長官記者会見要旨(平成17年12月14日)

会見日時等

平成17年12月14日(水) 14時00分~14時15分
於:気象庁会見室

発言要旨

 この1年を振り返って見ますと、いろいろなことがありました。

まず、地震関係では、昨年末のスマトラ沖を震源とする大地震が引き起こしたインド洋での大津波を契機として、津波防災に対する国際的な取り組みの強化が始まりました。発災以来ほぼ一年が経過しましたが、気象庁としても、この間、様々な対応を行ってきており、特に大きなものとして、米国ホノルルの太平洋津波警報センターと協力し、地震、津波に関する情報のインド洋諸国に対する提供を3月末から開始したことが挙げられます。現在まで、同情報の発表を8回行っておりますが、幸い大きな被害を伴うような津波は起きていません。10月にはパキスタン北部を震源とする大規模な地震が発生しました。また、国内では、3月の福岡県西方沖の地震、8月の宮城県沖の地震など大きな地震が、さらに先月15日には三陸沖で若干の津波を伴う地震が発生しました。常々申し上げていますが、地震は我が国ではいつどこで起こっても不思議ではないということを重ねて感じているところです。このような地震による災害の軽減を目指す活動の一つとして、緊急地震速報の本運用に向けた「緊急地震速報の本運用開始に係る検討会」を先月より立ち上げたところです。明日、第2回の検討会を開催しますが、第1回同様、この検討会は会議を公開し、また、資料や議事概要はホームページに掲載します。

一方、気象災害の点では、昨年よりは少なかったものの、例年並の3個の台風が上陸しました。九州地方を中心に記録的な大雨をもたらしました台風第14号などでは、台風情報等の一層の拡充の必要性を改めて考えさせられました。このような中、今年は鹿児島県で土砂災害警戒情報の運用を開始し、台風第14号に際して最大限の警戒を呼びかけたところです。土砂災害警戒情報の発表については国土交通省のアクションプランの中で今後3年間で全国の都道府県に対象を広げていくことになっています。また、台風情報の充実に関連して、情報発表に用いる図示方法などを検討していただく有識者等の懇談会を設置したところで、本日午前に第1回の懇談会を開催しました。あと1、2回開催する予定ですが、国民の皆さまに情報を誤解なく、かつ分かりやすく伝えるという観点を中心に、ご意見、ご提案を頂きたいと考えております。

最後に、地球環境関係ですが、本年2月に京都議定書が発効しまし、また数日前には今後の地球温暖化対策に向けての国際的な検討の一定な方向性が定まったとのことです。当庁では10月に「異常気象レポート」を公表しましたところ、掲載しましたホームページに多くのアクセスを頂きました。今年の気候に関しては、先ほど本年の世界と日本の平均気温の速報値を公表しましたが、今年も世界的にみれば第2位の高温であったことにも注目すべきと思います。
このような地球環境問題への関心が否応なしに高まっていることもあり、来年の1月21日土曜日の午後に「気候講演会」を開催することとしております。概要については別途お知らせしていますが、講演会では地球温暖化の実態や、今後社会的にどう対応していくべきかなど、広範な内容が取り上げられますので、多くの方々にご参加いただきたいと考えています。

少し早いところですが、以上をもって、この一年最後の私の会見とさせていただきます。

主な質疑応答

Q 運輸多目的衛星MTSAT-2の打ち上げが2月15日と決まったが、2号機ということで、1号機の経験などを踏まえて、運用までの期間は短くなるのか。
A 2号機といえども、運用までのスケジュールは、宇宙空間になじませることが必要であること、機器の試験などの手順などを省くことはないので、特段に短くなるというものではありません。気象衛星としては、1号機が機能している間は待機させ、1号機の機能が終わった後に運用に入ることになっており、慎重に準備を進めていくことにしています。

Q 軌道上での待機ということは、必要なときにはすぐに利用できるのか。
A 一般的に、宇宙空間の機器については、スイッチを入れて瞬時に稼動させるというわけにはいきません。MTSATについても同様で、例えばカメラの温度調節などに時間が必要なため、すぐに画像が取れるものではありません。

Q 富士山測候所の施設利用の件で、研究者など多方面の方々によるNPOが設立されたが、維持、管理の運営主体になってもらうという選択肢を含めてどのように考えているのか。
A 気象庁としては、有人での気象観測についてはその使命を終えたものと考えています。さまざまな活用分野があり、気象庁としても可能な限り協力していきたいと考えています。設立されたNPOにおいて、どのような活用の具体策がまとめらるのか、注目しているところです。


(以上)

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