気象審議会第64回総会
議事録
第4回:平成12年2月3日

気象審議会第64回総会議事録

  1. 日時及び場所
    平成12年2月3日(火)13:30~14:30
    如水会館オリオンルーム
  2. 出席委員
    下鶴会長、浅井、池田(代理)、石毛、稲田、岩崎、川本、酒井、
    篠原、柴、柴崎、管原、立平、内藤、西尾、三浦(代理)の各委員
  3. 議 題
    1. 開 会
    2. 委員等の異動報告
    3. 気象庁長官挨拶
    4. 議 事
      • 審議事項

        気象審議会諮問第21号に関わる中間報告(案)について

      • 報告事項

        平成11年度第2次補正予算及び平成12年度予算案について

      • その他
    5. 閉 会
  4. 議事経過の概要

1.開 会

(事務局)ただいま委員総数26名中15名ご出席いただいております。気象審議会運営規則第2条第1項により定める議決に必要な委員の過半数の出席をいただいておりますことをご報告いたします。

(会長)それでは、ただいまから気象審議会第64回総会を開催いたします。 委員の皆様方には大変お忙しいところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

2.委員等の異動報告

最初に、前回の第63回総会以降の委員の異動につきまして事務局から報告をしていただきます。

(事務局)報告させていただきます。

資料の確認は後ほどさせていただきますが、お手元の資料64-1の委員名簿をご参照いただきまして、前回の総会、平成11年度9月14日以降の異動で新しく委員になられました方々をご報告申し上げます。

日本船主協会常任理事稲田正三殿。 東日本電信電話株式会社代表取締役副社長三浦惺殿。なお、本日は代理の方がご出席されております。

以上で委員の先生方の異動につきましての報告を終わらせていただきます。

(会長)ありがとうございました。

3.気象庁長官挨拶

それでは、引き続き議事に入りたいと存じますが、その前に気象庁長官にごあいさつをいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

(長官)本日は、会長を初め委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

気象業務を取り巻く環境の変化や行政改革、規制緩和等の動向を踏まえ、21世紀初頭における気象業務のあり方について指針をいただきたく、昨年9月14日、「21世紀における気象業務のあり方について」諮問をさせていただきました。

この諮問の審議に必要な検討のために設置されました総合計画部会におかれましては、部会長のもと、非常に短期間にもかかわらず、熱心なご討議をいただき、このほど中間報告をまとめていただいたと伺っております。本日は、その中間報告についてご審議いただくとのことで、よろしくお願い申し上げます。

さらに、21世紀初頭に向けた国、地方公共団体、報道機関、民間事業者を含めた総合的な気象業務の方向性のまとめについてのご審議も引き続きよろしくお願い申し上げます。

近年、台風や集中豪雨、地震、津波等による災害が頻発し、気象業務の役割はますます大きくなってきております。気象庁では、当審議会のご指導のもと、災害の防止、軽減に向けて業務の改善に努めてまいっております。後ほど詳しく説明させていただきますが、今年度につきましても第2次補正予算によりまして、集中豪雨対策や地震・火山対策の強化等を進めることとしております。

さて、皆様ご承知のとおり、昨年11月、非常に残念ではございますが、静止気象衛星ひまわり5号の後継機に当たります運輸多目的衛星の打ち上げが失敗に終わりました。今日の気象業務において静止気象衛星は必要不可欠であることから、代替機をできるだけ早く打ち上げるべく、そのための経費を平成12年度予算案に盛り込んでございます。一日も早く皆様の期待にこたえるべく、鋭意取り組んでまいる所存でございますので、今後とも皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。

(会長)長官、ありがとうございました。

4.議事

それでは、総会次第に従いまして議事を進めてまいりたいと思いますが、議事に入ります前に、事務局から資料の確認をしていただきます。

(事務局)資料の確認をさせていただきます。

気象審議会第64回総会、2ページ目にございますが、総64-1、「気象審議会委員名簿」でございます。続きまして審議事項総64-2、「諮問第21号に関わる中間報告(案)の総合計画部会での審議経過」、これが2枚でございます。さらにそこには別添1がついてございます。それから総64-3、「諮問第21号に関わる中間報告(案)」、総64-3-1から3-19までございます。

最後に報告事項でございます。総64-4、「平成11年度第2次補正予算及び平成12年度予算案について」、総64-4-1と4-2でございます。以上ございますでしょうか。もし何か不足がございましたら事務局の方で用意してございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(会長)よろしいでしょうか。

それでは、議事の次第によりまして、議事(1)の審議事項に入らせていただきます。

諮問第21号「21世紀における気象業務のあり方について」にかかわる中間報告につきまして、委員の皆様にご審議をお願いしたいと存じます。

ご承知のとおり、平成11年9月14日付で当審議会に対し気象庁長官から諮問がございました。当審議会は、諮問について専門的な調査審議を行うため、総合計画部会を設けて、委員にも加わっていただきました。また、関係方面から8名の専門委員のご参加を得て、ご検討いただいております。今回の諮問につきましては、中央省庁等改革基本法における気象庁との密接な関係から、総合計画部会としての審議の成果を中間報告としてご報告いただくことになっておりましたが、このほど主要な部分につきまして部会としての結論が得られたようでございます。

それでは、総合計画部会の審議経過及び中間報告(案)につきまして、部会長からご報告をいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

(部会長)それでは、私から報告させていただきます。

資料総64-2と64-3をごらんください。それに基づいて報告したいと思います。先ほど会長からご紹介がございましたように、前回の気象審議会総会におきまして、第21号諮問に対する答申の案を作成すべく総合計画部会というものが設置されました。これは昨年9月14日の総会でございます。その総合計画部会のメンバーは別添1のとおりでございます。まず、これまでの審議経過と、それから中間報告、引き続きまして後ほど今後の審議スケジュール等について報告いたしまして、中間報告(案)についてご審議を賜りたいというふうに思っております。

まず、総合計画部会の審議経過でございますが、第1回の部会は昨年9月14日、総会で部会の設置が認められたその日に第1回目の部会を開きまして、第2回目は9月30日、第3回目が10月20日というかなりタイトなスケジュールで、1月余りの間にこの中間報告の案をまとめさせていただいたわけでございます。そして、それを公開いたしまして、一般の方々からのご意見を賜りました。そのために1カ月ぐらいの期間を設けました。その間に、その中間報告をまとめた後で審議すべき事項について第4回の部会で審議しまして、第5回の部会はことしの1月20日でございますけれども、一般からの貴重な幾つかのご意見を賜りました。それらも考慮いたしまして、部会としての最終的な中間報告を取りまとめ、そして今日、それをこの総会にご報告して審議をお願いするというふうな段階に至ったわけでございます。

中間報告の内容でございますが、中央省庁等改革基本法において、気象庁に関する幾つかの指摘事項がございました。これはこの部会で草案をまとめるべき21世紀を展望した気象業務についてを審議する内容と大変重なり合うところが多いということで、この部会で早急に審議して、気象庁としての対処の仕方についての案をまとめるようにということでございましたので、まずそれに対するお答えをするということで、今回の中間報告というのはそれに重点を置いた報告になっております。

先ほど申し上げました中央省庁等改革基本法において指摘された気象庁に関連する事項として、これは大別しまして3つのポイントがございます。1つは、気象情報の提供は国が行う必要があるものに限定すること。2番目は、気象業務を行う民間事業者に対する規制は必要最小限のものとすること。3番目といたしまして、気象測器に対する検定等の機能は民間の主体性にゆだねること。こういう3つの指摘事項がございまして、これらに気象庁としてはどういうふうに対応するか、その対応のあり方についてこれを早急にまとめなければいけないということで、かなり急いでこれをまとめたわけでございます。私からまず主要な結論だけを簡潔に申し上げまして、中間報告の詳しい内容については引き続いて事務局からご説明いただきたいというふうに思っております。

主要な結論でございますが、1番目の問題、気象庁が国として提供すべき気象情報といたしまして4つの項目を掲げております。第1番目が注意報、警報等の防災気象情報でございます。第2番目としまして、国際的な責務、貢献として作成、発表する気象情報。3番目としまして、国の政策等に必要な基盤的情報。4番目としまして、あまねく国民が享受すべき共有財産としての性格を有する気象情報。とりわけ1番目、2番目は、気象庁が国として第一義的になさねばならない、提供しなければならない気象情報である。第3番目、第4番目は、気象庁だけが必ずしもやらなくてもいい。大いに民間活力にも依存すべき部分があるだろう。今後ますます社会のニーズというのは多様化し、増大する一方でございますので、国だけではなくて、大いに民間の活動にも依存すべきであるという考え方でございますが、3番目、4番目につきましては、1番目、2番目を実施する上で、気象庁としてはこれまで着々と構築してきた基盤に基づいて大変効果的に3番目、4番目の事業も実施できるので、この3番目、4番目についても気象庁としては大いにやっていくべきである、そういうことが第1番目の問題点に対する結論でございます。

第2番目の気象業務を行う民間事業者に対する規制はできるだけ限定するということでございますが、まず第1点としまして、これまでもう既に一部民間事業者によって予報業務がなされております。それは予報区が限定されておったということ、つまり局地、市町村レベルあるいはそれよりも狭い地域に対する予報というものが許可されておったわけですが、この制限を外すということであります。予報区設定を自由化するということが1点。

それから第2点としまして、予報期間でございます。これまで主として短期予報、つまり1週間以内の予報に限定しておったわけでございますが、その後の気象庁における気象事業の進展に応じまして、予報期間を1カ月まで延長するのが好ましいであろうということが第2点でございます。

そして、これまでもこういう民間における予報業務を支援して、さらに拡充していく上で、中核的な技術者を養成する、確保するという点で、数年前に設けられた気象予報士制度が大変有効に機能しているわけでございますが、今後はさらにその気象予報士制度を充実する必要があるだろうということが第3点でございます。

それからもう1つ、気象測器に対する検定等の機能は民間の主体性にゆだねること、この問題につきましても部会といたしまして審議してまいりましたけれども、ちょうどそのころに、気象測器のみならず、各関係省庁にかかわる計測機器全般についてかなり広い立場から検討しつつある、そして間もなくそれについての取りまとめが行われるということを伺ったものですから、私どもとしましても、この気象測器の検定等についての審議はさらにそれらを踏まえて深める必要があるだろうということで、今回の中間報告からはその部分を削除、その部分を含めないことにいたしました。

以上がその中間報告の結論の部分でございますが、引き続いて事務局からもう少し詳しく中間報告の内容についてご説明いただきたいというふうに思います。

(事務局)それでは、事務局から中間報告(案)についてご説明いたします。

資料は総64-3-3でございます。先ほど部会長からご説明がありましたように、全般としては行政改革会議、それからそれに基づく中央省庁等改革基本法での指摘事項に対する回答の3点を中心として検討されまして、そのうち気象測器検定制度のあり方については、さらに議論を深める必要があることから引き続き調査審議する。残りの2つについての結論ということでございます。 行政改革の経緯については、3ページ、4ページ、5ページの上の方に書いてありまして、それに基づきまして気象庁が行うべき気象業務、あるいは翻って国の行うべき事務事業の考え方というのが5ページ、6ページに書かれております。

気象庁が国として提供すべき気象情報として4つの類型に分けたという話が6ページの下の方から書いてありまして、気象庁が国として行う場合には、国として専管的に行うべき情報と、それから先ほど部会長からご指摘がありましたように、専管的に必ずしも行う必要はないとしても、気象庁の持っています基盤を利用して効率的にできるというものをもう1つの類型とするというふうにしております。

国として専管的に行うべきものとしては、6ページの下にある①注意報、警報等の防災気象情報については、国、地方公共団体、その他国民等に至るまで防災対応を行うために必要なもの、気象、地震、火山、津波、高潮、波浪などの情報についてはやはり一体的に提供することが必要ということから、引き続き国が行う必要がある。それからまた、国際的な条約に基づいて行われるもの、あるいは連携・協力として、国際的な責務・貢献として行うもの、これは1つの類型としましては、船舶、航空機向けの情報は条約に基づいて提供しておりますし、それから国際的な貢献としていろいろ観測などを行っている。例としてはオゾン層、地球温暖化に関する情報などもこういうものとしてございます。こういうものについては引き続き国の機関として責任を持って作成、発表すべきである。それが1点目の結論です。

そのほかに7ページ、8ページに書いてありますけれども、まず1つ、国の政策等に必要な基盤的情報という説明なんですが、具体的には次に書いてありますように、異常気象等に関する気候情報、季節予報などを類型としております。昨今の気候変動、環境などのいろいろな重要課題にかかわりまして、国みずからが行う必要はないとしても、かなり中長期的な技術開発や先行投資などが必要となって、国が先頭を切って対応する必要があろうというものが1つの類型。もう1つ、これは国民の皆さんにおなじみになっている天気予報、週間天気予報などについては、あまねく国民が享受すべき共有財産としての性格を有する気象情報ということで、天気予報については後ほど出てまいりますように、予報業務許可ということで民間の方もおやりになっているわけです。また、気象庁としましても、防災気象情報、先ほどの注意報、警報などを発表する傍ら、一体不可分として情報提供を効率的にできるということから、引き続き情報提供すべきであるということが結論となっております。

その後8ページ、9ページにかけては、その防災気象情報の効果を高めるために、国、地方公共団体、報道機関等の連携を強化すること、それから国民1人1人に対する災害への理解の促進などが書かれております。

それから、規制緩和の件でございますけれども、9ページ、10ページにかけて今までの経緯が書いてありまして、民間気象業務が平成5年の気象業務法の一部改正を受けて発展していることなどが書かれております。今後の発展の方向としまして、さまざまな情報通信技術の急激な発達と相まって、今後のさまざまなニーズに応じたサービスがあるということが11ページなどに書かれております。そのために気象業務支援センターにおいて民間気象業務の振興のために、さらに各種の気象データを有効に活用できるようないろいろな環境整備が必要ということが書かれております。

予報業務許可の話ですけれども、13ページから予報業務許可がどういうことがあるかということが書いてあります。14ページの下の方に書いてありますが、気象庁以外の者が予報を行うことについては、予報にもいろいろあるんですけれども、まず注意報、警報などと防災気象情報と密接に結びついているところについては、やはり1つの整合性を確保する必要がある。もう1つ、これは一般的なんですけれども、気象情報の提供については、1度発表されたものについては即座に流通し、不正確なものが出た場合になかなか訂正しにくいという性質があるため、これに対して国民の信頼にこたえるように正確に出す必要があるのではないかということが書かれております。こういうことをするために、およそ1つ1つの天気予報などの内容を個別に事前にチェックすることは技術的にできないということから、あらかじめ予報業務許可を行う者に対して、予報業務の許可制という形で必要最小限の規制をすることが適当であろうということが15ページの上の方に書かれております。

先ほど部会長からお話がありましたように、そう言いながらこの規制をなるべく緩和するにはどうするかということで、具体的なポイントとしましては、1つは16ページの(3)の上に書かれております。イのところに、18号答申に基づく平成7年の業務法改正においては、当面、局地、すなわち市町村程度の範囲の区域、またはそれより狭い区域である局地のみを対象として、一般向けの予報の許可が行われるようになったということでございますけれども、昨今の民間気象事業者の予報技術の向上なども踏まえまして、ハのところに書いてありますが、予報区設定を自由化して、さらに多様なニーズに対応可能とするということから、民間気象事業の振興を図る必要があるという結論となっております。

それから、1週間を超える長期の気象予報ということなんですけれども、これは17ページのところに書いてありますが、まず長期の気象予報の現状の評価ですけれども、気象庁がやっております1週間を超えるものとしては、1カ月予報、3カ月予報、暖候期予報、寒候期予報がありますけれども、現在でも1カ月予報を除いて、必ずしも予報精度が利用者が期待する水準には達していないということがまず書かれております。しかし、昨今の高度情報化などについていろいろ開発を進めまして、精度向上の見通しは開けつつあるということでございます。

1カ月予報については、精度が昨今向上いたしまして、さらに平成12年度末の計算機更新などにより、利用者の期待にこたえるものとなるであろうと考えられております。そのため、技術開発の成果に基づいて1カ月予報について許可を行うこととするのが適当であるという結論となっております。そのために必要な環境整備を図る必要があるということがその下に書かれております。

それから、1カ月を超える長期の予報というのもあるんですけれども、それについては、さらに予報精度の向上に向けて技術開発を進め、それによって精度が向上したものから積極的に予報業務の許可を行うべきであるという結論となっております。

以上、これが規制緩和に属する部分でございます。

最後に、19ページの下の「おわりに」というところで、引き続き気象測器検定制度について調査審議を深めて早急に取りまとめるとともに、本報告を踏まえて我が国の気象業務がいかにあるべきかについて幅広い見地から審議を行うこととしております。

それから、この案は先ほど部会長からご紹介がありましたように、昨年11月22日から12月17日の間、中間報告(案)としてインターネットに公開いたしまして、意見公募を行いましたところ、結果としまして3件の意見が寄せられております。3件の意見をお寄せいただいた方は、気象業務に関連する分野でご活躍の方、あるいは気象業務の経験者、そういう方々でございます。結論としまして、その中で、公開しました案に対して修正すべきというものはございませんでしたけれども、今後の議論の方向づけ、あるいは中間報告に基づいて実施する内容などにいろいろ参考にさせていただくということをしております。細かいことは申し上げませんが、全般的内容についてこれからご紹介いたします。

1つのご意見としまして、全般的なことなんですが、中間報告ではあっても、現在の気象事業がどういうふうにあるべきか、それに基づいてどういう基盤整備をすべきか、そういう全体論が必要ではないかということでございます。これについては、今後21世紀の気象業務の展望について基盤整備も含めて調査審議を行うこととしております。

もう1つの意見としまして、気象情報というのは公共性がある。一方情報サービスとしての商業性があり得る。そういう二面性があるということで、その間に境界を引くということでいろいろな議論があり得るであろう。その具体的な例としまして、民間の活動を支援する気象行政というコンセプトから、例えば民間企業が気象衛星を打ち上げまして、それに受益者として、お客として気象庁が関与するとか、そういうような方法があり得るのではないかというご意見でございます。これについては、静止気象衛星というのは台風等の監視、予報という防災面において中核的な役割を果たしている。さらに、国際協力としてアジア・太平洋諸国の気象業務にとって非常に不可欠な道具となっているため、引き続き国として責任を持つべきであろうというふうな考えでおります。そういう点から、現在のご提案をこの中に盛り込むのはできないというふうに考えております。

それから、次のご意見ですけれども、予報業務の許可制度と予報士について2点ございます。1つのご意見としては、1カ月予報の自由化に反対というご意見であります。その根拠としまして、外れた場合の責任をだれがとるのか不明確であるということと、予報精度をもっとさらに検証する必要があるということでございます。それから、1カ月予報だけじゃなくて、現在の天気予報及び週間予報も含めて一般向けの予報の自由化はやめた方がいいというご意見でございます。これは民間に対する予報業務許可として、先ほどご紹介しましたように、一般に対する天気予報を許可するために数値予報の提供、あるいは気象予報士制度を導入して定着しておりまして、十分な質が確保されていると考えております。1カ月予報についても同様な措置をとって、研修などの措置をとることによって気象予報士の育成をするということで、十分責任を持ったものができるのではないかというふうに考えております。

もう1つの意見としまして、これは別な意見なんですが、防災関係の従事者の方からなんですが、もっと災害について突っ込んだ現象の予想ができる予報士の育成をすべきではないかということをおっしゃっております。この報告(案)におきましては、災害に直接かかわる予報の発表については、引き続き国として一元的に発表すべきであるというふうに提言しております。しかし、台風予報などの解説に気象予報士が重要な役割を果たしているということもまた十分認識をしておりまして、気象庁としては災害については国として一元的にかかわりますけれども、気象予報士の活動についてはその活動を支援していきたいというふうに考えております。

以上でございます。

(会長)ありがとうございました。

21世紀の近未来をねらった極めて重要な課題でございまして、平成11年9月からもう既に5回部会を開催されて、非常に短い期間でございましたが、このように中間報告(案)をまとめていただきました。本当にありがとうございました。

この中間報告は、委員の皆様にはお手元に事前に届いていると存じますが、ただいまご説明いただきました中間報告につきまして、委員の皆様にさらにご審議をお願いいたしたいと存じます。ご意見、ご質問がございましたら、どうぞ遠慮なくご発言をいただきたいと思います。

ちょっと私から質問なんですが、公開した外部からの幾つかのご意見が今ございましたが、出された方にはこちらから何か言ってあるんですか。

(事務局)まだ、これらの意見の方にはこれに対するレスポンスはしておりません。

(会長)何かいかがでございましょう。

(委員)気象庁の持つ数値データという公的なものを民間におろしていくという構造はよくわかったんですけれども、最近そういうテレビを見ていると、55分とかそのあたりから正時まであたりはすべて気象情報になっているから一生懸命見ているんです。私たちの子供のころですけれども、以前は子供たちは気象予報というと気象庁の予報だけと思って、大体電話で聞くことが多かったように思うんです。民間におろすことと、もう1つ、気象庁自体が発表するものとの区別と言うと変ですけれども、そこにももう少し力を入れた方がいいんじゃないか。

TV各社を見ていると、予報士のパーソナリティに頼っていろいろ言って、おおむね同じようなことは言っているんですけれども、だんだんその人のパーソナリティみたいな物の言い方とか、そういう工夫の方にいっていて、もっとすっとしたね。それから、55分からじゃなくて常時聞ける。私の今の発想はちょっと弱いですけれども、電話で聞くだけなんですが、あの電話の内容って声からして余り楽しくもないんですけれども、気象庁自身も発表する方法をもうちょっと工夫するとか、そういう二重立ての方に、全部おろしてしまっていくという方向だけじゃなくて、2つあった方が、構造は違っていいんですね。

それから、特に今後1カ月予報とか3カ月とかいったとき、これまでのは結局規制を緩和するということが20世紀の最後の、気象だけじゃなくて日本のありとあらゆる分野で緩和しなければいけないと、外圧もあり、そういう方向にあったんですけれども、もう1回立て直していくみたいなもの。公的なものと民間的なものの、やっぱり一重でいくのか、二重でいくのかみたいなのを--今回の論議に入っているのかもしれません。そういうのを感じることが最近非常に多くなってきました。それが1点。

もう1点は、私がテレビを見ていて非常に関心を持って最後まで見たんですけれども、東北地方でしたか、老人ホームか何かのところに土砂が、だあっと来る。なぜ来たかという話をずっとしていて、ああ、なるほどと。新聞情報でわからない土の中の水、気象予報で大雨から水が入ったときの土砂の感じとか、そういうのをすごく正確に話をしていた。NHKだったような気がするんですけれども、これはさっきの被害の方ですけれども、ああいう非常に基本的なそのとき、そのときの被害状況だけを報告していくのではなくて、やっぱりそういう科学的なものへのスポンサーシステムというんですか、結果論じゃなくて予防も含め、気象庁がバックアップしていくという方向性も少し取り入れてくだされば、自分で予報ができる。このくらいの雨が降ってくると、自分が住んでいるところはこうなる、あるいは旅行先の旅館だとこうなるんじゃないかみたいなのが予報できるというのは、商業イズムだけに任せておくとできない部分があると思うんですね。それはさっき言ったのと同じことなんですけれども、公的な部分と、商業中心の部分のやっぱり二重立ての発想というのを、もう1度そちらの方にも戻してみるというのが入っているのかどうかはわかりませんけれども、ただ意見として、ちょっと感じたもので。

(会長)ありがとうございました。事務局あるいは部会長、何かご意見がございますか。

(事務局)まず後者の方が答えやすいので、お答えさせていただきます。

これは、基本的にはこれから21世紀の初頭における気象業務のあり方ということで、部会長のもとでご検討をお願いするわけですが、現在私どもで考えてございますのは、今先生からお話がございましたように、災害のメカニズム、気象現象と発生する災害の可能な限りのリンケージをとった形での情報をこれから発表していきたいということでございまして、特に注・警報については、今までの低気圧がどうかという情報ももちろん大事なんですが、それにあわせて予測される災害の可能性、これを示した情報の提供を、現在なるべく早く実現したいというふうに考えてございます。

前者の一般の天気予報の件でございますが、気象庁は基本的には気象業務法に基づきまして、報道機関等のご協力を得て気象庁の情報を発表するということになってございまして、その意味で申しますと、現在NTTの177、これはほぼ気象庁の出している情報のとおりの予報が繰り返し提示されております。それから、報道機関におきましても、大体夕方の7時のものは各予報士さんが気象庁の情報も参考にしながら解説なさるんですが、その他の時間、例えばNHKですと、ラジオの場合ですとほぼ24時間、1時間ごとに天気予報の発表がされているわけですが、大体そのときには、気象庁の発表する天気予報をカテゴリー予報と呼んでいるんですが、それをお使いいただいていると聞いております。

いずれにしても、定時の気象庁の情報はすべて報道機関に提供されてございまして、その報道機関の方で視聴者の利便性を考えて、気象庁のものあるいは一般の気象事業者のもの、それを使い分けていただいていると思っております。

なお、21世紀初頭に衛星デジタル放送が開始されるわけでございまして、この場合は、例えばNHKのコンセプトでございますと、気象情報が24時間常にテレビの画面上に出てくる。これについて報道機関と今後気象庁との間でご相談をする必要があるんですが、私どもが聞いている話では、注・警報については気象庁の出す情報、災害情報についてはきちっと24時間伝えたい。その間の天気予報についてはバリエーションのあるものにしたいということでございまして、一応気象庁発表というクレジットのものが出たときには、気象庁によればというふうになっているのが現状でございます。

(部会長)ついでながらもうちょっと補足させていただきますと、特に2番目の防災に関する問題ですが、これは気象業務にとっても大変重要な問題です。防災の問題は、かねがね思っているわけですが、この気象情報というものと、それを受けて対処すべき地方自治体、あるいは消防とか警察とか、そういう関係組織、それからそれを受けて行動する一般の住民、その3者の連係プレーがうまくいって初めて有効な、効果的な防災ができるのではないか。だから、そういう意味で、受け手の一般の住民もそういう情報に対する正しい受けとめ方というか、知識といいますか、そういうものを持っていただく必要があるという意味で、今先生のおっしゃった、ふだんからそういう自然現象についての理解を深めるような努力を気象業務の一部としてもやっていかなければいけないのではないか。そのためには、いろんなマスメディアの支援も必要ですけれども、大いにそういうものを活用して、そういう活動も気象業務の一部としてやっていただきたいというふうに思って、この中間報告の中にも一部書いてあるわけです。

(会長)ほかに何かご意見がございますでしょうか。

この中間報告にもありますように、気象予報士制度の充実というのが書いてあります。ですから、気象予報士がさらに今後技術的な進歩ができるのだろうというふうに期待しておるわけであります。

ご意見がございませんようでしたら、この部会の中間報告を了承すると、当審議会の中間報告とすることにしたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。

異議なし

(会長)ありがとうございます。

部会長初め部会に加わっていただいた委員の方々には、各分野における課題について本当によくやっていただきました。引き続いてご審議いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

また、気象庁長官におかれましては、中間報告の提言を受けまして、その早急な具体化を進めるようにお願いしたいと存じます。

それでは、事務局から今後の審議スケジュールについてご説明願います。

(事務局)それでは、資料は総64-2-2でございます。

この中間報告の審議経過は、ただいま部会長からもお話がありましたように、第5回の部会まで行われております。既に情報通信等の動向、あるいは衛星による地球観測、気候環境分野における課題などについてご審議をいただきました。

今後、予定をしておりますのは、第6回2月3日に、この審議会の後でございますけれども、予報分野における課題についてご審議いただきまして、3月には地震・火山分野における課題でご審議いただきます。これに基づきまして、審議会への答申案について全般的にご議論いただきまして、答申案の作成は6月を目指して行うこととしております。

(会長)ありがとうございます。

この答申案の公開というのはどういうスケジュールになりますか。

(事務局)この全般的な答申案も、先ほどの中間報告案と同じく、案を作成した段階でインターネットにおいて公開して、それからまた一般からのご意見をいただいて、そのご意見を踏まえて部会で答申案をご審議いただいた後、総会にご提出してご審議いただくということを考えております。

(会長)総会は6月のいつかですが、そのときには答申を長官に提出する総会になるわけですか。

(事務局)基本的には、総合計画部会でご審議をいただいておりますので、その総合計画部会の取りまとめが4、5月くらいで、その段階で一般のパブリックシティーコメントをいただいて、さらに練った上で計画部会として総会にご報告する案を取りまとめたい。それで、総会でご審議いただいて、もしもそのままであればそのご答申をいただく、こういうスケジュールで今想定してございます。

(会長)ということだそうでございます。

それでは、議事(2)の報告事項に入らせていただきますが、平成11年度第2次補正予算及び平成12年度予算案について、事務局からご報告をお願いいたします。

(事務局)それでは、ご報告いたします。

資料は総64-4-1でございます。まず平成11年度補正予算でございますが、去る12月9日に成立いたしておりまして、20億円が認められております。集中豪雨等対策ということで、局地的気象監視システム、それから貯雨量の解析システム、その他が認められております。あわせまして、地震・火山対策のために南西諸島の観測網の強化、その他が認められてございます。

12年度予算案でございますが、総64-4-2にございますように、総額771億円、うち重要事項につきましては64億円が要求されているところでございます。この中では、運輸多目的衛星の失敗に伴いまして、この代替機、それからそれに引き続きます新たな第2号衛星、この予算が提出されているということでございます。その他地震・火山対策の強化、地球環境対策等の強化、こういった予算が要求されているところでございます。

(会長)ありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたらどうぞお願いします。

(部会長)これは、私ども総合計画部会で現在21号答申をすべく審議しているわけですが、そこで今後の気象業務の3つの重点事項、1つは集中豪雨、豪雪を中心にしたメソスケールの気象予報の精度向上と予報期間の延長が1つのポイントでございます。それから地震・津波・火山、もう1つは気候、地球環境ということに重点事項を絞って、審議をしようとしています。その観点から予算的にもこの3つの重点事項を取り上げられて強化されようとしている、これは大変結構なことだと思います。

そこで、幾つかお聞きしたいことがあるんですが、時間がございませんので、1つだけに絞らせていただきます。予算として気象観測船がついていますね。この船の運用といいますか、運航といいますか、これは大変難しい問題が実は含まれていると思うんです。といいますのは、私も昔、東大の海洋研究所で研究船の有効利用をいかに進めるかということで随分苦労した経験があるんですが、官庁船一般の問題だと思うんですけれども、立派な船をつくっても十分にそれを利用するのはなかなか難しいという現状があるんですね。これは官庁船特有の問題だと思うんですが、僕はこういう運用の仕方ではいずれ行き詰まるのではないかと思うので、何か新たな運用の仕方をこれから考えていかなければいけないのではないか。これは気象庁だけの問題ではないかもしれませんが、その辺、どこからか突破口を開いていかないといかんのではないかという気がしているんです。建造予算がついた機会に何かそういうお考えがあるのかどうか、もし伺えればありがたい。

(事務局)現在建造いたしておりますのは、啓風丸の代替船ということです。従前、啓風丸につきましては、海洋上における気象観測及び海洋中の観測ということでやっておりましたが、今回は海洋中の方に力を注ぐような新船にしようということで、現在考えております。

ただ、運用につきましては、新機軸を出すに至っておりません。現在観測船を持ちましても実際に運用できるのは乗組員の勤務時間等の制約で200日あるいはそれに満たない程度しかございませんで、それ以外は定形港において次の航海の準備をしておるというような状況でして、稼働率が非常に悪いということを、今、部会長にご指摘いただいたのだろうと存じております。そのあたり、まさに私どもも大きな問題というふうに考えておりますが、今回代替船を要求する段階で1つの船にクルーを2つ用意して船を有効に活用しようじゃないかというようなことも検討はいたしましたが、実現には至っていない次第です。

ただ、検討はいろんなことをやっておるところです。

5.閉会

(会長)ほかにございませんようでしたら、本日の気象審議会第64回総会はこれをもって終わりといたします。委員の方々、長時間ご審議いただきましてありがとうございました。

なお、引き続きまして14時45分から第6回総合計画部会を開催いたしますので、部会の委員の方々に引き続きご出席をお願いしたいと存じます。

本日はどうもありがとうございました。

[ 以 上 ]

平成12年2月3日
会長 下鶴 大輔 印

気象審議会委員名簿
(平成12年2月3日現在)
会長 下鶴 大輔 東京大学名誉教授
委員 浅井 冨雄 東京大学名誉教授
生田 長人 国土庁防災局長
池田 要 科学技術庁研究開発局長
石井 和子 アナウンサー、気象予報士会副会長
石毛 克政 東京電力株式会社常務取締役
稲田 正三 (社)日本船主協会常任理事
石田 瑞穂 防災科学技術研究所総括地球科学技術研究官
岩崎 壽男 (社)漁業情報サービスセンター会長理事
川本 正知 (財)水資源協会理事長
黒坂 三和子 世界資源研究所上席研究員
近藤 三津枝 ジャーナリスト
酒井 昭 (社)日本民間放送連盟専務理事
滋野 武 日本放送協会理事
篠原 滋子 (株)現代情報研究所代表取締役所長
柴 順三郎 静岡県副知事
柴崎 信三 日本経済新聞社東京本社編集委員
管原 敏夫 (社)日本植物防疫協会理事長
立平 良三 (財)気象業務支援センター理事長
内藤 玄一 防衛大学校数学物理学教室教授
中島 健三 (社)全日本航空事業連合会理事長
西尾 敏彦 (社)農林水産技術情報協会理事長
原山 清己 東日本旅客鉄道株式会社代表取締役副社長
廣瀬 省 環境庁大気保全局長
松野 太郎 地球フロンティア研究システムシステム長
三浦 惺 東日本電信電話株式会社代表取締役副社長

※ 五十音順敬称略

3.閉会

(部会長)私は皆さん方のご意見を聞くと、すぐ、なるほどもっともだという気になるものですから、ついつり込まれて本日は時間が超過してしまったんですが、どうも申しわけございませんでした。それでは、これでおしまいにします。どうもありがとうございました。


[ 以上 ]

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