震度・マグニチュード・地震情報について




××日の地震で○○市の震度情報が発表されないのはなぜですか?
地震情報で発表された震度は、体で感じた揺れより弱い(強い)と思いますがどうなっていますか?
地震の揺れを感じましたが、地震情報が発表されないのはなぜですか?

 気象庁が情報として発表している震度は、全国の約4,400地点に設置されている震度計による観測値です。一般的に、地震動は地盤や地形に大きく影響されるため、同じ市町村や地域・集落であっても場所によって震度が異なる場合があります。基本的な地盤の状態が異なる場合(例えば固い岩盤とやわらかい沖積地)などは、地震が起きたところからの距離がほぼ同じで隣り合う市町村であっても、観測される震度に差が生じることがあります。また、震度計は原則として地表や低層建物の1階に設置されており、中高層建物の上層階では一般に地表の観測値よりも揺れが強くなります。

 地殻内のごく浅いところで規模の小さな地震が発生した場合、震源周辺のごく狭い範囲で揺れを感じることがありますが、その揺れの範囲内に震度観測点が無い場合、震度1以上の観測がないため、情報は発表されません。

 また、地震が多発する場合に、一定以上の震度が観測された場合のみ情報を発表して、その基準未満の地震については決まった時間ごとに地震発生回数のみを別の情報で発表する場合があります(「平成28年(2016年)熊本地震」などで実施)。この場合、地震の発生回数がある程度少なくなるまで、この発表が継続されます。

 この他、震度計が点検等で運用を休止している場合や震度計周辺での工事などに伴う振動ノイズの影響が考えられる場合には、当該観測点で揺れがあっても震度を発表しないことがあります。

 気象庁では、震度1に満たず地震情報を発表しないような地震についても、地震計により常時監視しており、地震計で観測した小さな地震のデータについても、原則、発生した翌日の夜に「震源リスト」で公開していますので、小さな地震の発生状況の確認が必要な場合は、それらのデータもご活用下さい。

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○年△月×日の地震の、○○市の震度を知りたいのですが。

 過去1週間以内に発生した地震の震度は、ホームページの「各地の震度に関する情報」に掲載しています。また、過去に発生した地震の震度は「震度データベース検索」で調べることができますので、ご活用ください。

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テレビなどで○○市震度×と発表される画面をよく見ますが、震度の情報はこれだけなのでしょうか?

 気象庁の震度に関する情報発表について説明します。

 震度3以上の地震が発生した場合、
  地震発生約1分半後に「震度速報」
  発生後約5分程度で「震源・震度に関する情報」と「各地の震度に関する情報」
を発表します。

 「震度速報」は、震度3以上を観測した観測点を含む地域名称(全国を約190に区分したもの、新潟県上越、富山県東部等)を発表します。「震源・震度に関する情報」は、地震の発生場所(震源)やその規模(マグニチュード)、震度3以上の地域名と市町村名を発表し、また、震度5弱以上と考えられる地域で、震度を入手していない地点がある場合は、その市町村名を発表します。「各地の震度に関する情報」は、震度1以上を観測した地点のほか、地震の発生場所(震源)やその規模(マグニチュード)を発表します。この様に複数の情報を発表する理由は、防災対応と観測データの収集状況を考慮し、まずは、地域名、次に市町村名、最後に、各観測点での震度へと、より詳細な順次情報を発表する仕組みとしたからです。

 以上のとおり、初めのうちの情報は、地域名称、市町村名ですが、「各地の震度に関する情報」では、観測点ごとの震度があり、気象庁ホームページでもご覧になれます。

 また、全国いずれかの観測点で震度5弱以上を観測した地震では、地震発生後約15分~30分程度で「推計震度分布図」を発表し、気象庁のホームページに掲載します。推計震度分布図とは、気象庁や地方公共団体等の震度計で観測された各地の震度データを元に1kmメッシュ毎の震度を推計したものです。

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震度とマグニチュードはどう違うのですか?

 震度は、ある場所での地震による揺れの強さをあらわし、マグニチュードは地震そのものの大きさ(規模)をあらわします。これは電球の明るさと周りの明るさとの関係によく似ています。電球の明るさをあらわす値がマグニチュード、電球から離れたある場所の明るさが震度に相当します。つまりマグニチュードが大きくても(電球が明るくても)震源から遠いところでは震度は小さく(暗く)なります。

マグニチュードや震度は世界共通なのですか?

 マグニチュードは大まかに言うと世界共通です。ただし、使っている計算式や地震観測網が違うために、それぞれ異なるマグニチュードの値が計算され、その結果、新聞などで見る外国の地震のマグニチュードが同じ地震なのに少し違っている場合があります。

 震度は、その国の建物の壊れやすさなどにより異なり、したがって国によって異なっています。日本では、0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10階級で表し、震度計で観測します。一方、外国では主にMM震度階(モディファイド・メルカリ・スケール(改正メルカリ震度階))という12階級での表現を使っています。これは体感や被害によるものです。

 日本でも以前は体感による震度観測を行い、震度7の地域については事後の現地調査で決定していました。現在は、震度計により震度を観測し、速報する体制をとっています。

※平成3年4月から計測震度計の導入を開始し、順次全国に展開しました。これに伴い、平成8年3月までに体感による震度観測を終了しました。

MM震度階(改正メルカリ震度階)と気象庁震度階級はどのように対応するのですか?

 原理的には、同じ場所で震度計による観測とMM震度階による震度が得られていれば対応づけられますが、現在では、1対1に対応づけることは難しくなっています。それは、MM震度階は主に地震による被害に基づいているのに対し気象庁震度階級は震度計によっていること、外国と日本の建築様式が異なっていること等によります。

 また、日本のような人口密集地では、震度と地震動による被害はすぐに結びつけられますが、外国ではかなりの大地震でも、その場所に人が住んでいないことがあり、MM震度階のデータが得られないこともあります。

マグニチュード(M)とエネルギーの関係を教えてください。

 マグニチュード(M)と地震波の形で放出されるエネルギーとの間には、標準的にはMの値が1大きくなるとエネルギーは約32倍に、Mの値が2大きくなるとエネルギーは約1000倍になるという関係があります。M8の地震の1つでM7の地震約32個、M6の地震約1000個分のエネルギーに相当します。

モーメントマグニチュードとは何ですか?

 地震は地下の岩盤がずれて起こるものです。この岩盤のずれの規模(ずれ動いた部分の面積×ずれた量×岩石の硬さ)をもとにして計算したマグニチュードを、モーメントマグニチュード(Mw)と言います。一般に、マグニチュード(M)は地震計で観測される波の振幅から計算されますが、規模の大きな地震になると岩盤のずれの規模を正確に表せません。これに対してモーメントマグニチュードは物理的な意味が明確で、大きな地震に対しても有効です。ただし、その値を求めるには高性能の地震計のデータを使った複雑な計算が必要なため、地震発生直後迅速に計算することや、規模の小さい地震で精度よく計算するのは困難です。

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兵庫県南部地震のマグニチュード(M)で、M7.3と書いてある資料と、M7.2とある資料がありますが、どちらが正しいのですか。

 2003年に気象庁ではマグニチュードの改訂を行い、計算式を改良しました。

 兵庫県南部地震のMは当初M7.2でしたが、この計算式に従って再計算を行い、M7.3に改訂しました。(兵庫県南部地震など、1994~2001年の間に発生した顕著な地震は先行して2001年4月に改訂し、その他は2003年9月に改訂を行っています。)

 古い資料や古い資料をそのまま引用している資料には、M7.2のままのものがあると考えられます。

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震度7はこれまでに何回観測されたことがありますか?
これまでに観測された震度7の計測震度を教えてください。

 これまでに震度7を観測した地震は、気象庁が1949年に震度7の震度階級を設定してから6回あります(令和元年9月1日現在)。

 1回目は「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」で、この時は現地調査によって、神戸市や淡路島の北部などで震度7の地域が存在していることがわかりました。なお、震度7としての計測震度はまだ導入されていませんでした。

 2回目以降は以下の地震であり、計測震度計で震度7を観測しています。

震度7は、加速度で何ガルに対応するのですか?

 私たちが地震による揺れ(地震動)を強く感じるか否かは、地面の揺れの波(地震波)の周期(1回の波の振動にかかる時間)と揺れの幅(振幅)の大きさによって大きく変わります。地震波は色々な周期の波を含んでいるので、震度7が加速度で△ガルに対応するとは一概には言えません。単一周期の波が何波か続くと仮定すれば、震度7の下限である計測震度6.5以上となるためには、周期0.1秒で約2700ガル以上、周期0.5秒で約900ガル以上になります。

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震央付近では小さい震度であるにもかかわらず、震央から離れた太平洋側で大きな震度を観測する地震について教えてください。

 震源が非常に深い場合、震源の真上ではほとんど揺れないのに、震源から遠くはなれた太平洋側の場所で揺れを感じることがあります。この現象は、「異常震域」という名称で知られています。原因は、地球内部の岩盤の性質の違いによるものです。

 大陸プレートの地下深くまで太平洋プレートなどの海洋プレートが潜り込んで(沈み込んで)います。通常、地震波は震源から遠くになるほど減衰するものですが、この海洋プレートは地震波をあまり減衰せずに伝えやすい性質を持っています。このため、沈み込んだ海洋プレートのかなり深い場所で地震が発生すると(深発地震)、真上には地震波があまり伝わらないにもかかわらず、海洋プレートでは地震波はあまり減衰せずに伝わり太平洋側に揺れを伝えます。その結果、震源直上の地表での揺れ(震度)が小さくとも、太平洋側で震度が大きくなります。

異常震域

 例えば異常震域となった地震に、平成19年7月16日の京都府沖の地震(深さ374km)があります。京都府沖の地震については、地震調査研究推進本部地震調査委員会へ気象庁が報告した資料がホームページで公開されていますので、ご覧下さい。

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地震による強い揺れはどの位長く続くのですか?

 地震による強い揺れが続く時間は、その地震の断層運動(岩盤がずれる動き)が継続する時間とほぼ同じです。日本付近で発生する地震による強い揺れは、マグニチュード7クラスの地震であれば約10秒間、マグニチュード8クラスの地震であれば約1分間、マグニチュード9クラスの地震であれば約3分間継続します。例えば、「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」では15秒程度、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」では長く続いたところで190秒程度でした。

報道発表資料で震源の位置やマグニチュードの値などに「速報値」もしくは「暫定値」という表現が用いられていますが、この違いは何ですか?

 「速報値」とは、地震情報や津波警報・注意報など地震発生直後に発表される情報に用いられる値のことです。地震発生時には、速やかな情報伝達が何よりも重要であるため、「速報値」の計算には限られた地震観測点のデータのみを使用しています。

 「暫定値」とは、「速報値」よりも数多くの地震観測点のデータを使用して計算された値のことです。データの数が増えるため、「速報値」よりも震源の位置やマグニチュードの精度は上がりますが、算出するまでの処理に時間がかかり、通常は地震が発生した日の翌日に更新されます。

 ただし、規模の大きな地震が発生した場合は、地震情報などで「速報値」を発表した後、他の規模の小さな地震より優先させて「暫定値」の計算を行い、報道発表資料などで速やかに「暫定値」を発表することとしています。

 後日、「暫定値」についてさらに精査を行い、値を最終確定します。その結果は「気象庁地震月報(カタログ編)」に収録されます。

気象庁ホームページへの地震情報の掲載が遅いと感じますが早くならないでしょうか。

 気象庁ホームページにおける地震情報の掲載についても同様に速やかに実施していますが、コンテンツの作成や構成するサーバの更新等に一定の時間を有することから、情報の掲載にある程度の時間がかかることがあります。今後も迅速な掲載に努力して参りますが、運用の安定性等から限界があることについてご理解の程お願いいたします。また、気象庁の情報は気象庁ホームページだけでなく、テレビやラジオ等様々な方法で受け取ることができます。

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