地球温暖化について

地球温暖化についてまとめているページはありますか?

 地球温暖化を含む最新の気候変動に関する情報をまとめた「気候変動ポータル」をご利用いただけます。
 このポータルでご紹介するコンテンツのうち、世界と日本の気候、海洋、温室効果ガス等の状況については「気候変動監視レポート」に詳しくまとめています。観測・監視情報に加え、将来予測にご関心がある場合は、日本及びその周辺については「日本の気候変動2025」を、世界の気候変動の自然科学的知見については「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)第1作業部会(WG1)報告書」をご覧ください。

世界で地球温暖化が進行していることはどうやってわかりますか?

 世界平均気温の上昇の他、海面水温や海面水位の上昇などの海洋の変化、海氷や氷床の縮小などの雪氷圏の変化、生息域の移動などの生物圏の変化といった、観測されている様々な要素の変化から、世界で地球温暖化が進行していることがわかります。

温室効果とは何ですか?

 地球の大気には二酸化炭素などの温室効果ガスと呼ばれる気体がわずかに含まれています。これらの気体は、太陽からの日射を透過する一方で、太陽からの日射を吸収した地表面が上向きに放出する赤外線を吸収し、再放出することで地表面へ戻す働きがあります。この働きを、温室効果と呼びます。

温室効果ガスにはどんな種類がありますか?

 人間活動によって増加した主な温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスがあります。水蒸気には大きな温室効果がありますが、水蒸気の大気中の濃度は人間活動に直接左右されませんので、人為起源の温室効果ガスとしては扱いません。

大気中に放出された二酸化炭素はどうなるのでしょうか?

 大気中に放出された二酸化炭素は、一部が海洋や陸上の植物(植生)により吸収され、残りが大気中に留まります。2010年から2019年の10年間に人間活動によって排出された二酸化炭素は、46%が大気中に蓄積し、23%は海洋に吸収され、31%は陸域生態系の植生に貯蔵されました。

二酸化炭素濃度は場所によって違うのですか?

 二酸化炭素濃度は場所によって違います。これは地球全体の空気がよく混ざるまでに時間がかかるためで、都市域などで人間活動により二酸化炭素が放出されると、その付近や風下で濃度は高くなり、森林地帯などで光合成により二酸化炭素が吸収されるとその付近や風下で濃度は低くなります。
 二酸化炭素の放出源は北半球に多く存在するため、北半球中・高緯度で濃度が高く、南半球で低くなっています。

なぜ北半球では春に二酸化炭素濃度が高くなるのでしょうか?

 陸域の植物の光合成が最も活発になる前の時期にあたるためです。
 植物の光合成は、春から秋にかけて活発になり、秋から春には不活発になります。このため、植物による二酸化炭素の大気からの吸収量は夏季に大きく、冬季には小さくなります。一方、動植物の呼吸をはじめとした自然要因や人為起源による二酸化炭素の大気への放出はおおむね年間を通じて一定です。この二酸化炭素の吸収量と放出量をあわせて考えると、北半球中高緯度では一年の中で春頃(3~4月)に濃度が最高となります。その後、夏季にかけて、濃度が一時的に減少します。

二酸化炭素濃度が南半球では北半球より低く、季節変化の幅も小さい理由は?

 北半球と比べて、陸地の人間活動や植物が少ないためです。南半球には陸地が少ないため、人間活動による二酸化炭素の放出源が少なく濃度が低くなっています。また、森林等の植物も少ないため、光合成の変化に伴う季節変化の幅も小さくなっています。

二酸化炭素の量を表す時に、含まれる炭素だけの重さ(炭素換算)で表すことがあるのはなぜですか?

 炭素の追跡を簡便にするためです。
 炭素は地球上やその内部を有機化合物や無機化合物など様々な物質に形を変えながら移動していきます(炭素循環)。その際、炭素そのものの重さは変わらないので、炭素だけの重さで数値化した方が計算を行い易くなります。

気象庁では、二酸化炭素の観測をどこで行っていますか?

 気象庁では岩手県大船渡市の綾里、東京都小笠原村の南鳥島の2ヶ所で行っています。
 観測開始は、綾里が1987年1月、南鳥島が1993年3月です。
 また、沖縄県与那国町の与那国島では、1997年1月から2024年3月にかけて観測を行っていました。

気象庁で観測されている二酸化炭素の濃度は地上からどの程度の高さの濃度ですか?

 気象庁では、二酸化炭素濃度が地表近くでの植物活動や人間活動から受ける影響を小さくするように、地上から約20メートルの高さから取り込まれた空気の二酸化炭素濃度を測定しています。

気象庁では、二酸化炭素の観測をどのくらいの頻度で行っていますか?

 機器の点検等を除き、基本的に連続的に観測しています。観測所周辺の局所的な影響があると考えられるデータを除く等の品質管理を行った後、月平均値を求めています。

雲は気候や地球温暖化にどう影響しますか?

 雲は地表の約3分の2を覆っています。下層雲は地球に入射する太陽エネルギーを反射する(降温効果)、上層雲は地球から放射されるエネルギーの一部を吸収する(昇温効果)傾向があり、平均すると全体として降温効果をもたらしています。
 地球温暖化が進んだ場合の雲の変化については、高解像度の数値シミュレーション等によって理解が進展しており、全体として現在の降温効果を弱める、つまり、地球温暖化を増幅させることの確信度が以前よりも高まっています。

エーロゾルは地球温暖化にどう影響しますか?

 エーロゾルは、大気中に浮遊している小さな液体粒子や固体粒子のことを指し、地表や海面から舞い上がるような自然起源のものや工業活動によって排出されるばい煙などの人為起源のものがあります。エーロゾルには、太陽の光を散乱・吸収して地表に達する日射量を減少させ気温を低下させる効果を持つものがある一方で、地球から放出された赤外線を吸収・再放出する温室効果を持つものもあります。さらには雲粒の核として雲の性状を変えることや、雪面や氷面に沈着することにより放射収支を変化させ気温に影響を与える効果も持っています。エーロゾル全体の効果は地球の気温を低下させるものとされています。

地球温暖化に伴って日本の梅雨にどのような影響を及ぼしますか?

 「日本の気候変動2025」では、確信度は中程度であるものの、気温の上昇により大気中の水蒸気が増加することと関連し、初夏(6月)の梅雨前線に伴う降水は強まると予測されています。なお、梅雨前線帯の季節的な北上や弱化のタイミングに関する予測は、不確実性が大きいと評価しています。

海洋は温暖化していますか?

 海洋も温暖化しています。海域や深度により一様ではありませんが、海洋全体や太平洋などの広い海域で長期的に見ると、水温が上昇していることがはっきりとわかります。

氷河や、北極・南極の海氷はどのように変化していますか?

 北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に減少しており、特に、年最小値は減少が顕著です。南極域の海氷域面積には変化傾向が確認できません。
 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)第1作業部会(WG1)報告書」では、人間の影響が、1990年代以降の世界的な氷河の後退、1979年~1988年と、2010~2019年の間の北極域の海氷面積の減少の主要な要因であること、過去20年間に観測されたグリーンランド氷床の表面融解に寄与したこと、の可能性が非常に高いと評価されています。
 一方、南極域の海氷面積は、地域によって相反する傾向があることや内部変動が大きいことから、1979年から2020年の間に有意な変化傾向はありません。