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風力発電施設が気象観測レーダーに及ぼす影響

 風力発電用の風車が気象レーダーの近傍に設置された場合、気象観測データに大きな影響を及ぼす可能性があり、その結果、大雨警報等の防災気象情報の発表にも支障が生じるおそれがあります。  以下に、風力発電施設が気象観測レーダーに及ぼす影響についてまとめましたので、ご参考にしていただき、気象レーダー近傍に発電用風車の立地を計画する際は、お早めに、下記連絡先にご相談をお願いいたします。  
 
 近年の気候変動問題への対応やエネルギー需給構造の変化等から、再生可能エネルギーの導入が積極的に推進されています。国内の風力発電設備に関しても、2016 年度時点における発電用風車数が約 2,200 基(出典:NEDO 新エネルギー・産業技術総合開発機構の調べ)に達し、更に導入加速に向けた取り組みが強化されています。  しかし、この風力発電設備が気象レーダーの近傍に設置された場合、その距離、設置高度、風車の規模等によっては、レーダー受信機の破損、電波の遮蔽や偽エコーの発生等、観測データに大きな影響を及ぼす可能性があります。気象レーダーによる観測データは、大雨等に関する気象警報及び注意報、土砂災害警戒情報等の防災気象情報の発表に非常に重要な役割を果たしています。今後、当庁の気象レーダー観測に影響が現れると、当庁の防災気象情報や地方自治体等による避難勧告の発表等の防災対応に支障をきたす地域が生じかねません。


風車が気象レーダー観測に与え得る影響と対策

 風車が気象レーダー観測に与え得る影響は、主に両者間の距離に依存します。そこで世界気象機関(WMO)は、両者間の距離に応じた影響の大きさと風車の立地における指針として、次表を示しています。

世界気象機関の指針(WMO guidance statement on weather radar/wind turbine siting (The CIMO Guide, 2014)
レーダーから風車までの距離 風車が気象レーダー観測に与え得る影響 風車設置に対する指針
0–5 km 風車は、レーダー観測を完全又は部分的に遮り、回復できない著しいデータ欠落を引き起こしうる。 強く影響を受ける領域:
この領域には風車を立てるべきではない。
5–20 km 多重散乱又はマルチパス散乱によって複数の仰角に偽エコーを作りうる。動くブレードによってドップラー速度観測に障害を来す可能性がある。 中程度の影響を受ける領域:
地形によって影響の度合いが変わりうる。影響の度合いの分析と協議を行うことが推奨される。個々の風車の位置や配置を変えることで影響を軽減できる可能性がある。
20–45 km 通常、最低仰角で風車が観測される。反射強度データにおいて地形クラッタのようなエコーが観測される。動くブレードによってドップラー速度観測に障害を来す可能性がある。 影響が低い領域:
風車の建設をレーダー側に通知することが推奨される。
> 45 km 通常はレーダーに観測されないが、電波の伝搬の状況によっては映りうる。 一時的に影響を受ける領域:
風車の建設をレーダー側に通知することが推奨される。

我が国における影響について

 当庁が運用する気象レーダー周辺にも発電用風車の設置が進んでおり、秋田、静岡、松江、沖縄等では、レーダーから 4~30km の距離に複数の風車群が見られます。 今後の発電用風車の設置の広まりによって、この他の気象レーダーを含め、観測への影響が懸念される状況にあります。


諸外国における風力発電施設への対応

 米国や欧州でも既に多くの発電用風車が設置され、その一部は気象レーダー観測に大きな影響を及ぼしています。例えば、米国ニューヨーク州の例では、レーダーから 5~18km に設置された風車群によって、その周辺に偽エコーが観測されているだけでなく、レーダーから見て風車群の後方にも幅広く偽エコーが観測されています。これら偽エコーは誤った雨量として解析されるだけでなく、竜巻探知の指標等となる風の観測にも大きな影響を及ぼします。 これらの状況から、世界気象機関(WMO)や米国海洋大気庁(NOAA:米国の気象機関)では、発電用風車が気象レーダー観測に及ぼす影響を関連リンクのとおり取りまとめています。特に、気象レーダーから距離 5km 程度以内に風車が設置された場合、風車からの強い反射波の影響でレーダー受信機が障害となる可能性が高いことに加え、風車による遮蔽や偽エコー発生等の影響が大きくなることが示されています。また距離 20km 程度以内の設置であっても、遮蔽や偽エコー発生等の影響を受けることも示されています。 米国においては 2016 年からエネルギー省が中心となり、関係省庁と協力して、気象レーダーと発電用風車の共存に関するガイドラインの検討を開始しています。国によって対応は様々ですが、フランス、英国等においては、気象観測設備近傍への設置を法により規制しています。

米国

・気象局レーダーオペレーションセンターは、公式・非公式に風力発電所の開発について情報収集。  米国風エネルギー協会とも連携。事前に任意に提案内容を精査。
・気象局レーダーオペレーションセンターは4kmの「建設禁止ゾーン」を設定。
・エネルギー省、国防省、FAA(連邦航空局)、NOAAの間で、レーダーと風車の共存に関する検討を実施。

フランス

・エコロジー、持続可能な開発とエネルギー省の資料によると、気象レーダーを含む各種レーダー(気象・軍事・民間航空・海洋・港)に関する法的な規制あり。(2011.8.26、2014年改訂)

英国

・「safeguarding activity(保護活動)」制度があり、正式な計画相談手続き(formal planning consultation process)の一環として、地方計画当局が設定するセーフガードゾーンが、 気象レーダー(17箇所)、ウィンドプロファイラー(5箇所)、ラジオゾンデ(5箇所)、衛星(1箇所)の施設周辺に設定されており、これらの地域に風力発電所を作る場合にはUKMO(英国の気象機関)に事前に相談することが推奨されている。

カナダ

・気象局が風力発電施設の影響に関するホームページを作成し、周知するとともに、風力発電所建設前に事前の相談を行うなど、風力発電事業者との連絡を密にしている。


関連リンク

連絡先

〒100-8122 東京都千代田区大手町1-3-4
TEL: 03-3212-8341
  観測部計画課 観測技術開発推進官(内線 4185)

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