長官記者会見要旨(平成19年2月15日)

会見日時等

平成19年2月15日(木) 14時00分~14時15分
於:気象庁会見室

発言要旨

先月1月28日ですが、沖縄気象台管内の職員が飲酒運転により逮捕されるという事態が発生しました。これにより国民のみなさまの公務に対する期待と信頼を損なったことに対し深くお詫びいたします。気象庁としましては、いままで各種会議等を通じ飲酒運転防止のために注意喚起をしてきましたけれども、今回このような不祥事が発生しましたので飲酒運転根絶の指導徹底を指示する文書を直ちに発するとともに、地方の管理者を緊急に招集して一層の不祥事防止の徹底をはかりました。

昨日、急速に発達した低気圧の通過に際して青森県で雪崩でお二人の方が亡くなられ、各地で暴風雨や突風その他の被害も発生しました。お悔やみとお見舞いを申し上げます。

地球温暖化の現状と将来の見通しに関する科学的知見をとりまとめたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書の第1作業部会報告書が2月1日に採択されました。気象庁は、政策決定者向け要約の日本語版を作成し、2月9日にその暫定版を気象庁ホームページに公開するなど積極的な周知を行っております。今後引き続き本報告書の内容をわかりやすく伝え、国民各層における地球温暖化防止の取り組みを促していきたいと考えております。

主な質疑応答

Q 飲酒運転の件なのですが、これについては地元の気象台では発表されたのでしょうか?
A 気象台では発表しておりません。

Q この件ですが個人的な関係での飲酒でしょうか、それとも何か業務に関わるものでしょうか、それによって業務に支障が出たとかそういったことはなかったのでしょうか?
A 公務外でございます。

Q 気象庁の職員がその場に一緒にいたということはなかったということですか?
A 全くありません。
今後、この件については事情をよく調査した上で厳正に対処したいと考えております。

Q 昨日各地で暴風、突風の被害が相次ぎましたが、最近の低気圧の発達の傾向について長期的な傾向などの見解をお聞きしたいのですが。
A 毎年何回も急速に発達する低気圧によってさまざまな気象災害が発生しております。昨年も10月に同様の事例があり、そのたびごとに注意を喚起したりしております。長期的には、IPCCの報告書の中に地球温暖化が南北両半球の温帯低気圧の進路及び気温のパターンに影響を与えた可能性が高いと分析しています。モデルの予測によれば、低気圧の進路は極方向に移動し、いろいろ分布も変わると予測されるということです。ただ地球温暖化による変化は1年で急にということではなく、非常に長い時間をかけての変化が予測されるということです。例えば去年、今年という単位では特段の変化がみられたわけではありません。

Q 昨日の青森県での雪崩がどういう風に起きたかについては、まだはっきりとはわからないと思いますが、発生前の午前11時すぎに気象庁として注意報を地元気象台で発表していたと思いますが、今後、雪崩には気温とか積雪量とか以外に、強風で吹きとばされた雪がたまって崩れるなど、いろんなメカニズムがあるのですが、様々な雪崩のタイプにどう対応していきますか。雪崩は局所的な現象で、竜巻とかと通じるところもありあますが、今後の予報の発表の仕方とか精度の改善についてどうお考えでしょうか。
A 雪崩は非常に複雑な現象でして、個々の斜面でどういう風に崩れるのか、なかなか気象状況だけで予測したり説明したりするのは困難です。そこで、一般的にかなり広い範囲で雪崩が発生することに対する注意を呼びかけるために、なだれ注意報を運用しています。青森県の例では新雪が深い場合、具体的には24時間降雪量が深さ40cm以上になると予想された時、には新雪雪崩が起きやすい、気温があがった場合、具体的には日平均気温が5℃を超す、その場合には全層雪崩を予測して運用しています。繰り返しますが、広い範囲での可能性が高いということで、局地的な予測というのは非常に難しいわけです。さらに、山岳地帯の雪崩については相当に難しく、気象庁の技術の及ぶ範囲ではないと現時点では考えます。今後、雪崩全般については、例えば道路管理者とか、各県の防災部局とかと、いろいろ情報交換していきたいとは考えておりますが、予測をピンポイントで行うということは考えていません。

Q 雪崩災害の関連で、防災科学技術研究所で雪崩の予測モデルを作っていますがそのモデルを今後気象庁の方で採用して、なだれ注意報に活かしていくというような発想というのはないんでしょうか。
A そのような情報もいろいろ入手していきたいと考えています。

Q 雪崩の予測には、ある程度のモデルとですね、もう一つは例えば滑る前にどう変化したとかセンサーを付けたりですね、そういった観測機器の問題とモデルの向上とあると思うのですが、先ほど道路管理者という話もありましたが、気象庁だけではできないと思いますが検討していくような場を設けることを考えていませんか。
A 個々の斜面の管理というのは、雪崩の場合は雪で、土砂災害は土で、といった違いはありますが、それぞれの管理されている機関で対応されているものと思います。ただ、雪崩は非常に難しい現象だという感触を持っています。

Q 量的津波予報の精度の向上の関係ですが、導入してもう7年くらいたつのですが、もともと導入するときにある程度精度を確かめられた上で導入したものなのか、ある程度始めてから精度を上げていけばいいという形で進めてきたものなのか、スタートというのはどうだったのでしょうか。
A 量的津波予報の導入にあたっては、学識経験者も参加頂いた検討会で精度的な面も含めまして検討しています。当然、10cmレベルでの細かな現象に対してまでの予測精度がない中で、防災情報としてどのような形式で発表するかについての検討をふまえ、現在の津波予報の体系としており、現状の精度を無視し、いずれ良くなっていくということで始めたわけではありません。

Q この間、津波予報に対して割と外れ感が強く、北海道周辺の住民の調査をされている専門家の方が、量的津波予報があまりにも精度がないのであれば、むしろ数字を出さない方がいいのではないかという主張を始めています。精度があれば全く問題ないシステムだと思いますが、精度の向上があまり保証されていないのであれば、今後、これを続けていくことがよいのかどのようにお考えですか。
A ご指摘の趣旨はわかりますが、量的津波予報を始めたのは、10cm刻みで正確に予測するというわけではなくて、それまでは「津波」、「大津波」と漠然としたわかりにくい内容からより具体的にということで始めました。さらに津波の高さに応じて浸水予測図を作って防災対応をしようという意図があると理解しています。精度についてですが気象庁としては、地震の直後に最悪の津波の高さがこれくらいと予測して防災対応と申しているわけで、それが実際に起こるからではなく、より危険の側、より最悪の事態についてはこうですよと、いうことを予測しています。現実に平成15年の十勝沖の地震の場合にはおおむね想定された津波の高さが観測されています。実際に観測される津波の高さは例えば地面の割れ方とか海底の状態などによって、予測した値には届かないということはあり得るわけで、それは織り込み済みで発表していますが、それをよく理解していただくことへの努力が足らなかったことに問題があると思います。当然いろんなご意見があると思いますが、気象庁が量的に予測した資料があれば開示すべきというご意見もあるかと思います。津波警報の発表の結果について地元の意見などもいろいろとお伺いしながら、今後どうすべきか考えたいと思っています。

Q さきほど、温暖化の問題に関連して、1年2年のタームではないということですが今すぐにでも何かしなくてはいけないんじゃないかという話もあるかと思いますが、気象庁としてキャンペーンを行うなどの計画はありますか。
A 気象庁は、今回まとまったIPCCの報告書の内容をよく理解していただくように、地方気象台等も通じて、啓発活動を続けていきたいと考えています。




(以上)

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