気象審議会総合計画部会
議事録
第2回:平成11年9月30日

気象審議会総合計画部会 議事録

  1. 日時及び場所
    平成11年9月30日(木)14:00~17:00
    KKR HOTEL TOKYO 丹頂の間
  2. 出席委員
    部 会 長:浅井
    委 員:石井、石田、柴崎、西尾、松野
    専門委員:石橋、亀岡、西郷、竹下
  3. 議 題
    1. 開 会
    2. 議 事
      1. 第1回総合計画部会議事録(案)
      2. 気象庁の提供すべき気象情報
      3. 予報業務許可制度、気象予報士制度、無線通信による観測成果の発表業務の許可制度等の今後の方向性
      4. 気象測器検定制度等の今後の方向性
      5. その他
    3. 閉 会

1.開 会

(事務局)それでは、定刻になりましたので、第2回気象審議会総合計画部会を開催させていただきます。

まだ二、三の委員、専門委員の先生方がお見えになってございませんが、定刻になりましたので、始めたいと思います。

先生方には、第1回総合計画部会より期日も経ていないところ、ご多忙の中ご出席いただきまして、ありがとうございました。

第1回目の総合計画部会に都合によりご出席いただけなかった部会委員、石田瑞穂様をご紹介いたします。防災科学技術研究所総括地球科学研究官でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の審議でございますが、既にご案内のとおり、審議していただく議題も多くなってございますので、17時までの3時間を予定しております。議事の進行等につきましてもよろしくお願いいたします。

それでは次に、資料の確認をさせていただきたいと存じます。お手元に、議事次第、ご提言をいただける先生方からの資料に加えまして、本日の部会において事務局からご説明予定の資料として、計2-1から計2-5までお手元にございますでしょうか。

それから、本日お話しいただきます先生方の資料とパンフレットがございます。それもございますでしょうか。資料の確認はよろしゅうございましょうか。--欠けているようでございましたら、事務局の方へご連絡願います。

なお、これらの資料は、一部を除き、あらかじめ郵送させていただいたものと同じでございます。

また、亀岡専門委員におかれましては、9月16日付で気象測器工業会の第46期の理事長に就任され、今後ますますご活躍されることと伺っておりますことを申し添えます。それでは、早速第2回部会の審議を部会長にお願いいたします。

2.議事

(部会長)それでは、早速議事に入らせていただきます。

皆さんのお手元にある部会の次第の議事をご覧いただきたいのですが、随分たくさん議題がございますし、限られた時間ですので、最初に私の方から議事の進め方と時間のおおよその配分を提案させていただきたいと思います。

議題(1)の第1回総合計画部会議事録(案)をご承認いただいた後、3つの主要な議題がございまして、1つは2番目に書いてあります「気象庁の提供すべき気象情報」。これは、前回ここでご議論いただいた結果を踏まえて、事務局でもう1度資料をつくり直していただいたもの、それを事務局から10分ぐらいでご紹介いただいて審議をする。これに大体30分ぐらいを充てたいと思っております。

議題(3)、これは2番目の重要な議題でございますが、予報業務許可制度、気象予報士制度、無線通信による観測成果の発表業務の許可制度--この3番目は、前回時間切れでご紹介できなかったのですが、皆さん方に資料は目を通していただいていると思います。その3つについての今後の方向性。これは、前回申し上げましたけれども、この分野に関係の深い専門委員、委員からそれぞれご提言をいただきます。さらに、事務局から前回の審議を踏まえて整理し直した資料のご紹介をいただきます。その後でご検討いただくわけですが、これを大体1時間と考えたらどうかと思っております。

その次に、3つ目の議題でございますが、議題(4)として「気象測器検定制度等の今後の方向性」がございます。これも、この分野に関係の深い専門委員からご提言をいただき、また事務局から資料をご説明いただく。そして、その後でご検討いただくということで、大体30分を考え、あと残り30分ぐらいを総合討論に充てたいというふうに思っております。

しかし、こんなことを言ってもなかなかそのとおりにいかないのではないだろうかと、余り私は自信がございません。しかし、これは皆さん方の発言を抑制しようとして言っているわけではなくて、大いにご遠慮なく活発なご発言をお願いしたいと思っております。時間が足りなくなれば足りなくなった時点でまた考えることにいたしますので、どうぞご遠慮なくご発言いただきたいと思います。

  1. 第1回総合計画部会議事録(案)

    (部会長)それでは最初に、前回、第1回総合計画部会議事録(案)について事務局からご紹介いただけますか。それと取り扱いも含めましてご説明をお願いします。

    (事務局)ご説明申し上げます。資料は計2-1でございます。

    この議事録につきましては、委員の先生方に事前に見ていただき、必要な修文は行ったものでございます。ご承認をいただければ公開したいと考えております。この席で確認すべきでしょうけれども、改めて読み直したら直した方がいいという場合もあろうかと存じますので、修正すべき点などがございましたら、1週間後の10月7日木曜日までに事務局までご連絡をいただき、修文について部会長にご一任いただいた上で公開することにいたしたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。

    (部会長)よろしいですか。--それでは、そういうふうに取り扱わせていただきます。そういう条件でご承認をいただいたことにしたいと思います。

  2. 気象庁の提供すべき気象情報

    (部会長)それでは、早速、(2)の「気象庁の提供すべき気象情報」について、最初に事務局から簡潔にご紹介いただきたいと思います。

    (事務局)それでは、お手元の資料の計2-2に基づきましてご説明いたします。前回ご説明いたしました資料に基づいておりますので、あえて重複する部分は再度ご説明いたしませんが、ここの中でどういうところを新たにつけ加えたかということを中心にご説明いたします。

    まず、気象庁の提供すべき気象情報ということで、前回4点に分けてご説明しましたけれども、これらはすべて最初の「気象庁の提供すべき」という考え方としましては、気象業務法に書かれております総合的な気象業務の健全な発達、災害の予防、交通の安全の確保、産業の興隆等公共の福祉を増進するため、気象情報を提供している、こういうことでございます。(1)注意報・警報等の防災気象情報、(2)国際的な責務・貢献として作成・発表すべき気象情報、(3)国の政策に必要な基盤的な気象情報、(4)あまねく国民が享受すべき共有財産としての性格を有する気象情報でございます。

    気象庁が現在提供している各種の気象情報は、上記の考え方に照らしまして適正なものと考えておりますけれども、今後その気象業務の目的を達成するため、不断の見直しを行って、より的確な情報の提供に努めるところでございます。

    前回お出ししたものとかなり同じなのですが、違った点、若干加筆した点をご説明いたします。(1)注意報・警報等の防災気象情報、(2)国際的な責務・貢献として作成・発表すべき気象情報、これは変更ございません。

    (3)国の政策に必要な基盤的な気象情報につきましては、ここの書きぶりとしましてはその中ほどから、必ずしも国みずからが行わなければならないものではないけれども、情報の性質上、中長期的な技術開発、先行投資などが必要となりまして、民間では対応が困難なものと考えております。

    (4)あまねく国民が享受すべき共有財産としての性格を有する気象情報につきましては、下に例示として天気予報などがございますけれども、上記の防災気象情報等に密接にかかわるか、または一体不可分な関係を有していることから、これら業務の一環として効率的に作成・提供することが可能であるものというふうに考えております。

    2番目の問題ですけれども、「気象庁の提供すべき」というのは、当然、民間はどうなのかということがありますが、関係機関等と連携・協力した総合的な気象情報の提供という位置づけをご説明しております。当然、気象情報の提供を行うためには、官民の役割、それからまた報道機関等の役割、いろいろございます。

    別紙2をごらんいただきたいのですが、計2-2-3ページ、考え方としましては、まず気象業務としての情報を国、民間に分けたらどういうふうに当てはまるかという考え方をしております。上の(1)、(2)の部分、両方オーバーラップしていない部分は国が専管的に提供すべきものと考えております。下の(5)の部分、社会・経済情勢の変化に伴って多様化・個別化するニーズに対応する付加価値の高い気象情報については民間のみが提供すべきものと考えております。真ん中の網目のかかっているところでございますけれども、(3)国の政策に必要な基盤的な気象情報、(4)あまねく国民が享受すべき共有財産としての性格を有する気象情報、これは論理的には両方出すことはできるかもしれませんが、(3)、(4)とも、前のページでご説明しましたような理由によりまして、国として行う意味合いがある、こういうふうに考えておるところでございます。

    これらの情報提供に際しましては、気象庁の作成するGPV等の中間成果物を活用しまして、それを積極的に公開することによって、報道機関や民間気象事業者などがいろいろな業務を展開する必要があろうかと考えております。この後の議論にも関係しますけれども、これらの気象情報の発表に際しては、国民の期待にこたえ、社会的な混乱の防止を図るために、観測精度の維持、あるいは情報の質の確保などを図るために所要のルールが必要なのではないかと考えております。これが前回のものです。

    それから、前回、注意報についていろいろ活発なご議論がありましたので、2-2-4ページ以降、それについて気象庁としてのご説明です。

    注意報はどういうことかということで2-2-4ページにありますが、自然災害から国民の生命・財産を守る、こういうのが基本的な考え方でございまして、そのために気象庁が提供しますものを防災気象情報と呼んでおるのですけれども、社会的な混乱回避などのために、国として一元的に発表しております。警報は、気象業務法に書かれておりますように、重大な災害の起こるおそれのある旨を警告して行う予報、それから、注意報は災害が起こるおそれがある場合にその旨を注意して行う予報とされまして、いずれも想定されます災害の規模は異なりますが、災害の起こるおそれがあることを伝えるメッセージであることから、気象庁が一元的に発表すべきものではないかと考えております。

    注意報と警報の対象は、気象、洪水、津波、高潮、波浪等、こういう区分になっておりまして、これら両者--注意報と警報は一体的に運営されております。

    気象警報、気象注意報というのはかなり範囲が広いわけでして、それがさらに細分化されて、大雨警報-大雨注意報、暴風警報-強風注意報などが一体的に運用されております。災害の程度の差異あるいは予測技術、それらの観点から、雷、霜等、注意報のみの発表となっている現象もございます。

    次のページは気象白書からとったものですけれども、注意報と警報というのはどういう関連があるか、一番典型的な、例えば台風の接近時にどういうふうな出し方をしているかということが時系列的に書かれております。波浪注意報などは2日前から発表するようなケースもございますし、1日前には必要に応じて大雨、強風、高潮注意報などを発表し、その中に今後警報に切りかわる可能性があるというようなことを記述いたします。また、その警報基準を超えるようなことが予想される当日などにおいては、それを警報にして発表する大雨警報などがございます。必要に応じて、それを補完するものとして記録的短時間大雨情報なども発表しております。その現象が弱まる、あるいは通過する時点において、それを注意報に切りかえていく。それをまたすべて解除する。こういう一連の時系列がありまして、それに応じて、例えば都道府県等の地方自治体においては防災に対する体制を切りかえて運用していると聞いております。

    (部会長)ありがとうございました。

    前回ご議論いただきましたときに、特に注意報の問題についてかなり議論が白熱したものですから、気象庁のお考えというものを特に注意報についてつけ加えていただいたわけでございます。

    まず最初に、ただいまのご説明について何かご質問ございませんか。--それでは、早速審議に入りたいと思いますが、どうぞご意見等をよろしくお願いいたします。

    (専門委員)きょう私も後半の許認可のところで話すことになるかと思いますけれども、私のところで資料として「気象サービスの3階層構造」をあえて準備させていただいたのですが、21世紀の気象サービスのあり方を考えるときに、注意報の話というのは、結局、自己責任という考え方とか、そういうようなものが必ず強調されてくるであろう21世紀というところを強調したのでございまして、決して今の気象庁の進められている注警報の意義を私は否定しているわけでも全然ないので、誤解ないように一応私の方から念を押しておきたい。

    要は、21世紀の気象をどういうふうに考えるんだというときのキーワードの1つに、必ず自己責任という、もっと気象情報を自分が積極的に取り込んでみずからが対応策をとっていくような1つの社会の常識というのか、自己防衛に対する考え方とか、そういうような中に変化が出てくる。そこのところを全部気象庁におんぶにだっこというやり方は21世紀的でない、ということを強調したかったというのが私の前回の注意報に関するこだわりでございますので、その点、一応誤解のないように私の方から確認させていただきます。

    (部会長)ありがとうございました。この注意報の議論をめぐって前回白熱したこともありまして、きょうは、この場にいらっしゃらないお二人の委員、専門委員の方から少しご意見をいただいております。それをご紹介させていただきます。

    委員からは、注意報の必要・不必要を論じるのに、2つの側面に分けて考えることが必要ではないだろうか。これは委員が前回言われたことをもう1度ここではっきりしておきたいということなのですが、1つの側面は、警報が発せられる前段階としてのもので、警報に至る可能性のある重大な異常現象が進行中のときに出されるもの、これを仮にタイプAと呼んでおこう。もう1つ、警報と結びつかない、それほど重大ではないが、注意を喚起するために出されるもの、これをタイプBと一応言っておきます。

    実際には注意報はかなり頻繁に出されて、警報にまでいくことは多くないので、注意報の意味、役割として、委員はBを中心に、Bタイプのものを考えていたんだと。Aの意味も必然的にBの意味を持ってくることからなおさらのことですが、そこで前回、委員だけではなくて、専門委員、その他、私も少し申し上げましたけれども、意見が出まして、それは主としてタイプBについて不要論というのが出てきたのではないだろうかと委員は思っていると。

    そこで、必要・不必要ということを議論するときには、タイプAとタイプBに分けて議論した方が整理しやすいのではないだろうか。そういう考え方に基づいて、委員の意見は、タイプBのものは必ずしも国としてやらなくてもいいのではないか。言い方は少し違いますけれども、趣旨はそういうことなんですね。Aタイプのものは必要であろう。大ざっぱに言うと、そういう考え方なんです。そういう意味では、一部は民間に開放してもいいのではないだろうか、そういうお考えのようです。

    それから、きょうは欠席なさっている専門委員の方からは、2つのコメントがこの点についてございました。1つは注意報、警報についてのこと、もう1つは気象庁の情報提供についての役割の件、2点でございます。

    最初の注意報、警報の点については、重大な災害が起こるおそれのときは警報、それから災害が起こるおそれがある場合--つまり「重大な」という言葉がついているかついていないかの違いなんですが、それで注意報と警報と分かれている。しかし、少し乱暴な割り切り方をすれば、現実には1ランクずつずれているケースが多いのではないだろうか。つまり、災害にはならないケースに注意報、災害のおそれがあるときに警報を出しているケースが多いのではないだろうか。これは、空振りをしても見逃しはするな、そういう気象庁に求められている条件ならば、過剰反応ぎみになるのはある程度いたし方ないと思うが、1ランクずれたのでは本当に重大な災害が起こるときには表現の方法がなくなるのではないか。このために、大きな災害のたびに「スーパー警報」が必要だという議論が噴出するのではないだろうか。結果として、災害が起きるようなことがほとんどない注意報なら、前回、専門委員の方が言われたように、気象庁が出す意味がないのではないだろうか。

    それから、気象庁側の説明にあったように、防災機関の立ち上がりをスムーズにするための警報の予告的な情報という役目の注意報ならば確かに効果的だと思うが、結局、注意報だけで終わって、災害にはならないケースが多いと防災的な意味合いが失われてしまうのではなかろうか。警報や注意報の発表基準の見直しをたびたび行っているのは認めるが、被害を食いとめるために役立つ情報としての警報の本来の役割を期待する立場から言えば、現行のままでは不満である。

    そういうご意見をいただいております。参考のために、皆さん方にお伝えしておきます。

    いかがでしょうか、ほかの委員の方々。これは別に注意報、警報だけの問題ではないのですが。

    (委員)もしかしたら前回こういうことは議論なさったかもしれないのですが、ちょっと議事録を拝見したところでははっきりしなかったものですからお聞きしたいんです。

    この「「注意報」について」という計2-2-4に、自然災害から国民の生命・財産を守るために、また、社会的な混乱を避けるためにこういう警報が必要だとお書きになられているのですが、例えば高潮が起こるから危ないという警報を出されても、出された場所として一体、逃げなきゃならないのか、ここまで危ないのか、どこまで危ないのか。恐らくそこまでつながらないと、国民一人一人にとっては本当の意味で生命・財産を守る形にはならないと思うんです。そのときに気象庁がどこまでするか、すべて末端までするのは大変だと思いますが、その場合、例えば民間がしたとして、その結果情報が不十分で高潮で人が亡くなったりした場合に、それは民間の情報が悪かったと言ったらいいのか、それは個人の責任だと言ったらいいのか、よくわからないんです。

    もし警報を出したとしても、この警報に対してどうするかという教育みたいなものをどこかでしておかないと、せっかく警報をきめ細かく出しても、実際に個人個人の財産を守ったり、個人ではなくて、もう少し広い範囲になったとしても、実際のところで役立つところまでいくのは大変難しいと思うんです。そこのつながりはどうお考えなんでしょうか。

    (部会長)どうもありがとうございました。これについて事務局からお願いします。

    (事務局)まさに委員が今ご指摘されたとおり、先に専門委員がおっしゃった、21世紀の個人の管理という意味で言えば、個人個人のところでリスク管理が適切に行われることが最も望ましいわけですが、現在の情報伝達の仕組みで申しますと、私ども気象庁の警報というのは都道府県知事に伝達することが災害対策基本法で定められておりまして、それを受け取った都道府県知事は市町村長の首長さんに伝え、首長さんが状況を判断して避難勧告等の適切な住民に対する規制を行う、こういう仕組みになっております。

    先般起きました高潮でも、高潮警報は県に伝わっていたんですが、満潮の時刻が8時であり、高潮がその不知火町を襲ったのは5時ちょっと過ぎなのですが、高潮の被害は満潮とともに来るとの誤解があった可能性はあるわけでございます。

    その点で私どもとしては、まさに今委員がおっしゃったように、どういう災害が起こるかという、災害の様態についてもう少しPRというか、都道府県、市町村あるいは住民の方に対するPRそのものをもうちょっと強化しないと本当の意味での警報が生きないのではないかと考えております。来年の台風時期の前までに、ケーススタディーをしっかりやって、高潮警報は地域全体に対して出しますので、不知火町のような特異点になるところについてはちょうど津波の遡上高のような現象が起こり得るのだというようなことをこれからお知らせしたり、住民の方にも直接考えられるような仕組みにしていきたいと思っています。

    それから、21世紀の議論になると、前回もちょっとご紹介したのですが、衛星放送、デジタル放送になって、警報等が、NHKの計画では自宅のデジタル放送の郵便番号的な、つまり、地域のボタンを押せば、どんな警報が出ていて、自分のところはどういうふうな雨が降ると気象庁は予測しているとか、そういうのがわかる、ご家庭にまで警報が入り得るインフラが整備されてくるということです。今すぐにはなかなか難しいので、先ほどの法令の世界でやらざるを得ないのですが、21世紀になれば、もう少し警報の伝達のメカニズムも変わるのではないかと考えております。

    同時に、現在の予報技術の限界というものを、この注警報の議論のときに忘れてはならないことでございまして、予測行為から画一に、例えば注意報から警報にいく。先ほどのお話にもありましたように、必ず注意報から警報にいくのだという担保がとれるような技術までまだ高まっていない。したがって、予測技術の高度化も、現在の気象庁の計画でございますと、平成13年度に局地数値モデル等の運用をいたしますので、もう少し局地的な、目標としては市町村単位なんですが、市町村単位の洪水だとか、がけ崩れだとか、高潮だとか、そういうきめの細かい、私どもの言葉で言うと3次細分を目指そうと検討しているところで、3次細分的な注警報の運用をして、個人、一般市民の方のところにまで情報をお届けできるようなメカニズムを考えられないかというふうに今考えているところです。

    (専門委員)予報許可、気象予報士制度とか、それから今の気象庁が提供すべき気象情報とかというのは、21世紀ではもっともっと根本的なところで密接にかかわってくるのだろうというふうに思うんです。今のご指摘の点は、21世紀は気象予報士の免許があたかも自動車の免許と同じような広がりというか、そこまで国民的なものに本来的にはいくべき性質のものだ。つまり、技術的にそこまでみんなが理科の勉強をやってどうのこうのという話になるのかは別にしまして、考え方としては、21世紀は自然との共生を考える個人が、まさにドライバーライセンスを持って人に優しいドライブをするように、予報士のライセンスを持って地球に優しい生活を営むようにすることではないか。そのときには、今言ったような警報が気象庁から出ているときに、あのこともこのことも言ってくれないと私としては困ってしまう、そういう個人というのは私はちょっと考えにくい。

    むしろ個々人が自己責任において気象情報をもっともっと自分の身に近づけていき、同時に気象庁としては気象サービスはもっと国民の1人1人に入手しやすく、自分で処理できるようなものに変えていくべきものである。そういうふうに考えたときに、今日用意させていただいた資料の3階層構造--(我々いろいろと民間気象会社で議論している中で、21世紀はどうなっていくのだろうかという話をするときにこういう考え方が出るのですが)防災気象としての気象庁というのは、まさに生存の議論ですから、ここを民間がどうのこうのという話は、21世紀になったってこの議論は存在しないだろう。ここまで言い切って大丈夫だ。そして、公に、オフィシャルに一元的に警報を出していく。この気象庁の役割は、今言ったそれこそ1億全員が気象予報士の免許を持っていても、そこは気象庁がきちっと押さえ込んでおくことなのだろう。

    ただ、生存ではなくて、産業気象とか生活気象とかと我々が呼んでいるところなのですが、産業気象課長さんがいらっしゃるところで産業気象は民間だと言ってしまって、おい、気象庁はなくなるの、何だということになるのかもしれませんけれども、気持ちで何を申し上げたいかというと、生存の議論と、どちらかというと問題解決型、企業が持っているいろいろな経済的なリスク、こういう議論を気象庁がやるということがあり得るだろうか。21世紀は、そういう経済的なリスクは、企業が自己責任において、あるいは自分のリスクマネジメントの中でやっていくのだろう。

    そして、最後の生活気象と言われているようなものは、まさに快適な生活を営むということですから、生存というのを気象庁の方でしっかりと、ばちっとやっていただいている限りにおいては、あと、どんな快適な生活をしていくかは、体感温度も、あるいは風の強さも感じ方も1人1人違うかもしれませんから、そういう意味において、1人1人がいい意味で自分が気象予報士であるという考え方に立って、そして快適な生活を営める。そのために必要な気象データは気象庁から、今のGPVを初めとしてもっともっとデータは開放されてくる、そういうような時代を考える。こういうことが21世紀の気象サービスなのではないか。

    そのときに気象庁が提供するサービスは防災気象にあえて限定していく。そのかわり、ここはきちっとやっていただきたい。サバイバビリティー(生存)の議論がないところで経済の議論をやっても無意味だ。シーキーピングだとか、スピードキーピングだとかの経済性の議論の前に、堪航性の問題、つまり船が沈まないためにはどうしたらいいのか、厚板をどうするか、というシーファージネス(堪航性)という船自体を考えなければいけないものがある。そういう点で、これからの21世紀の気象サービスの原点に、思い切って防災という一点に集中する。--(私は前回の注意報否定論者ではないのですが)気持ちとしては、何となく気象庁が全部やってくれるような考え方に立ったこれからの気象サービスを考えていくことが21世紀的でないということを、私は3階層の中で何とか伝えられないだろうかと思って、これを用意したつもりでございます。

    予報士制度というようなものの運用について、いろいろと後から議論になるかと思いますけれども、最終的には高い、ある一定の技術水準はきちっと維持していただくことはそれなりに意味があると思いますけれども、結果として1人1人の自己責任が確保できるようなデータの提供とか、あるいは、わかりやすい技術開示とか情報開示とかいうものが気象庁からますます積極的に行われていく。そういうようなものを取り込んで個人がリスクマネジメントをやっていく時代になるんじゃないかと思います。

    今回の高潮の問題も、この間の神奈川県のキャンプの問題も、あれを気象庁の問題としてとらえるのもいかがなものかと思う。むしろ私どもは今、民間気象がサボっていたのではないかという反省をしているのですけれども、最終的にはああいうところが国民の1人1人のレベルできちっと議論できるようになっていかないとまずいのではないか。気象庁はどこまでやっていたんだと言ったら、防災気象としての世界はちゃんとやっていたということであれば、それで十分なんじゃないかというところまで言い切れるのではないかという気がするんです。

    (部会長)ありがとうございました。今専門委員からは次の議題の内容の一部についてもお話しいただいたわけですが、これはお互いに密接に関連しているものですから、大変結構だと思います。

    (委員)先ほどの事務局のおっしゃったのをお聞きして大変安心いたしました。そこで、ちょっと視点が変わりますが、もう1つお聞きしたいんです。

    これは多分今後のまちづくりなどとか、港をつくったりするのにも関係すると思うのですが、最近、環境、気象の温暖化や何かが言われていますね。そうしますと、雨の降り方などが変わってくるのではないかと思うんです。今までよりも大雨の回数がふえるとか、何か異常な気象が起こる。そういうようなことに関して、例えばもう少し長期予報みたいなことに関してはどのような取り組みをなさっていくか、教えていただきたいんです。

    (事務局)今日先生方の席上の異常気象レポートの中で、今後21世紀、温暖化がこのまま進めば集中豪雨の可能性が高まるとか高温多湿になるとか、そういうことの予測が気象庁の気候問題検討会という、これは部会長も入っていらっしゃいますけれども、我が国の気候問題のオーソリティーの方々の知見として発表させていただいております。

    その中で、まさにそういうことから考えますと、長期予報というのが国の政策をとるとか、あるいは食糧安保だとか、そういう観点で非常に重要な基盤情報になる。現在の長期予報の精度は必ずしもその期待にこたえうる水準には達していないわけでございまして、気象庁の今現在の計画では、今後3年程度の間に数値モデルを使った高度な気候モデルの開発を進めた上で、少なくとも平成13年度からは3カ月予報くらいまではきちっと出したい。つまり、現在のレベルで申しますと、1カ月予報は、企業の方あるいは国のいろいろな機関の方から利用いただいているわけで、さらに3カ月予報に関しても、精度向上を目指して現在技術開発を進めておるところであります。

    ただ、例えば集中豪雨とか、そういうものについては極めて短期の世界の現象でございますので、長期予報の精度向上とあわせて、短期予報の技術についても、いわゆる集中豪雨、あるいは土砂災害について情報の高度化を図っていきたいというふうに考えているところです。

    それから、今委員が言われた中で、計2-2をごらんいただきたいんですが、ここであえて事務局の視点をご説明しておきますと、今申した中で、例えば生活気象あるいは快適生活まで入るのかどうかわかりませんが、(4)のカテゴリーの「あまねく国民が享受すべき共有財産としての性格を有する気象情報」については、国民生活の安定、あるいは社会・経済活動の安定等の観点から、ここについては国と民間が共存する世界の情報としての整理があり得るのではないかというふうな考えを気象庁で提起してございますので、先ほどの専門委員のご意見とあわせて、気象庁の考えもおくみいただきながらご議論いただければ幸いだと思っております。

    (部会長)ありがとうございました。

    委員のご質問の長期予報の問題は、次の議題の予報業務許可の「長期予報の許可のあり方」というところで、そのすべてについてではないですけれども、一部関係した議論がなされるのではないだろうかと思いますので、またそこでお願いしたいと思います。

    (委員)特に注意報、警報の話については、気象庁の精度といいますか、確度といいますか、正確度はぜひ高めていただきたいというふうに私は思うのですけれども、この業務が必要でないとは思えない。注意報についても大いにやっていただいたら結構だと思うんです。ここを民間の方がなさるのは、それはそれでやっていただけたらいいと思うんですが、気象庁がここについて遠慮される必要はないではないかという気が私はします。

    というのは、先ほどの専門委員のお話でたまたま神奈川の災害の話が出ましたけれども、ああいうものをもし本当に民間の気象予報士がやっていたら、うまくいけばいいけれども、いかなかったときの責任はだれがとるのか、こういう話になると思うんです。多分そうなれば、民間はそういうものに対してなかなかはっきりものが言えないというふうになるのではないでしょうか。注意報・警報は正確でなければいけないし、きめが細かくなければならないとは思いますが、だからといって、ここは民間がやればいいというふうには私は残念ながら考えられません。いかがなものでしょうか。

    (専門委員)私も、要するに、やめちゃえと言っている感覚ではないのだということはずっと申し上げてきたので、精度の議論と、運用上におけるところの本当の意味でのサバイバビリティーというか、アージェンシー(緊急性)というか、やっぱりオオカミ少年にならないようなことは、これはもう気象庁が当然やっていることですけれども、今こそ普通でない対応策を考えるんだというそのメッセージがしっかりしていることの重要性を強調したのであって、そういう意味において、警報に仮に割り切ったときにどうなのだろうかということを真剣に考える意味があるのではないのかと僕はずっと主張してきたわけです。

    先ほど事務局から、(4)の「あまねく国民が享受すべき共有財産としての性格を有する気象情報」という点について、私は極論すると、警報だけちゃんと出してくれればいいじゃないかというところまであえて言い切って議論を進めているのですけれども、本当はだれが考えてもわかることは、気象サービスというものの性格上、警報が出るようなときだけ人が集まってきて計算して出すという性格ではない。サービス・アンド・サポートという、国民的な生存をサービスし、サポートするという気象庁の役割は、必要に応じて集まってきてやるようなものでない。だから、常にインフラストラクチャーとしてきちっと持っていなければいけない。

    こういうようなものがあって、そういうときに一般の天気予報を府県単位で出すとか、その程度のことをやることが特別なすごいコストをかけてやることでないのであれば、それは気象庁の中のサービスの一環としてやることをもって、民間の仕事の圧迫だとかどうのこうのと考える理由はないというふうに我々は考えていますので、そういう意味においては、「あまねく国民が享受すべき共有財産としての気象情報」の中に天気予報とか週間予報とかが入ってきても全然問題ないのですけれども、ただ、この議論をもう1回極端な議論をしておいてもいいのではないか。

    それは、気象庁は警報だけやるという極端な議論をやっておいて、その警報をきちっとやるためにも、これだけのインフラと、これだけの観測システムと、これだけの人材は要るんだ。警報サービスという国民的なインフラをサービス・アンド・サポートしていかない限りできないんだということを、国民的合意として理解しなきゃいけないんですね。それを、必要なときだけ人間が集まってくればいいではないかという理解をされてしまうような気象サービスではいけない。そういう意味で、あまねく国民の共有財産としての天気予報とか週間予報とかが気象庁のお仕事のように、どちらかというと、そっちの方が強調されるような誤解があると本末転倒ではないか。

    むしろ、極論すれば、気象庁が今GPVのデータを含めていろいろなデータを開放してくれていますから、民間が報道機関とも一緒になって、あるいはウエザーキャスターも頑張って、これから21世紀のサービスの伝達という手段がますます高まるわけですから、そこはできるんじゃないかというふうに思います。ここは気象庁の立場はいろいろと難しいものがあるのかもしれませんけれども、極論としての警報をやることにどのぐらいのエネルギーが要るのか、そして、それだけのことをもっと充実していくためにますます技術革新とかそういうことをやっていく、観測網を充実させていくようなことを国民的にみんなが理解して、それはサポートしていこうではないかという議論がきちっとされた方がいいんじゃないか。

    週間予報と天気予報をやるのが気象庁だというふうに誤解されることの方が、私はむしろ21世紀的に問題があるんじゃないかという気がするんですけれども、この辺、事務局のご意見はどうか。私の方はちょっと極論しているかもしれませんけれども、これは私などの感じでございます。

    (事務局)今、専門委員のおっしゃったことと我々が考えておりますことは、そう違わないのではないかと思っております。きょうお示ししました計2-2-3の別紙の絵でございますが、今おっしゃるように、気象庁の業務は、日々の天気予報なり週間予報なりを毎日毎日発表しておりますから、国民の方々から見ますと一番密接な業務である。したがって、それが一番表立っている業務であることは否定いたしませんけれども、今度の行革の議論の中で気象庁に提言された事項といたしまして、前回ご説明しましたような3点があるわけでございます。その1点が、国として提供すべき情報を限定しろ、こういうことだったものですから、気象庁として、従来どおりの業務をただこのまま続けるということではなくて、1度きちっと整理してみようということで整理したのが別紙2にお示しするようなことでございます。

    ここで説明がダブって恐縮になりますけれども、国としてやらなくてはならないものは一体何なのかということで、この4つの範疇の(1)、(2)は国がやるべきものでしょう。国がやらなくてはならないものは民間に任せることができませんから、これはきちっとやらなくてはなりません。国のいわば使命、義務としてやらなくてはなりません。

    それから、(3)と(4)については民間でもできる業務でありますから、民間でおやりになるのは大いに結構であります。どんどんやってください、国としても、全体のすそ野が広がっていくために必要な措置を講じていくということであろうかと思います。

    (5)にあるような、民間でいろいろ工夫をされ、あるいはいろいろな新しいニーズに対応した新たな高付加価値の気象情報、そういうところについてまで気象庁が手を出そうということはありません。気象はすべて気象庁だから、新しい気象のニーズが出てきたら気象庁もやるべきではないか、こういうふうな話もあるのかもしれませんが、そういうところについては民間でおやりください。気象庁としてやるべきところは、まず国としてやらなければならないことはきちっとやります。

    それから、専門委員がおっしゃったように、民間でもできることではありますけれども、例えば日々の天気予報は、前のページ、別紙1の整理のところにも書いてございますが、防災業務あるいは国際的な責務として行っております気象情報の作成業務と密接不可分でございますから、防災業務を行うための情報の作成というのも、日々の天気の様子なりを観察し、日々予測をしないとできませんから、そういう意味ではデータとしては気象庁は持っているわけでございます。ですから、それをいわば公表するかどうかだけの話になるだろうと思います。

    そうすると、その公表の今のやり方はマスコミを通じてやっているものですから、まさに追加的なコストはほとんどかからないわけでございます。それをするなと言われて、そういう国民的な合意が出てくれば、もちろんしないこともあり得るのですが、多分国民的な期待としては、負担がなければやってもらいたいということだ思います。それから、本当に民間に全部任せたときに、国民のすべてに、ここで言っている共有財産としての気象情報が届く保証があるかどうかというのもございますので、特段の追加的な大きな負担がなくてやるということであるならば、それをやるというのが国民的な期待になるのではないか。ただ、それをやったからといって、決して民間の、特に別紙2の図で代表されておりますような(5)の新しい分野についてまでこちらの方が出ていこうとか干渉しようということではございませんので、いわば(3)と(4)の部分について共存できるところは共存していくというふうな形で整理をしているところでございます。

    それから、これはちょっとわかりづらいところなのですが、(3)の「国の政策に必要な基盤的な気象情報」ということで、これは民間の需要があれば自主的に民間でやることも考えられるのでございますが、「国の政策に必要な」と言っているものですから、必ずしも民間でそういうふうな自発的な動きが出てくるかどうか保証がないこと、それから、現実にそれを得ようとすると、相当な投資額とか経費とか、あるいは相当な懐妊期間、こういうふうなことがあるでしょう。

    そういう分野を果たして民間の自主性に任せた場合に本当にできるかどうかということがあるものですから、必ずしもそういう分野について民間が出てきてはいかん、国がまずやらなくてはならんということではなく、必要な情報について民間が自主的に出てくる可能性が低いところについては国がやらなくてはならない。しかし、それは民間を排除しているものではない。こういうふうな整理の仕方をしたものでございますから、そういう意味では専門委員がおっしゃっていることと同じかと理解しております。

    (委員)私の方からささやかな経験で今の話を敷衍させていただきたいんです。

    10年ぐらい前ですか、今では当たり前になっていますけれども、週間予報にいろいろの付加的な情報をつけて、日曜版とか月曜版とかという新聞に私どもも全国の天気予報を載せたことがあって、これはまだ続いているんです。実はこのやりとりのときに、当時はまだ気象業務の民間への開放が進んでいない時期でしたから、担当する編集者として私は結構苦労した記憶がございます。気象庁さんともそのときいろいろなやりとりをしまして、ここまではいいけれども、ここはだめだとか、かなり苦労した記憶があるんです。

    当時のことをちょっと思いながら今の議論を聞いていたのですけれども、もう随分当時と変わってきて、今は週間のそういったものを読者に提供するのは当たり前のことになってきました。今でも私どもは民間の気象予報会社からこういう情報を有償でもらっているわけですけれども、結局、そういう経験から考えますと、今、警報、注意報のすみ分け云々という話が出ているわけですけれども、緊急性の高い、安全に直接かかわるような情報はともかく、週間的な少し先の予報とか、生活情報的な気象情報の必要度は、国が出すものと、民間の会社がそれにいろいろな付加的情報をつけてニーズに合ったものを出す、それぞれおのずから、言ってみれば商品のすみ分けみたいなものがあると思うんです。それは、ユーザーであるメディアであったり、読者であったり、企業であったりといったものが必要に応じて選択していくところでおのずからすみ分け方はできてくるのだと思うので、ベーシックな気象情報が基本的に民間に開放されていれば、そこから先はおのずからマーケットが決めていくといいますか、そういったものだと思うんですね。

    ですから、とにかく国が独占的に一切情報を持って、そこから民間に開放しない部分みたいなものがあるというのは非常に困ることなのですけれども、それが基本的に開かれていれば、そこから先はある程度自由に企業がそれなりにそれにいろいろな意味づけをして、許される範囲での意味づけをして提供するものがどんどん広がっていくというあり方が、イメージとして理想的なあり方なのかなという感じを私は持ちました。感想みたいなものですけれども。

    (部会長)ありがとうございました。

    ほかにいかがでしょうか。この議題は、本来、気象庁の提供すべき気象情報ということで、国としてこれだけはどうしても提供しなければいけない気象情報とは何かということを明確にしたいというのがこの議題なので、最初からやや警報、注意報が突出して出たものですから、そちらの方にかなりの時間を費やしたんですが、後半のところでそれ以外の重要な問題についても皆さん方からご指摘いただきましたので、全体にわたってのご意見を賜ったかと思います。

    この議題だけに余り時間を費やすわけにもいきませんし、最後に総合討論の時間を考えたいと思っておりますので、不足するところはまたそこでお話しいただきたいのですが、やはり気象庁としては、自然災害から国民の安全を確保すること、それから特に環境、とりわけ地球規模の環境を保全するという観点から、どうしてもそれらについては国という立場からやらなければいけない仕事である。そのために必要な国としてとるべきアクションは何かということでこの資料はまとめられていると思いますが、大筋のところでは皆さんご同意いただいていると思うんです。

    例えば防災業務というのは、元来、国、地方自治体、その地域の住民、そういうものが一体となってやるべき仕事であって、防災のための気象情報の提供というのはあくまでも防災業務という全体の中のごく一部、大変重要ではありますけれども、重要な一部なんですね。だから、防災業務をいかに効果的に遂行するか、そのために気象情報はどういう形でどういうふうに提供されるのが最も効果的であるかという観点から、こういう警報や注意報も議論されるべきで、余り注意報、警報を切り離して議論すると、どうしてもやや分散的な議論になると思うんですね。だから、その細かい内容についてはまた気象庁でご検討いただいて、基本的な考え方をここでおまとめいただければ幸いだと思います。そういう意味でかなり収束してきたと思うんです。

    (専門委員)(2)のポイントと(3)について、私の方から1つだけコメントを言わせてください。

    まず、国際的な責務の件ですけれども、これは当たり前だということで終わってしまうのかもしれませんが、実は日本がこれを真剣にずうっと継続することの意義は強調しておきたい。なぜ強調しておきたいかと申し上げますと、一部の今の先進国においても、気象サービスというものがいつの間にか経済活動の1つとして簡単にあしらわれてしまう傾向があったりしまして、国のインフラとしてしっかりとやっていくのだというのが少し軽く見られている。そのことによって、観測をもっと削れないかとか、予算をもっと削って、私から言うとサービスの低下みたいなことを起こしたりして、さらに国際的にもデータの提供をちょっと絞り込んでしまったりして、そういうことによって、国際間の本来もっともっとこれから協力していかなければいけない気象サービスがちょっとした経済原則みたいなものに少しおびえている、そういう先進国もないことはないんですね。

    私、それを実はヨーロッパで見たりしていまして、そういうことは絶対日本で起こしてはいかん。やっぱり日本は、国際連合も含めて、これから国際貢献をしっかりやっていく国であるべきだと思うし、そのためには、日本がこういうデータについては積極的に観測網を充実させて、そしてそういうデータを開放して、みんなで地球を守っていこうぜ、こういうリーダーシップを日本が発揮していくことの意義は非常に大きいと思うんです。ですから、そういう点において予算のカットが行われるようなことがあると、私は、非常に歴史に逆行することになってしまうし、絶対あってはならないだろうと思いますので、ここは、気象庁の応援団になってしまうのかもしれませんけれども、強調しておきたいというふうに思います。

    現実に例の湾岸戦争のときも、ソ連邦の崩壊のときも、観測データが1週間くらい入ってこなかったわけです。そういうようなことは、これからの平和な社会をつくろうというときに絶対にマイナスなので、ここはそういう意味で強調しておきたいと思います。

    (3)の中長期のいろいろなシステム、モデルをつくっていくということ、これは、ご指摘のように先行投資を伴うし、技術開発も大変なものでございますので、これも気象庁がばんばんリーダーシップをとっていただいて、テクノロジーは我々民間も頑張りますけれども、サイエンスの世界はやっぱり気象庁が引っ張ってくれないとなかなかできるものではない。

    ただ、ここで私、1つだけ、もう1つ観点をつくり込んでおかなければいけないのかと。それは、21世紀は気象庁がリーダーシップを持って核となってやるけれども、民間も学校も大学もこういうところは一緒になって、ジョインしてやっていく次元をもっともっとつくった方がいいのではないか。そういう意味において、今までは気象庁はデータ開放をすごく積極的にやっていただいてきたわけですけれども、これからは技術開示とか、技術の開放というんでしょうか、そういうようなところにもっと21世紀はいい意味でオープンになっていただいて、そしてほかの民間も大学も巻き込んで、この難しい技術的なテーマに強いリーダーシップを発揮してやっていただけないか。

    そういう意味で、民間では対応が困難なもので、先行投資に莫大なお金がかかるから気象庁がやらなければいけないのだという言葉だけでここが進んでしまうのは、私はちょっと寂しい。そうではなくて、そういうことがあるから気象庁が引っ張らなければいけないんだけれども、でも、民間も置いてきぼりにされてはいけないわけだし、我々もそういうのは気象庁にお任せというのもいけない。ここは合わせわざで21世紀を迎えようじゃないか、あるいはもっと発展させようではないかという視点がどうも要るような気がしてなりません。

    (事務局)(3)について専門委員が今ご指摘なさったことは、まさに気象庁だけではできない課題がたくさんございまして、幸いなことに、今主張されたことに応えるべく、この初年度の頭の方から、国として、オールジャパンとしてのこういう高度な数値モデル戦略を検討しておりまして、周辺のコミュニティーの方と議論をしてございます。高度な数値モデルを確立するのは、どうしても先行的な技術だとか、先行的な知見だとか、これは民間とか国だとか言わずに、今日本に存在する、あるいはグローバルな目で存在するものについては全部取り入れていこう。その取り入れるに当たっては、気象庁の持っているノウハウも全部開示しよう、こういう戦略を今立てているところでございます。

    これはちょうど地震予知計画における、委員のおひと方とも大分この辺は議論したのですが、例えば気象庁の判定会のオープン化とか、そういう延長のプロセスと全く同じでございまして、巨大技術の開発に当たっては、気象庁のみならず、オールジャパンという視点を持とうということでございます。

    それから、部会長が先ほど言われた防災活動とのかかわりについて1つだけコメントしておきますと、この9月から防災気象情報提供装置を気象庁は整備いたしまして、オンラインで都道府県あるいは報道機関と結ぶシステムを整備しました。これはどういうねらいかと申しますと、先ほど注意報、警報の信頼度がいま一つではないかというお話もあったのですが、現象の推移に合わせまして、予報官の持つ最新の注意すべき観点、あるいは今後防災活動として留意すべき条項についてはどんなことを気象庁としては考えているか。こういうことをさまざまな気象情報とあわせて、予報官のコメントという形でリアルタイムに防災機関にお伝えして、防災活動の効率化というんでしょうか、効果的な防災活動を行うために、今までのように情報の出しっ放しではないような仕組みをとろうということで、現在、地方自治体等にもお話を進めているところであります。ちょっとご紹介しておきます。

    (事務局)ありがとうございました。

    蛇足になりますけれども、気象業務というのは気象庁の業務とイコールではない。気象庁の業務が気象業務に占める役割は大変大きな部分を占めているわけですが、今後の気象業務の発展を考えますと、これは気象庁の業務だけではなくて、民間の業務、関係省庁、地方自治体、地域住民との協力体制をいかに構築するかということがやはり究極的に重要な問題ではないだろうか、そういう観点から、気象情報の中で気象庁のこれだけは提供すべきものは何だろうかということをこの際明確にしておきたいということでございますが、気象庁以外の方々の大変強力なご支援も得られそうなので、この事項についてはこれまでいただいた皆さん方のご意見を取り入れた形で、また原案をまとめて、そして次回もう1度それを見直していただきたいと思っております。

  3. 予報業務許可制度、気象予報士制度、無線通信による観測成果の発表業務の許可制度等の今後の方向性

    (部会長)次の議題に移らせていただいてよろしいでしょうか。--次の議題は「予報業務許可制度、気象予報士制度、無線通信による観測成果の発表業務の許可制度等の今後の方向性」ということで、最初に専門委員、続いて委員、それから事務局から資料の説明をいただく。それぞれ10分ぐらいでいかがでしょうか。それぞれご説明の直後にはご質問だけにとどめていただきまして、一応3つのご報告をいただいた後で、まとめてご審議に移らせていただきたいと思っております。それでは、専門委員どうぞ。

    (専門委員) まず、予報業務許可制度というものが現在ありますけれども、許可という言葉ですと何か非常に抵抗のある人もいらっしゃるのかもしれませんが、我々気象業界で実際に仕事をしている人間で、この許可制度があることによって、自分たちが積極的にいろいろな仕事を展開することに妨げになっているというふうに感じている業者も、個人のウエザーキャスターというか、そういう方もいらっしゃらないんじゃないかというのが我々が実感として理解しているところでございます。

    それはなぜかというと、気象庁がこの許可制度をつくったときの基本的な考え方は、要は、最小限の信頼性を確保しようというところがポイントであったかと思いますので、いわゆる産業で新規参入が非常に難しくなる、そういうところを今回許認可制度を少し変えてどうのこうの、こういうような形でこの予報士制度、それから許認可制度を変更したものではなくて、あくまでもクオリティーの維持というところにポイントがあった。その考え方は今も基本的に変わっていないし、またそういうことは国民的合意だというふうに我々も考えておりますので、必要な条件を備えて、きちっとした国家試験を通れば、あとは技術者的良心で頑張れ、データは気象庁がばんばん提供するからやれよ、こういう考え方で進んでおりますので、この許認可制度それ自体が何か弊害になっているというようなことは私も聞いておりませんし、そういうことはないのではないかと思っております。

    予報士制度に関しましては、このあと委員からもっと詳しい話があるかと思いますが、私はこの辺については、先ほどちょっと申し上げましたけれども、21世紀は、英会話のNOVAじゃないですけれども、本当に駅前のどこかで気象予報士を取るのが国民的な教養の一部であるとか、あるいは個人のリスクマネジメントの1つであるとか、そのぐらいに考えられる、データ開放とともに、個人が自分のパソコンでいろいろな開放されたデータを自分で取り込んで、自分の身は自分で守るようなことができる、そういう時代がやってくるんじゃないか。そうすると、予報士制度の最終的な帰結は自動車の免許といい勝負のところまでいく。つまり、そのぐらい安全に自分の身を守ることを自己責任の原則においてやっていく時代が来るんじゃないか。それをサポートしていくように、データも開放する、技術も開放するというような気象庁としての努力を続けていくんじゃないか。

    そういう意味において、気象予報士制度というようなものがあるバリアを設けて、それで新規参入がしにくくなるとか、あるいはビジネスの展開がしにくくなるとか、そういうようなものではない。これはある一定の品質の確保だけはしないとだめだというところから来たわけですから、この辺についても我々業界の中で、この予報士制度が--私、実は昔、士(さむらい)というのが21世紀にあるのだろうかということを言いまして、予報士という士(さむらい)はやめて、何か別な日本語はないんだろうかと言ったのを覚えていますけれども、そういう言葉の話は別にしまして、考え方、コンセプトは間違っていないということを業界の人間も理解しているところでございます。

    ですから、その点につきましては、我々気象事業者の総意もこれをサポートしているということをご報告申し上げたいと思います。

    (部会長)ありがとうございました。ただいまのご提言についてご質問ございますか。特にございませんか。--それでは、次に委員どうぞ。

    (委員)私は、気象予報士会の副会長をしております。

    先ほどからの皆様のご意見を伺っておりますと、21世紀の気象予報、災害警報や防災などにも、気象予報士という立場の人間がかなり重要な役割をするのではないかと大変実感しておりました。1つ後ほど提言がございますが、その前に、気象予報士会というのがどういうものであるか、皆様に現状をわかっていただきたく、ご紹介をさせていただきたいと思っております。

    まず、気象予報士でございますけれども、これまで12回の気象予報士試験が行われました。平成6年(1994年)8月に第1回が行われまして、第11回試験までの合格者は2600人以上、約2600人おります。12回目の合格者は間もなく発表になりますけれども、その2600人の中で気象予報士会に登録をしている人が1350人、約2分の1強ございます。気象予報士合格者のうち、気象予報士として登録をしなければ正式に気象予報士としての資格を持つことはできないのですけれども、予報士を持っている人が2600人、その中の2分の1強、1350人が気象予報士会に加盟しております。

    気象予報士会というのは、第1回の試験が行われてから2年目、平成8年7月に気象予報士合格者を対象に、会員相互の親睦、そして気象予報士としての資質の向上を目的に設立されました。会長は東京大学海洋研究所教授の木村龍治先生です。木村先生は大変教育に熱心な先生でいらっしゃいます。ご多忙の中、いつも気象予報士会ときちんと向き合ってくださいまして、メールでの会員の質問にも気さくにお答えいただいてご指導くださいまして、会員一同、木村先生には大変尊敬と感謝の念を持っておりますことを、ここでつけ加えさせていただきたいと思います。

    気象予報士会の大きな特徴でございますけれども、年齢、職業、性別を問わずに、かなり幅広い層の人々で構成されているということでございます。10代から70代まで、そして職業も農家の方から学生、保険屋さん、お医者さんなどさまざまでございます。それから、全国に散らばっておりまして、地方の支部活動がこのごろは特に活発に行われるようになりました。

    皆様のところにお配りしております「てんきすと」という予報士会の出している会報がございますけれども、ここで予報士会の具体的な活動をご紹介したいと思います。この「てんきすと」は毎年4回発行されておりまして、これは第9号でございます。今第10号を編集中でございます。そのほかにメーリングリストの運営、これは事務局からの連絡だとか、会員間の各種気象関連情報の交換などが活発に行われております。予報士は、先ほど申しましたように、全国に散らばっておりますので、先日の台風18号でも、通過地点からのいろいろな情報が入ってきておりました。高潮で困っているとか、北九州の方では学校がお休みになったとか、フェーンで今新潟が何度あるとか、そんなことから、かなり専門的なこと、また予報士になりたての人からの質問だとか、いろいろございます。

    また、ホームページの運営がございます。それから勉強会、過去に数値予報勉強会とか、航空気象勉強会を東京、名古屋で実施いたしました。予報士の人たちというのは、まず予報士になったことを起点として、これから何とか勉強していかなくてはというすごい使命感と申しますか、勉強していかなくてはという気持ちでいっぱいでございまして、かなり勉強会には参加者の申し込みが多うございます。それから、施設見学会の実施もありまして、今までに気象衛星センターとか、航空自衛隊基地、気象研究所などの見学会を実施しております。それから、先ほどの会報、会員名簿の発行もございます。先ほどの「てんきすと」でございますけれども、皆様のところにお配りしておりますのは第9号、この間の5月に第4回の総会が行われまして、その総会の記事を中心に載せております。

    丸3年たったんですね。今4年目に入っておりますが、私たち気象予報士会は、今までの3年を創世期、そしてこれからを発展期と名づけまして、これからの発展期の土台となるべく運営体制を考えていかなくてはと考えているところでございます。予報士会独自のアンケートも行っておりまして、今集計中でございます。

    ページを開いていただきまして、2ページの下のところに予報士会、各地方の支部活動が出ております。北海道、東京、神奈川、千葉、静岡、東海、広島、四国、福岡、沖縄、東北が今準備中でございますが、これに加えて関西支部、大阪、京都を中心として関西支部が新たにできました。これは、私たち幹部が上の方からつくろうとしてつくったのではなくて、地方地方でそれぞれが自然発生的にできたものでございまして、そこに気象予報士会としてのこれからのエネルギーなどを感じております。

    気象予報士会の運営ですけれども、年会費3000円ですべてを賄っております。今までの費用は、幹事会などの費用もすべて、幹事のボランティアが人件費などは基本でございまして、今まではやってまいりました。

    これまでの気象予報士会での議論と、それから、私たちが気象庁に期待するところをこれから述べさせていただきたいと思うのです。気象予報士の試験に受かって気象予報士の資格が得られたからといって、必ずしも気象関係の会社にすぐ就職できたり、それから転職に結びつくというわけではないんですね。最近の気象庁の調査では、気象予報士の試験に合格した人の約47%が気象関係の職業についています。このうちの8.4%が民間気象会社、そして11.2%が財

    団法人日本気象協会などの公益法人です。ちなみに、気象庁の職員は16.9%、残りは防衛庁の職員で10.2%と伺っておりますけれども、そのほかに学校の先生など理科教育の分野でも活用されている事例も報告されております。

    ですが、こういった気象関係についていらっしゃる方たちというのは、ほとんどが合格する前からこういった関係の会社に就職していらっしゃる方たちでございます。そして、気象予報士の資格を得た後、個人で、また少人数のグループで気象会社を新たに興す、いわゆる開業することは制度上可能になったわけでして、平成7年以降10社近くの気象会社を新たに興している人たちがいるのですけれども、昨今の経済の状況やらいろいろありまして、気象予報の会社をやっていったり、新たに興すということは現在では本当に難しい、厳しい状態となっています。

    また一方、気象庁の調査では、気象予報士試験を受けた動機を聞いてみますと、気象関係の職場での就職、転職がかなり多いのです。また、合格者の28.2%の方たちが資格取得あるいは気象学の勉強へのチャレンジというふうに、予報士の資格を持っていれば、今後、就職だとかいろいろなことに有利なのではないかと考えていらっしゃる方が多いようでございます。気象予報士試験の受験者というのは、現在でもそのたびごとに増加しておりまして、このチャレンジ傾向も今後しばらくは継続するものと見られております。

    こうした調査結果を踏まえたり、先ほどからのご意見を伺っておりまして提言させていただきたいのですけれども、気象関係の職場への就職、転職への希望者に対しまして、地方公共団体等公共機関の災害対策部門への気象予報士の登用を考えていただきたいと思ったりいたします。気象情報を提供する側である気象会社等はもとより、各産業における企業、その企業における気象情報を活用する部局への雇用の促進が図れますように、気象予報士会といたしましても、気象庁の支援を得ながらこれから何らかの活動を行っていきたいと考えております。

    先ほど専門委員がおっしゃいましたような、皆がドライバーとしての意識を持つようになれるようにも、それからまた、警報、注意報をいかに住民にきめ細かく速やかに提供することができるようになるか。3次細分の運用に役立つようになるにも、そのパイプ役としても、それから住民へのPRなども含めまして、きめ細かな災害予防にも予報士が大変に重要な役割をするのではないかと考えております。気象学及び気象技術の進歩は日進月歩でありまして、気象予報士が広くこれから社会から引き続き信頼をかち得るためには、気象予報士となった後も常に最新の予報技術の習得が必要でございます。適切な技術研修の機会、それから適切な気象資料の提供システムの確立、これは安く気象資料を手に入れることができるようになったらということも含めて、提供システムの確立をお願いしたいと考えております。

    ここにお集まりの各方面の皆様、エキスパートでいらっしゃいます先生方のご支援、ご協力を得ながら、気象予報士会といたしましても、1つずつ改善できていければと考えております。それから、気象庁におかれましては気象予報士会へのなお一層のご支援をお願いしたく存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    (部会長)ありがとうございました。ただいまの気象予報士についての説明及びご提言、これにつきまして何かご質問ございましたら。議論は後ですることにしまして、ただいまのご説明についてのご質問はよろしいですか。--どうもありがとうございました。

    それでは、事務局から前回の資料をリバイズしたもの、そして、特にこれは委員のおひと方からもご注文があったのですが、現在の状態と、考えられていることは一体どこが違うのかというようなことをできるだけはっきりした形でご説明いただければ議論が進むのではないかと思います。

    (事務局)それでは、簡単に説明させていただきます。

    前回かなり詳しい資料で現在の民間気象業務の状況について説明させていただきましたので、今回はそのまとめといいますか、そういったところともう1つはきょうの討論のテーマ、そして最後に無線関係の説明ということでやらせていただきます。資料計2-3-1から計2-3-5まででございます。

    計2-3-1は、前回説明させていただきました各気象情報の特性を踏まえた上で、民間で気象予報をやっていただくためにはぜひこの2点を守っていただきたい、確保していただきたいというようなことで説明として書かせていただいております。

    それを具体的に示したのが計2-3-2でございまして、民間気象事業者さんが仕事を行う上でぜひ備えてほしいという意味で、気象予報士ともう1つ、真ん中のブロックに書いております施設であるとか要員であるとか、あるいは警報の受け入れ体制、そういったところをやっていただくというふうになっております。結論といたしまして、当庁の見解として、右下のブロックのように、民間の予報精度の維持向上がぜひ必要であるし、そのためには予報業務許可制度並びに気象予報士制度は維持していく必要がある、もう1つ、気象庁からの民間気象事業に対する支援の強化、このあたりについてもぜひ今後とも配慮していく必要があるというまとめとしております。

    計2-3-3は、先ほど事務局からもお話しましたけれども、今後コンピューターのリプレースが計画されておりまして、気象庁における技術開発として、平成12年度末には、より細かな気象現象の予測、さらには1カ月予報、より長期の数値予報モデルの性能向上が計画、期待されるところです。それから、民間気象事業をめぐる状況といたしまして、一番下に書いてありますように、特に多様な通信分野における技術革新に伴いまして、今後ますます気象情報へのニーズが多様化していくであろうというふうなところをまとめております。

    以上を受けまして、次の計2-3-4に本日討論していただきたいところを3点挙げております。現在の予報業務許可制度の必要性をまず踏まえつつ、そして今申し上げました技術開発の成果であるとか、ニーズの多様化というようなところを踏まえて3点挙げています。

    まず1番目は、予報区域設定のあり方です。民間の気象事業者さんには、現在局地予報に限定して発表していただいているわけですが、多様なニーズを踏まえた場合に予報区域が現状のままでいいのかどうか。そういったところを討論していただければと思います。

    2番目は、予報精度の確保のあり方で、現在、局地予報をする場合に、それぞれの予報区域内から実況値の入手ということでデータ入手の義務づけをしております。そういった状況の中で今後、観測・解析技術の向上を踏まえて精度確保を図っていく上で、資料の確保のあり方、そういったようなものがどうあるべきかということについて検討していただければと思います。

    それから、長期の予報の許可のあり方が3番目でございます。現在は技術的な理由から実施ということは認めておりませんけれども、今後1週間を超える長期予報について、そこに書いてありますような条件がまだありますけれども、予報業務許可の可能性について検討していただければということで以上3点を提案させていただきます。

    最後に、計2-3-5でございますが、これは前回説明ができなかったところでございます。今まで申し上げましたのは、いわゆる民間で予報業務を行っていただく場合の許可事項でございますが、計2-3-5は、いわゆる気象庁以外の方が観測をして、それを発表するような場合に、特に無線で発表する場合の許可制度についての検討でございます。先ほどの予報業務とともに、この計2-3-5がもう1つ、気象業務法第26条で定められているわけでございまして、一番上のブロックですが、気象庁では、国内外の気象機関、船舶または航空機において受信・利用されることを目的として、観測の成果、予警報事項等の気象情報を無線通信により発表しております。それに対して、一番下の矢印のところですけれども、気象庁以外の者が同様の目的で観測の成果を無線通信により発表する場合には気象庁長官の許可を受けなければならないというのが気象業務法第26条でございます。

    これについて当庁で検討した見解が点線で書いてあるブロックの中でございまして、やはり無線通信を受信する立場上、いわゆるユーザーさんにとっては相手の精度というか、情報の精度を確かめるすべがないために、不正確な情報が発表された場合の影響が大きい。したがいまして、いろいろな方面に多様に利用される立場からいくと、気象庁以外の者の行う類似の情報発表行為については、やはり一定の精度の確保が必要であろうという見解でございます。

    ちなみに、一番下に、現在26条に関して許可を受けている事業者並びに箇所数を一覧として挙げておきました。

    (部会長)ありがとうございました。

    ただいまお二人の方からご提言、それから事務局からご説明いただいたわけです。3つの問題点があるのですが、最初の2つ、予報業務許可の問題と気象予報士、これは密接不可分の関係にあります。それに対しまして、最後の無線通信による観測成果の発表は少しまた別の問題になりますので、最初に前半の2つの問題についてまとめて審議を進めたいと思いますが、どなたからでも結構ですからどうぞご意見をお願いいたします。

    事務局に質問があります。計2-3-4で予報区域設定、予報精度の確保、長期の予報の許可、この3つのポイントについて、現行とその問題点、検討すべき事項という形でまとめていただいたので大変わかりやすいのですが、最初の予報区域設定のところで、現行は局地、これは市町村程度の単位になっているわけです。それをある意味ではもう少し広げていいのかどうかということですね。

    私もこれは全く一委員としての感想なのですけれども、天気予報がテレビなどで気象庁から出されるのは、行政対応ということもあるのでしょうけれども、府県単位になっていますね。関東地方でも、東京都の天気はどうである、埼玉県はどうであるというふうに出されているんですが、この行政区画と気象の区画とは違うので、そういうような形で出すよりは、もっと気象の現況あるいは予測をより理解しやすいような形で出す。こういうことは民間では大変やりやすいし、大変やりがいのある仕事ではないかと思うのですが、現行ではそういうことはできないんですね。

    (事務局)18号答申の結果を踏まえまして、現行はいわゆるポイント予報については市町村、局地というのはポイント予報という言葉を当時使っていたと思うのですが、それについては民間が行い、ナショナルミニマムの観点から府県レベルのやや広域なところについては気象庁の役割という仕分けを当時はさせていただきました。

    その後、今の部会長のご指摘のように、気象庁内部でもいわゆる民間のコンテンツに期待する部分をもう少し活用することにより、利便性の向上というか、そういうこともあり得るのではないかという観点で、この予報区域に従来のポイント予報のみで本当にいいのだろうかという問題提起をこの部会にご提案し、ご意見を賜りたい、こういう観点でございます。

    (専門委員)ここで民間が出てこないとおかしいじゃないかということだと思うのですけれども、ずばり申し上げて、先ほどの警報とは中身が違う。これは予報だ。つまり、私どもの言葉で言うと産業気象であり、生活気象だ。そうすると、そこでは非常に細かい多様なニーズがあって、そのニーズの中に局地というニーズと、それから局地という点をずうっと連続したところの広域エリアの情報ということになりますので、実際これはレーダーアメダスだとかいろいろな形で、単なるピンポイントの観測だけでなくて、観測の成果の解析という世界まで含めた形での技術進歩も出てきたことも含めまして、私は必ずしも技術進歩があったからどうのというのではなくて、もともとこういうようなところは警報とは違うので、大いに民間のエネルギーを使って、そして民間の場合は、この世界においてはいい意味でのマーケットエコノミーというか、市場原理が働いて、いいサービスを提供していけば、そういうところが市場に受け入れられていく。

    したがって、常に民間の側ではサービスの向上を競って頑張っていく。こういうことで、私は、ここを従来の局地という言葉でなくて、局地もまた広域も大いに生活者のコンテンツとして、あるいはまた産業界のニーズとして、テクノロジー的にも十分にそういうことが可能になってきたことも裏づけられていると思いますけれども、この辺のところについては局地という言葉だけがまだ生き残っちゃって、広域はだめだということになると、それこそさっきの許認可のところで、気象庁は何だ、民間を支援するんだと言っているけれども、いろいろ細かいところでは制約をしているというようなことになるかと思いますので、ここはもう言葉を、予報というところに関しましては、私は1カ月まで、3番目のところまで今は気象庁の技術水準がもう来ているのではないかという感覚を持っているものですから、ぜひそういうところについては民間の方にばんばん任せていく。市場原理を使ってサービスの向上をやらせる。それをいろいろな形で支援していく気象庁の役割はこれからもずっと続いていくわけですけれども、局地に限定させるという意味はもうなくなったんじゃないかと思っているわけで、この辺のところについてはぜひ21世紀の前にでもさわやかに、やれよという言葉を早く言っていただきたいと思います。

    (部会長)ありがとうございました。

    1週間を超えて1カ月とかそういうことになりますと、これはデータもグローバルなデータになりますね。全球的な情報がどうしても必要になってきます。そういう体制は民間にもできつつあると。

    (専門委員)やっぱり経済的リスクの話は、正直言いまして、気象学の世界をかなり離れたところで、いろいろなシステムがハイブリッドに議論されているようなところなんですね。ですから、その一部に気象予報許可の範囲というようなのが絡んできまして、我々お客さんの方にサービスしていくときに、例えば1カ月ぐらいのところの意見を聞かれるときに、それはできないんだという言葉は、実はお客さんが求めていることではない。お客さんが求めているのは、ベスト・エデュケーテッド・ゲス、そのときの最も君たちの知識のある、勉強してきた成果を発表してくれればそれでいいんだ、それを予報と呼ぶか、それを我々の問題解決の情報と呼ぶか、そこは我々としては余り関知しない。それを気象庁の予報許可という世界では何か厳しくやっているかもしれないけれども、我々としては、それはもう実際に産業経済を展開、ビジネスを展開していくときには問題解決型のコンテンツなのだから、そういう点において、あなたたちが気象学の話をいろいろ持ってきても、ポイントはずれているよと言われるわけですね。

    ですから、気象屋は、技術者的良心をそこでかなぐり捨てているわけでも何でもなくて、それは気象屋としてのコンサルティングの一部として、いろいろ多面的な価値を考えて、お客さんの問題解決をしようとしているわけですから、そういう意味では、ここのところにつきましては警報とはわけが違うので、そういう意味において気象庁の物事の考え方が、余り気象学にこだわり過ぎてしまって、それで実際の国民的にも経済的にも、どちらかというと、かけ離れた気象学屋の議論でいつまでも終わってしまうことは間違っているのではないか。

    21世紀は、ある意味では気象学の限界、あるいは気象の今の精度の限界を認めつつも、そこでそれを少しでも有効利用することをお互いがやっていこうではないか。そういう考え方のもとで進めていくときに、予報許可というので、これは出せないとか出せるとかというような議論は、私はもうポイントがずれてきているのではないかと考えますので、この辺の予報精度の確保についても、お客様は最後はリスクマネジメントをみずからやっておるわけですから、そういう点において気象学的に、富士山を大爆発させるような話をしてはおかしいわけですから、そういうことはないということが基本的に確保されている限りにおいては、私はこの予報制度についても、区域についても、変な網かけというのか、そのようなものはもう不必要になってきたのではないか。これは、どちらかというと、お客様の見方をそのまま素直にこのテーブルに発表させていただいているというのが本音でございます。

    (事務局)これはまた18号答申のときの議論に戻る可能性があるので余り深入りはいたしませんが、今、専門委員がおっしゃった、例えば企業内におけるリスク管理の世界においては、独自の予報は許可対象外というカテゴリーで整理されており、今私どもが説明しました予報業務許可は一般への公表という観点で、その点から申しますと、あまねく国民のさまざまな階層の方のために精度の担保というのは、国民経済活動あるいは公共の福祉の観点から重要である。それが根幹にある点をぜひ忘れないでいただきたいと思います。

    長期予報についても、技術的理由から、今までは実施することについては問題があったわけですが、現在、GPV、アンサンブル予報という形で技術的な側面で民間に技術移転をしても、短期の予報と同じ程度の精度確保は可能であるという技術の裏づけのもとに、こういうことの検討が行われてもいいのではないか、こういう提案でございますので、その点をお忘れのないようにいただければと思っております。

    (専門委員)まず、大衆という言葉を21世紀に人は用いているだろうかという議論をきちっとする必要があると思うんです。ですから、あまねく国民という言葉をもって、それを大衆と訳すか。私は、個衆の集まりが大衆なんだろうと思うんですね。ですから、個衆という個の衆がたくさんある。分衆という世界がある。そういう非常にニーズが細分化されてきた人たちがもう既に国民なんだというとらえ方をしないと、21世紀は見えてこないと思うんですね。ですから、そういう意味で私は申し上げたつもりなので、決して独自予報の昔の独自コンサルタントがというような感覚ではございません。

    私は、国民の中にも、非常に自分たちの個別なニーズというものを結構主張してきているわけですよ。その主張というようなものがあっちこっちにあって、とんがっているところがいろいろ出てきている。そのとんがり方が週間予報のことであり、1カ月予報の話なのだということ。この辺は、21世紀における大衆論というか、大衆とか一般とか、あるいは国民とかという言葉自身がもう無理が出てきているという認識を持っていただきたい。

    そういう細かいニーズまで最終的にはこたえていく。21世紀は個の時代なんですね。この個の時代を個のレベルから理解していこう。たくさんの個がいるんだ。たくさんの個を幸せにしていくサービスがこれなんだというとらえ方で進めていかないといけないと思うし、気象サービスもそういうスタンスを持っていかなきゃいけないのではないかと思っています。決して18号答申におけるところのコンサルタント的、独自のお客さん、固有の特定のお客さんに対する何とかの延長線上でこれは申し上げているつもりはありません。その辺のところもひとつご理解いただきたいと思うんです。

    (委員)今、事務局と専門委員のおっしゃっていることをお聞きしていて、私、混乱してよくわからなくなってしまったのですが、こういう予報区域とか、いろいろな予報に関してのもとになる情報をどんどんオープンするというのはいいのですが、例えば恐らく気象庁では今後もある区域に関してのかなりきめ細かな予報とか何かを出していかれると思うんです。そのときに、別の観点から出された2つの情報を得たときに、私は大衆で一向に構わないのですが、大衆はどっちをどう考えていいか混乱するのではないかと思うんです。出された情報に対して、よく知らない私どもはどう対応していいか混乱することはないでしょうか。データそのものをどんどん公開するのはいいんですが、それに解釈をつけたものが2つ出てきた場合、どうしたらよろしいのでしょう。

    (専門委員)多分専門家の委員がお答えになるのではないかと思ったんですけれども、あるウエザーキャスターはこうだと私は信じる、そして別のウエザーキャスターはこうだと信じると、それを聞いている一般視聴者はその違いのところを自己責任において解釈していく。つまり、いろいろな情報があって、最大公約数をとるのか何をとるのか知りませんけれども、そういうことの方が本来の情報としての意味が出てくるのではないか。ですから、インフォメーションをむしろ情報と訳すならば、あれは英語のインフォームから来ているはずですから、フォームを崩しているわけですよね。つまり、インフォーマルであって、それは非公式であって、自分の本音であって、そういう自分が感じるものを、人に影響を多大に及ぼすような警報の世界はだめだけれども、そうでないところは自分の技術者的良心によって信じるところのものをAさんが言い、Bさんが言い、Cさんが言って、その中から、おれはこの人をとか、私はこの人をということが21世紀じゃないのだろうか。

    選択をもっと広げていく。そのかわりにそれに必要な--気象庁はいい意味で技術の底上げを一生懸命これからもっともっとやっていこうということをずうっと主張されて、そういうふうに提案していただいているわけですから、それさえやってくれれば、あとは大いにみんなで競争させて市場原理でやっていくのが正解なのではないか。ですから、委員のご心配はその専門家の委員がおこたえしていくのではないかというのが私の感じなんですけれども、いかがでしょうか。

    (委員)そういう意味でしたら、私は納得いたしました。それで気象庁さんなりどこかが困らないとすれば--困るか困らないかは別の話ですが、そういう意味でしたらよく理解できます。

    (事務局)委員が言われたことがいろいろな意味で議論のポイントになっております。要するに、予報の中で2つの情報が存在するのか。府県予報、局地予報、県単位にやった場合、私どもは今、例えば東京都ですと多摩地域と東京都心と2つ出すわけですが、多摩地域においても地域特性がございまして、あるいは現象のおくれ進みのぐあいの見積もりがやや異なったら少し違った情報になる。つまり、細かいコンテンツの世界において情報が2つ存在するのではなくて、2つの説明の仕方があり得るわけです。

    もとになる情報は何かと申しますと、気象庁の観測値であり、気象庁のGPVなんですね。その解釈において、先ほど他の委員からご紹介があったように、予報士の方たちと気象庁、支援センターを含めて、数値予報の見方は、我々の技術開発の進展においてはこういうふうになっておりますとか、要するに、技術の解釈における一定の水準について常に情報開示をして、気象庁と民間においてそれほど差がないというふうに私は思っています。

    専門委員のおっしゃるインフォーマルで、個人個人の予報士が全部ばらばらな予報が出るという世界は、技術的視点からは想像できません。なぜならば、ソースデータが1つである。予報技術においてもそれほど多様性はない。だけれども、コンテンツは明らかに変わる。それは個人個人がどのように伝えるかによって変わるわけですから、そういう理解のもとにこの予報業務許可というのが今から七、八年前に議論されて、そういう技術の担保だとか、さまざまなことから、一般国民の方の混乱は防げるのではないかということで、全体の基本コンセンサスになったと気象庁では理解しております。

    (委員)大体おっしゃることは解りました。いずれの場合でも最終的には災害情報、警報に関しては気象庁が責任を持って最後の部分は推進してくださるということですね。

    (事務局)全くそのとおりです。予報、注意報、警報というのは現象のステップにおいて常に考えているわけですから、気象庁が出す予報というのは災害を常に念頭に置いて予報を出しているのは事実であります。

    (委員)今のは予報業務の許可というような論点なんでしょうが、その許可の中身です。今いろいろお話があったような長期にしても、あるいは普通の予報にしても、さっきGPVはもとは同じだからというお話でしたけれども、今我々は気象のことをやっていますが、多分部会長などはよくご存じと思います。リージョナルなモデルなどは、アメリカではみんなワークステーションで学生がそれぞれのところでリージョナルモデルをつくって予報なんかをやっています。もともと昔から日本の気象教室はどういうわけか理論ばかりやって天気図をかかなかったのですけれども、アメリカでは各大学の気象教室は皆学生が天気図をかいて、自分たちで毎日予報して、教授も一緒になって予報を競争しているということがあったわけですね。今はワークステーションでもってリージョナルなファインメッシュの、多分日本の20キロぐらいをごく普通に皆さんやって、いろいろな局地的な天気なども全部計算して、それはそれで遊びとか勉強とか、そんな意味で大学でやっていると思います。日本でも間もなくそういうことはすぐ始まると思います。

    今のところはまだ研究レベルですけれども、たまたま昨日、そういうリージョナルなモデルの開発で、気象庁の人もみんな一緒に、大学も日本独自のものを--今アメリカからいろいろなランプスとかアープスとか、輸入というか、使っているけれども、独自のものをつくりましょうなんていう会合をやっておりましたけれども、ともかくその気になれば皆、ワークステーションとか、最近のIBMのパソコンみたいなものだってどんどんできてしまうと思うんですね。そういうことをすること、それを自分個人の目的ないしは友人の知り合いが山に行くのにどうとかということでそれを使うこと、多分ここはそんなことは全然考えていない。そういう話はそれこそ全く勝手にやって、これをどうこう言う筋のことではないんだろうと思いますね。

    それから、さっき専門委員が言われていた、特に長期予報などはどうなんだということだって、それこそ商品の先物は皆情報が必要だから必ず聞かれる。少しでも知っている人がいれば聞こうとしますし、実際私も大学にいて、そんなことかけらも知らないのに、昔の高校時代の友人や何かがそういうことをやっていて聞きに来て困ったこともあります。それは答えられれば答えるわけで、そういう話とは全く別のことをこれは言っているんだと思います。

    そうでなければ、そんなことに対してどうこう言うようなものではない。したがって、予報業務許可というのは一体どういうことかということを少し明確にしていかないと、今後のあり方とかも議論できないように思うんです。

    (部会長)ありがとうございました。それでは、事務局からお願いします。

    (事務局)今、委員からお話しにあったモデルのことですが、どんなモデルを扱っても、数値予報という1つの基盤の中では、予報結果について共通するものがある。気象庁の数値予報技術、予測結果というのはそういう表現なのでありまして、別に気象庁のモデルを使わなくても、どちらかの方が自分でデータを集めて自分で計算されても、それは実質的には同じでございます。こういうものがある限りにおいては、先ほど委員がお話しになったように、個々の国民の側でそれを受け取って混乱することはないであろう。それも平成7年の予報業務許可の一般向けの開始以降、そういう混乱は実際にございません。

    そこで、計2-3-4の右下の囲みなんですけれども、それらの技術の向上と、これは非常に重要な根拠だと考えていますが、それと提供体制、技術の移転、こういうものをどんどん進めていきたいと考えております。

    (事務局)法律上どうなっているか今調べてはいないのですが、要するに、気象予報士制度あるいは気象業務許認可制度の目的は、民間の方が国民の利便のために、国民一般に対して広く発表する気象情報、天気予報とか、そういうものを対象にしております。

    (委員)当然それを読めばわかるのだと思いますけれども、今おっしゃったことでよろしいんです。専門委員がやっていらっしゃるような複数の人に対しての契約というか、そういうのは全部話が違うということですね。

    (事務局)クローズされた……。

    (委員)クローズというのは、例えばさっきみたいに大学のクラスで1人だれかがいて、みんなにわあっと言うといったのも別にどうしようもないですよね。だれか、あいつはよく知っているとかいうのだって、だんだん境界がぼけてくるわけですけれども。そこで明確なものがあるんですか、許可とか、それの対象は明確ですか。

    (事務局)要するに、定常的に業として、職業として行うというのが対象で、しかもそれは科学的な方法で行うものを対象として、業として行う。それを発表する。それから、1つの会社の中で、その一部の中で行うとか、先ほどの非常にクローズされているものには言わない。先ほどの友人に説明するとかいう話もあったんですが、1回限りのものとか、業として行わないもの、そういうのは対象としない。そういう考えで整理しております。

    ですから、民間予報会社を起こして職業としておやりになる、あるいは個人としておやりになる、そういうものを対象に考えております。

    (専門委員)気象の利用企業としてお話し申し上げます。

    私どもはコンビニエンスストアですので、もちろん相対の関係で気象予報会社から購入するのですが、私どもの本部が大衆ではないかと思いますが、それを私ども5000店の店長に供給するわけです。もちろん統計的にその会社の予測精度を本部としては見ているつもりですが、それを5000店の店長さんに供給して、そこの営業の足しにしてもらうわけです。さらにその先に、従業員が見る場合もあります。そうなりますと、13万人ぐらい毎日見るわけです。その先に400万人来店客がありまして、マルチメディアキヨスクのようなところで天候

    を、まだやっておりませんが、出すわけですね。

    そうすると、私どもとしては相対関係と大衆とが非常に区切りにくい。自然に末広がりになっているような位置関係にありまして、そういう意味では、私ども本部が購入している天気の品質について統計的にちゃんと検証して提供していかなければいけないのだろうなと思っておるのですが、そのことは今のお話とはどういう関係になるか。私どもとしては、それは民間の取引の問題だろうというふうに思っておるのですが、逆にそれは違法だよということになるのかどうか。

    (事務局)そういう商社だとか、先生のような会社のことはちょっと議論していなかったんですが、放送会社、民法、NHKが放送する予報というのは一体許可の対象になるかという議論はございました。それに業として提供する民間気象事業者が許可を受けていただくということで、そこから先については、それを流す。流すというのは、許可を受けてつくられた情報を流すことについては我々の及ぶところではないということでございます。ですから、例えば今どこかの民間気象事業者と契約して、VAN事業者とかそういうのとよく似ている世界なんですが、それが民間に広く及ぶ及ばないとかということについては、民間気象事業者と気象庁との関係で整理していく必要があるのではないかと思うんです。

    (専門委員)僕は一般向け予報という言葉を当時使ったわけですけれども、この一般向けの一般というのを何をもって我々は議論しているのかということをやっぱり21世紀で考え直さなければいけないと思うんです。つまり、昔、一般と言えば、放送局のブロードキャスティングを放送と訳して、それを広域放送とあえて言わなかった。ところが、今は放送と言ったらナローキャスティングもあるし、ポイント・ツー・ポイント・キャスティングもあるし、ブロードキャスティングもあるし、リージョナルキャスティングもある。要するに、キャスティングという世界、つまり、予報というか、ある情報をどこかに向けて発信するという世界を、一般とか特定とかという言葉で定義すること自身、21世紀の情報化社会においてはもう無理になってきているんじゃないですか。

    つまり、パラパラめくりのブラウザの世界ができてしまって、好むと好まざるとにかかわらず、自分はある一定のところに対して発信しているつもりが、実際はみんながアクセスしていたとかいうこともありますし、今のコンビニエンスストアさんの例でお話のあるように、実際は自分たちがメーンユーザーとしてあったけれども、それをディスプレーのところで出したときには、そこにいらっしゃる人たちにもう広域に出していることになる。

    ですから、もう警報の話はだめだよということをはっきりした上で、予報という世界においては、そこはそれぞれのある一定の品質を確保する人たちが、いい意味で自分の得意ないろいろなノウハウがあったり、あるいは天気予報をするための特別な気配りシステムを考えたり、いろいろなことを加えることによって、一般向けにいろいろなことをやる時代が来ていることを理解して、21世紀はそういう大衆とか一般とか国民とかいう言葉をマスという言葉でとらえるにはもう無理があるんですということを認めた上で、この議論はオープンだということをさわやかに進めていくときが来たんだという感じがしてならないんです。

    この辺は気象庁さんは、まだ、いや、そうじゃないんだよということなのか、いや、わかったという話なのか、その辺、実は迷っているんだという話なのか。僕は、技術的に科学的な手法に基づいて、占いではないやり方でやることが全部ベースになった議論だというふうに確信して話しているつもりなんですが、そういう意味においては、私は矛盾はもうないのではないかというふうに理解しているのですけれども、まずいんですか。

    (事務局)冒頭に専門委員から、現在の予報業務許可制度については、透明性もあるし、規制も強化されていないしという方向でご報告があったわけですが、それをベースにまた考えた上でも、予報技術だとか、利用者の利便性だとか、そういうことから見ると、私どものこの問題提起で書いていますように、許可の運用の内容についてももう少しダイナミックに検討する時期に来ているのではないかと考えております。

    予報業務許可制度そのものについては、一般向け予報、特定向け予報という言葉の問題ではなくて、国民の皆さんの利便性がより発展することをまず考えたいと思います。そのために、現在やや制限的なものについて、技術の担保があり、かつ民間における--気象庁としては大変評価しているわけですが、技術の進歩に対して非常に熱心に、先ほど委員からお話があったようにフォローアップしていただいているわけですね。そういう社会環境全体から見ると、検討すべき事項として3つの観点をそろそろもう1度次のステップとして考えたらどうかというのが気象庁の考え方であります。

    (専門委員)そこは、結局、一緒になって技術のフロンティアを広げていこうよと。21世紀は、気象庁がこの技術がまだ確立されていないから、ここはやめておこうかとか、そういうふうなスタンスをとるのではなくて、これが今の現状の技術のフロンティアだ。このフロンティアを一緒になって広げていこうよ。こういうスタンスがお互いに社会契約説的にも理解し合えるならば、21世紀はそういう形でいこうよ。

    私は、前回の18号答申のときにはまだいろいろな点において不安要素が残っていたと思うんです。ですけれども、そこは我々も学習能力をお互いに持っていて、そしてやってみたら、実践してみたら、これを悪用するどころか、積極的にお互いが利用し合って、そしてテクノロジーをプッシュして、ますますフロンティアを広げていく。気象庁ももっといい意味で技術革新のためにいろいろな努力もして、テクノロジーもアップして、民間の方に来るデータの底上げもばんばん図ってくれる、観測も充実していくというようなことであるならば、慎重というよりは、フロンティアをお互いに広げていくということを21世紀的な物事の見方、考え方、進め方という形で、社会的に合意をしていくべきだ。そこまで気象庁自身が考え方を一歩も二歩も21世紀的に前進させていただく。

    そして、我々民間も、気象予報士も、そういうことを理解した上で、決して占いに走るつもりもないし、決して自分たちができないことをできると言うわけでもないわけですから、そういう形でいくことは国民的に決してマイナスになるようなことではない。むしろ、チャレンジという言葉がいいかどうかわかりませんけれども、自分たちの限界を知りつつも、その限界をいろいろな形で切り開いていこうということで進めていくのが21世紀の気象庁の気象サービスのあり方だと思うし、また、気象業務のあり方としては民間も含めてそのような形で進めていかなければいけないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

    (部会長)ありがとうございました。

    大変有意義なご意見を賜りまして、ほかにもしございませんようでしたら、このカテゴリーの中でもう1つ残されているポイントは「無線通信による観測成果の発表業務の許可制度」でございますが、これについていかがでしょうか、何かご意見がございましたら。余りこれは問題にならないのではないかと私は思っておりますが、何かございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

    では、この事項につきましては、大変貴重なご意見を多くの方々からいただきましたので、これを受けて、次回までに報告書の案を事務局でつくっていただいて、またこれも事前に委員の皆さん方に目を通していただくというふうにしたいと思っております。

  4. 気象測器検定制度等の今後の方向性

    (部会長)最後に「気象測器検定制度等の今後の方向性」ということで、これは最初に専門委員からご提言をいただき、そのあと事務局から、前回のリバイズした資料についてご説明をいただくことにします。

    (専門委員)私、気象測器工業会の代表として今回参加させていただいております。今までのことについては皆さん活発な前向きのご意見がたくさん出たようでございますけれども、我々の業界では甚だ消極的な話になるかと思われますので、ひとつよろしくご検討をお願いしたいと思います。

    我々気象測器メーカーとして検定という問題に深くかかわってきたのは、昭和27年の気象業務法が成立して検定制度が出てからでございます。本来、気象測器の検定というものは、利用者が検定の依頼をして、検定を受けて使用するのが建前のようでございますけれども、特に業務法第6条、気象庁以外の云々という項目に関して、そのことが我々がかかわるもとでございます。利用者が検定を申請して行うことはなかなか大変で、事実上困難であるということで、我々が利用者にかわって検定を行って販売をする、あるいは検定をとって差し上げることからかかわっております。

    昭和27年、気象業務法第6条が出てから、検定というものが非常に重要視されてきまして、当初のころは非常に業界としても戸惑いを感じ、気象庁さんの測器部門の方々のご指導やら教育を受けて、何とかかんとか検定に通るような品物をつくっていったというような経緯がございます。

    実は、大変時代が進んでしまいますけれども、昨年6月に基本法が制定されまして、我々に気象庁から説明がございました。そのとき、気象庁としては、出たばかりだから、これに対して対応策がまだないという話が出まして、いずれ対応策ができたら皆さんにお話ししましょうということだったのですけれども、我々業界としては、いわゆる民間に委譲しなさいという部分を、もう気象庁は検定をやらないんだというふうにとらえた人間もおりまして、非常にパニック状態になりました。

    我々としてはこれを放っておくわけにいかないということで、全体会議を開きまして、我々業界として、特に工業会なんですけれども、どうすればいいのかということで総意を問いましたところ、我々はとにかく検定制度を現状のままでやってほしいんだというのが全体の意見でございました。どうして検定が必要なのかみたいなことは前回もいろいろと事務局の方でお話しいただいたようなことでございますので、我々としても検定がなくなったら死活問題だということを言いまして、非常に問題になりました。

    そこで我々は、とにかく気象庁さんが案を出してからでは遅いんだ、どういう結論が出るかわからないということもあり、我々としてはぜひひとつ継続をとお願いしたいという要望を致しました。この基本法が出てしまった以上は現状のままというわけにはいかないだろうということで、昭和27年以降、ご指導によって我々もだんだんに技術の向上、精度の向上をやってきましたものですから、各会社とも技術は向上しております。検査設備制度もできております。ですから、特に型式証明という方式もその間にとられるようになっておりますので、これを最大限に利用してもらうということで、型式証明の啓蒙と実行を含めて、器差の検査部門については我々にお任せ願えないかということも考えております。その場合においても、各会社の技術的なレベルはある一定の気象庁で認められるようなレベルでなければいけないとか、その後においても気象庁の技術指導が必要なんだということも不可欠ではないかと思っております。

    それから、気象庁が検定をやめるんだというようなうわさだったんだろうと思うのですけれども、我々としてはすぐにそれに影響を受ける。零細企業が多いものですから影響を受けるということで、ほかの検査機関はどうなのかということをいろいろ探ってみました。しかし、我々業界としては非常に恩恵を受けていることにもなるのかもしれませんけれども、検定料が比較的安いというか、適正な検定料である。ほかにいった場合には、前にもお話がありましたように、年間1万5000件程度で、今のような検定料ではとても採算が合わないということで、ほかではやるところがない。では、我々がやろうじゃないかみたいなこともあったのですけれども、何しろ零細企業で、この不景気でございますので、出資金が集まらない。それでは、とにかく気象庁さんにお願いして、できるだけ我々民間活用を視野に入れた上で、気象庁で検定を行うことをぜひひとつお願いしたいということでございます。

    検定制度の中には有効期限がございますけれども、我々、気象測器は外で使う製品でございますので、非常に劣化とかいろいろなことがあります。器械によって有効期間がそれぞれ違うのですけれども、今言われている検定上の有効期限は精度維持のぎりぎりの期間ではないかという見方もございますので、使っている側の人も、自分たちでメンテナンスをやっても最終的なチェックができない。これはやっぱり気象庁でやってもらわなければいけないだろうというふうに思っております。

    いずれにしましても、我々、今後、先ほど申し上げたように、我々の検査設備とか、それから技術力みたいなものを利用されることをお願いするわけですけれども、それを維持するためには、気象庁の技術的な指導とか支援がどうしても不可欠だろうというふうに思います。

    (部会長)ありがとうございました。ただいまの専門委員のご提言にご質問がございましたら。よろしいですか。

    それでは、議論は後ですることにしまして、その前に、事務局から、前回の審議結果も勘案して、気象測器検定制度の現状と、気象庁として検討すべき点、それから、どういうふうに対応するのが適当だと思っているか、気象庁のお考えを含めて、できるだけ現状と問題点をわかりやすく資料をまとめていただいたと思うのですが、その要点をご説明いただきたいと思います。

    (事務局)ご説明いたします。資料は計2-4でございます。1枚めくっていただきますと、そこに「気象観測の技術上の基準適合と届出の義務の検討」というタイトルでございます。今、検定制度について議論しているわけでございますけれども、技術上の基準適合とか、届け出の義務といいますのも観測精度を確保する制度でございますので、検定制度と非常に密接に関係しておりますので、ここであわせて検討したいということでございます。

    現状につきましては前回ご説明しておりますけれども、そこにございますように、政府機関あるいは地方公共団体の観測所が多いということでございます。それで、実際に我々がこれから検討していくわけでございますけれども、まず、どういう観測を対象にするか、公共性の高い観測、例えば政府機関ですとか、地方自治体が行います観測につきましては、まず気象庁が発表する気象情報との整合性ということもございますし、いわゆる公共性の高い機関が発表する情報に間違いがございますと行政への信頼も失われるということで、技術上の基準に適合する、そういうことは今後とも重要ではないかと考えております。

    また、防災目的ですとか、あるいは成果の発表というものの観測につきましても、気象庁の発表する情報との整合性は非常に重要ではないか。そういうことを考えますと、少なくとも公共性の高い観測につきましては、今後とも技術上の基準適合は引き続き維持する必要があるのではないかと考えられます。確かに、そこの円グラフにございますように、民間の方がやられる観測もございますが、ある意味では防災目的ですとか、成果の発表とか、そこで対象を非常に厳しく制限をしておりますので、特に規制を強化した形ではないと考えております。

    では、どういう観測種目があるかと申しますと、そこのグラフにございますように、例えば降水量とか気温とか非常に多いのですけれども、ほとんど実績のないものもあるということでございまして、観測種目につきましては実績に応じて精査し見直していくことにしております。特に最近ですと観測方法もいろいろ変化しておりますので、そういうことも考慮しながら、実績の少ないものは見直すことを考えております。

    そこにございますように、観測所の届け出制度はどうかということでございますけれども、これはあくまでも基準適合を担保するためには届け出制は重要でございますので、これについても引き続き維持したいということでございます。

    1枚めくっていただきまして、これからが検定制度の部分で、本題でございます。現状につきましては前回ご報告しております。したがいまして、我々どういう方向で検討するかということをご説明いたします。まず、こういう観測値といいますのは、防災活動に使用され、特に即時的に発表されるということで、観測精度を維持する重要性はますます増している。そういうことから、測器が使用される前に精度を確保することがぜひとも必要だと考えております。

    しかし、規制緩和の観点からやはり民間能力を最大限に活用したいということも重要な視点でございます。さらに、今、測器工業会さんからの意見にもございましたように、昭和27年に検定制度ができまして約50年近い実績もございますし、制度が定着しております。測器工業会さんもそれに対応したことでずっとやられてきたわけでございますので、急激な変化は避けたい。あるいは、民間の実情に即した実施可能な現実的な制度を考えたいということで検討しております。

    前回も説明いたしましたように、対象測器でございますけれども、大ぐくりには7種類でございます。いずれの測器も防災上重要な気象要素、気温ですとか、風ですとか、そういうのをはかっているわけでございますし、基本的な物理量を測定しているということで、この大ぐくりの7種類につきましては今後とも維持したいと考えております。

    しかし、次のページ、計2-4-3にございますように、大ぐくりの7種類の下に細分して22種類ございます。このあたりにつきましては、社会情勢ですとか、科学技術上の進展ですとか、あるいは使用実績を見まして、弾力的に運用する。具体的には、あるものは加える、あるものは削る、弾力的な運用を図りたい、そういうことで検討をしております。

    もう1つ、検査の内容でございます。これは前回もご説明いたしましたように、検査の中には種類、構造、器差の検査がございます。このうちの種類、構造につきましては、測器の耐久性ですとか安定性ですとか、そういうものが重要でございますので、これはそういう観測の経験が長い気象庁が今後も実施しないと、ほかにそういうことをやれるところはなかなかないだろうということで、この種類、構造の検査につきましては気象庁が引き続き実施したいと考えております。

    しかし、器差の検査につきましては、これは規定に従って適正に行うことが重要なのでございますけれども、1つには、既に型式証明制度をやっておりまして、種類、構造の検査は省略できる。器差についてだけ今やっているわけなのですけれども、測器工業会さんからのお話にもございましたように、民間の企業でも同等の検査設備を持っている、あるいはそういう検査能力を持っていることがはっきりしておりますので、器差について民間能力を活用すれば、いわゆる検査業務の大部分を民間に委ねることができるかと考えております。

    そこで、1枚めくっていただきまして、計2-4-4でございますけれども、「気象測器検定における民間能力の活用方法の検討」という項目で示されております。どういう形で民間能力を活用するかでございますが、いろいろな制度が考えられます。しかし、最初に申しましたように、気象測器の場合は事前に精度が確認できないとだめだということでございますので、まず自己確認制度とかいうことでは事前に精度は確認できないという問題でございます。それから、前回もお話ししましたように、検定件数は年間1万5000件程度で非常に少のうございます。したがいまして、ページの右上の括弧の中にございますように、指定代行機関制度ですとか、あるいは第三者認証制度では、今お話にもございましたように、事業として採算をとることが困難である。ということで、なかなかこういう制度は導入しにくい。そういうことで、そのページの左側の真ん中の括弧にございますように、器差の検査に一定能力を有する測器事業者の社内検査等の結果を活用するということが、検定申請者の負担軽減を図るのには最も有効でないかというようなことを考えております。

    したがいまして、実際にどういう形で民間の方の能力を活用するかといいますと、その次のページにございますように、「民間能力活用方策の具体的イメージ」ということで示してあります。一定の基準器ですとか、測定設備等が十分である場合には、民間の器差の検査能力を活用して、そこで得られた器差の測定データ、測定値を検定申請に際して提出していただく。そうしますと、実際の気象測器の実器を提出しなくても、測定値のみで器差の検査を行うことが可能でございます。また、申請者の利便性を図るために、器差の測定能力を有すると認めた者につきまして、その方の氏名、所在地等を公表する制度を新設する。これは、測器工業会さんの中にも大きいメーカーさん、小さいメーカーさんございますので、そのあたりに配慮した考えでございます。

    もう1つ、型式証明関係は最初に種類、構造の検査をやっておりますので、あとは器差の検査だけでございますけれども、型式証明のないものにつきましては、毎回、種類、構造の検査をこれまではやっておるのでございますけれども、今回そこの(4)にございますように、有効期間満了に伴う再検定において、過去の検定合格履歴を提出する場合に、気象測器の実器の提出を要しないものとして、当該検定合格履歴により種類、構造の検査を行うということを考えております。合格履歴を見ることによって、種類、構造の検査を省略する形で規制緩和を行いたいと考えております。具体的な制度につきましては現在我々の方で検討していますので、またまとまりましたらご説明したいと思います。

    (部会長)ありがとうございました。

    それでは、さきほどの専門委員のご提言、それから事務局のご説明、両方を踏まえてご審議いただきたいと思います。いかがでしょうか。ご意見どうぞ。

    この気象測器検定の問題についても、それほど議論をする問題点は多くないのではないかと思いますが、何かございましたら。非常に特殊で、その世界が限られて、量的にも非常に小さいものですからね。しかし、行政改革という観点から、いろいろな分野に共通する問題がございますので、どうぞご意見等ございましたら。

    (専門委員)これは専門委員に逆に私が少し教えてもらわなきゃいけない世界なのですけれども、普通、行革をやるときとかなんかは、民間がメリットが出てくるという感覚が我々一般的な常識みたいなものなんですね。ところが、今回の場合はどちらかというと、気象庁から、おまえたちやれよと言われちゃっているみたい。そのことによって、自分たちがコストを負担して何かやっていかなければいけないような感覚がちょっと伝わってくるんです。

    実際は自分たちが自主的に管理運営する幅が広がれば広がるほどコストを下げることが相当できるような側面、トレードオフとして、何か民間のエネルギーを使えば使うほど、それだけ自分たちの中でコストダウンができるとか、気象庁があれやれ、これやれと言うことに対して、自分たちはいい意味でいろいろなプロセスを省略できるので、それだけコストダウンができるとか、そういうトレードオフみたいなところで言うと、このお話は、どちらかというと、業界の負担が大きくなってしまうという話の方が多いというふうな理解なんでしょうか。

    (専門委員)我々の業界というのは、要するに検定という問題が発生したときから、有効期限5年なり10年なりという期間をもつようにつくることにならされているというか、そういうシステムになっているわけです。設備もそうだし、人間もそうだし、極端に言えば手づくりのようなものですから。これが完全に解けてしまった場合は、逆に範囲の狭い中で競争が激しくなり、悪い品物が安く提供される。ですから、いいものを残すためにはどこかの形で制約があった方がいいというのが我々の考え方ですね。

    ですから、先ほど気象庁さんからもお話があったように、我々もそうなのですけれども、我々の中で活用できるものは使っていただきたい。しかし、最終的には気象庁長官による検定が重要であると考えております。

    (部会長)こういう気象測器の需要といいますか、これはそんなにふえていっていないんですね。大体ステーブルになってしまっているようです。

    (専門委員)これは2つの考え方があるのかなというふうに感じたんですね。1つは、私、これは専門でないので、間違っていたら、幾らでもばかやろうと言っていただきたいのですけれども、気象庁がやる観測というのは、いわゆる正式な観測の記録とか、どうのこうので国際的にもいろいろな意味がありますので、これはしっかりとした精度のあるものでないとまずい。これに対しての異論はないわけですよね。

    (専門委員)はい。

    (専門委員)そうすると、次は、そのマーケットだけだとなかなか大変なのかもしれないですけれども、私は、これからの21世紀というのは、測る、知る、参加するということを考えながら進んでいく時代だと思っているので、はかるところをしっかりとやることは非常にいいことだし、そのような社会的な感覚はだんだんできるんじゃないか。逆に気象庁がその辺のところについて、ちょっとマスメディアで生活情報として、今のここの天気は、気温二十何度ですとかというところまで検定がないものではだめだとか、そんなことを言われてしまうと、検定のものはすぐ150万円だよという話になると、やばい、やばいとなる。

    そうじゃなくて、非常に精度を要求されるスタンダードが高いものは気象庁が責任を持って国際的なスタンダードでやっていくものと、それから、そういうマスメディアとか、あるいは一般にもっともっとはかることをやった方がいいに決まっているわけですから、そういうところに対して市場原理を考えていろいろと出てくる。テレビでも何でもそういうのがある意味ではもっと自由に、気象庁も、生活情報のレベルで使っていいよ、別にそんなの検定でなくてもいいよということが出てきて、測っていく文化というようなものを逆につくってしまっていくときに、気象庁が余り検定でないものをテレビで出すなということがあったら、チャレンジしようかというこんな感覚が私などはあるんです。

    ですから、メニューはもっとふやしてもいいんじゃないのかな。そのメニューをふやすときに、絶対に確保しろよと言っている検定の話と、ある程度もっともっと自由度を広げさせてマーケットを新たにつくり上げていく。そういうところがあるのかなという感じがしてならないのですけれども、私、これはオプティミスティック過ぎるのか、おまえはこの業界を知らないよ、ばかやろうというのか、ここら辺は正直なところいかがなんでしょう。

    (専門委員)要するに、我々の市場というのは非常に限られておりまして、確かに専門委員のおっしゃられるように、開拓していけばあるのかもしれない。しかし、現状、気象測器を使って気象をはかる、そういうエリアは、業務法第26条にあるように、気象庁以外の政府とか公共性のあるところがほとんどなんです。そうすると、公共性のあるということで、前にも気象庁さんから話があるように、精度の整合性とかいろいろな問題があって、どうしても精度の高いものを要求される。中にはそういう必要がないところについては検定は要りませんと。

    もう1つは、我々も狭いエリアの中で競争がありまして、精度の高い状態において企業努力でコストを下げるということは当然やっております。ですから、非常に消極的な見方かもしれませんけれども、余り活発に広がっていく要素は少ないですね。

    (部会長)この事務局から出された資料で計2-4-4、検定件数、検定手数料の年々の変化がありますが、これは検定をする測器についての資料なので、これ以外に検定を要しない測器というのは一体どれぐらいの割合を占めるのでしょうか。例えば小中学校の教育用に使われるような気象測器は、必ずしも気象庁の検定を要しないわけですね。そういう需要がどれぐらい大きいのか。大したことないんですかね。

    (専門委員)大したことありませんね。要するに、学校で使われる気象測器というのは、我々、需要拡大を含めていろいろPR、調査などをするのですけれども、学校で気象云々と言われるのは今5年生からだと聞いておりますけれども、気象測器1台数万円ぐらいの予算きりないというようなことを言われております。ですから、たまたま小学校とか中学校に立派な設備があるところについては、奇特な方で、PTAだとか、地元の好きな方が、あなた方もつけて勉強して下さいと言って、予算、お金を出してつけてあげるというようなケースでございますね。

    だから、予算内で器材として使用する機器は、精度的にはもうずっと落ちるというか、あるいは製品としてずっと古い時代と同じようなものが出ているということでございますね。

    (部会長)ありがとうございました。

    ほかにご意見ございませんか。--なければ、この事項についての審議は本日これで打ち切りたいと思います。

  5. その他

    (部会長)一応予定しておった3つの事項についてのご審議を賜ったわけですが、まだ不十分なところも多々あるかと思います。もう1回、第3回目の部会で、これまでの審議結果を踏まえて、それに基づく中間報告の案をまとめる、そういう作業をしなければいけない。そこでもう1度全般的なご審議をいただく機会がございます。できるだけそれを効果的にやるために、1回目、2回目の審議を踏まえて、中間報告にまとめるに当たっての案を一応事務局でご用意していただいて、そしてこれも第3回目の会議の場ですぐ見せても、なかなか審議はスムーズにいかないと思いますので、事前に委員の先生方のところに差し上げて、もし必要とあれば、そこでご修正をいただく、あるいはコメントをしていただく。そのコメントをできるだけ入れた形で、さらに修正を加えたものを皆さん方のところにお届けして、そして第3回目の中間報告案づくりに移りたいと思っております。そのためには事務局としても時間的な余裕が必要だと思いますが、一方、10月末に総会の中間報告を提出するようにと言われておりますので、第3回目は10月20日前後に開きたいと思っております。

    今、日取りを決めておいた方が皆さんのスケジュールに載せられると思いますので、何か事務局からご提案がございますか。

    (事務局)ただいま部会長からお話がありましたように、10月20日水曜日、これまでですと間に3週間ありますので、今のスケジュールで何とか努力したいと思います。もし20日に行いますと、2時から気象庁の第1会議室があいていますので、そこで行わせていただきたいと思っております。

    (部会長)いかがでしょうか。委員の皆さん方、10月20日水曜日の午後ですね。ご都合をつけていただけるでしょうか。--それでは、第3回目の部会は10月20日午後2時、気象庁の第1会議室で、正式の通知は追って出されると思いますが、そういうことをご予定いただければ幸いでございます。

3.閉会

(部会長)その他として何か事務局からございますか。

(事務局)特にございません。

長時間のご議論、ありがとうございました。よろしければ、これで第2回総合計画部会を終了させていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。

(部会長)どうもありがとうございました。

 私の方で最初にスケジュール、時間的な配分を申しまして、最後に30分ぐらい総合討論の時間を設けると言いました。多分それはなくなるだろうと私も予想しておったんですが、そういうことになりまして、ちょうど5時になりました。どうもありがとうございました。


[ 以 上 ]

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