本庁だけで実施するのか。全国の官署では実施しないのか。
A.今回のモデル実験は、一般の方が多く出入りする場所でテスト的に実施し、問題点を明らかにして、今後の改善に役立てたいと考えております。集中的に実施するのが良いと考えております。

Q.周知徹底を図るためには、全国で実施した方がよいのではないか。
A.周知徹底のために実施する訳ではありません。一般の方も含めた実験で問題点を抽出するという考え方でございます。

Q.リーフレット、DVDはどういった形で配布するのか。
A.リーフレットは地方自治体、関係省庁などを通じで一般に配布する予定です。DVDはホームページにも掲載する計画です。

Q.モデル実験は、周知・広報のために実施するのではないとのことだが、一般の方にアンケートをとるといったことで、周知・広報の一環ではないのか。
A.周知・広報を目的として実施する訳ではありませんが、結果的に、周知・広報になるということは結構であり期待しているところです。

Q.気象庁が周知・広報として行っていることは何か。9月までに何を行っていくのか。
A.昨年は各市町長村を回って、趣旨をお伝えするということを行ってきました。なるべく早期に、具体的なタイムスケジュールを決めた上で、さらにこれに対してどういう取り組みをしていただけるか、さらに各市町村へ説明協力を求めに行くことが大事だと考えております。スケジュールなどが決まりましたら、皆様にお伝え致します。

Q.DVDにしても、市町村についても、気象庁から一般の人に直接伝えていない。もっと気象庁として、直接一般の人に訴える方策が必要なのではないか。
A.一般の人に直接となると、かなり報道関係者のご協力が必要だと考えております。気象庁の努力だけでは全国民に働きかけるのは、困難です。

Q.全国民というのは、困難であるが、そうでなくとも直接気象庁から訴えかけることはできるのではないか。
A.いろいろご意見を踏まえて、検討していきます。

Q.タイムスケジュールが決まっていない。(緊急地震速報の通知の)警報音をどうするかも決まっていない。これで大丈夫なのか。
A.タイムスケジュールが決まっていないというご意見については、できるかぎりわかりやすくはやくお伝えできる形にしたいと考えています。警報音については、すべて統一する必要はないと考えていますが、統一できるところについてはしていきたいと考えています。ひとつずつ決めて、わかりやすく伝えていきたいと思います。

Q.直下型の地震は難しいとのことだったが、沖合の地震で緊急地震速報が有用な時、一部の配信を受けているところではとっさの対応を取れ、そうでない多くの市民は傷つくといったことが起きた場合どうするのか。
A.そうならないよう、まずは利用に向けた周知・広報を行い、運用を開始していきたいと考えています。全てのものについて、プラスの面とマイナスの面がありますが、情報を受けて混乱しないように周知・広報を進めてから配信していきたいと考えています。

Q.情報格差は問題なしと考えているのか。
A.最善の努力をしており、結果については気象庁として責任があると考えています。問題ないとは考えていない、やむを得ない点はあります。

Q.データ格差があるという指摘がありながら、現在の気象庁の取り組みについて、真剣さや責任感を感じられない。スケジュールが見えないなど問題がある。真摯に受け止めていかないと、9月の実施の際、効力のある災害情報にならないのではないか。
A.疑念を持って見られるというのは残念なので、もっとしっかりやっていかないといけないと思っておりますが、私としては気象庁の中ではしっかりやっていると思います。それが、上手く外に伝わっていないのであれば、伝えていく取り組みをしなければというのはおっしゃるとおりだと思います。

Q.周知・広報推進本部で何をどういうように実施するのか。わかっている点だけでもよいので、教えて欲しい。
A.中央防災会議を受けまして、各省庁の連絡会が出来ました。国土交通省の中にも、連絡ができていて、各機関への周知・広報をお願いしていると同時に、現状の課題を吸い上げて、検討し進めていくという体制をとっております。関係機関の反応として急に情報がきても対応が間に合わないという意見もありますが、そこに合わせてしまうと、何もできなくなりますので、ご理解を得ながら進めていくというのが現状です。報道関係の皆様とも打ち合わせを行っており、既にかなり細かい議論がなされており、いつ実施するのかが残りの議論と理解しています。調整がつきましたら、日程などについて、皆さんにお知らせします。気象庁の中では、周知・広報について自らしっかり行うということは、ご指摘のとおりですので、気象庁本庁のモデル実験もそうですが、市町村に対する働きかけは進めて行きたいと考えています。これも、もう少し見える形で実施する必要があると考えています。

Q.庁舎移転にかかる観測の継続という点について、防災上問題はないのか。
A.観測条件というのは、気象業務の観点から、太陽が見えないと駄目とか、風はビルの谷間で観測してはいけないといった点を満たす点であればよいと考えています。観測点自体が変わるのはやむを得ないと思っています。保守・運用の容易性も考えなくてはならない、観測上の要件も考えなくてはならない、首都東京を代表する地点でなくてはならない、仮に移転することになれば、こういったことを総合的に加味しながら、考える必要があります。しかし、これは今後検討すべき問題だと考えております。

Q.雪を例にとった時、観測場所によって変わると思うのだが、そういった継続性について懸念はないのか。
A.継続性のことを言うと、実際には難しいと思っている。継続性をあまり言い続けると、それは絶対に移転したくないということと同意義になります。そこまで主張するつもりはありません。

Q.観測上はあまり問題ないという理解でよいか。
A.どうしても地域差はあるので、仮に大手町から移転すると、観測する値に少し違いが出ることがあると思いますが、それがどの程度の差があるかなどの情報を開示することで観測値と併せて利用していただければ問題ないと考えています。

Q.緊急地震速報について、各方面にお願いしているのはわかるが、気象庁自体が何をしているのかが、全く見えない。やっと、モデル実験が周知・広報であると思っていたが、そうではないとのこと。主体である気象庁がもっと見える努力をして欲しい。
A.ご指摘を受けた点、検討したい。

Q.風向風速計を科学技術館に移設した点について、なぜ増設という形で、気象庁には残さなかったのか。ヒートアイランド現象解明などに役立つと思うが。
A.研究者が研究として行うことは良いことだと思うが、気象庁は国民の税金を使って観測しているので、そこまでは責任を持てない。移転の過程においては、同時並行的に観測値が取得できるので、何らかのデータが得られれば、皆さんにお知らせできると思います。最後まで残すという考えはございません。

Q.大手町も残して、ヒートアイランド解明に役立てるべきだという気象学者もいるが。
A.気象庁が行っている観測は研究ではありませんので、気象庁が税金を使って維持することはできないと考えています。

Q.緊急地震速報について、9月までに国民に周知徹底できると考えているか。
A.はい。

Q.風向風速計の移転に関して、人的な環境変化が悩ましいと思う点はあるか。
A.苦慮している点は確かにあります。気象庁はたくさんの官署がございますので、近くにビルが建つといった情報をいち早く入手し、準備を整え、最善の方法をケース毎に検討し対応しています。気象観測の立場では困りますが、文明に反対している訳ではないという点はご理解頂きたい。

(以上)

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