津波について




津波はどのような仕組みで発生するのですか?

 地震が起きると、震源付近では地面が持ち上げられたり、押し下げられたりします。地震が海域で発生し、震源が海底下の浅いところにあると、海底面の上下の変化は、海底から海面までの海水全体を動かし、海面も上下に変化します。このようにもたらされた海水の変化が周りに波として広がっていく現象のことを津波といいます。

津波の発生

津波の前には必ず潮が引くと聞きましたが、本当ですか?

 それは、間違いです。地震の発生の仕方によっては、いきなり大きな波が押し寄せることもあります。平成15年(2003年)十勝沖地震による津波や、2004年のスマトラ沖地震の際にスリランカやインドの沿岸に押し寄せた津波では、直前に潮が引くことなく大きな波が押し寄せました。

0.3mの津波でも危険なのはなぜですか?

 津波は海底から海面までの海水全体が動くエネルギーの大きな波であり、風が吹くことによって海面付近の海水が動く現象である「波浪」と大きくことなります。

 津波が高くなってくると、それにつれて海水全体の動きも大きくなり、高さ0.2~0.3m程度の津波も人は速い流れに巻き込まれてしまうおそれがあり大変危険です。

 気象庁は0.2m以上の津波が予想された場合は津波注意報を発表します。津波注意報が発表されたら海から上がって速やかに海岸から離れてください。

波浪と津波の違いは何ですか?

 海域で吹いている風によって生じる波浪は海面付近の現象で、波長(波の山から山、または谷から谷の長さ)は数メートル~数百メートル程度です。一方津波は、海底から海面までの海水全体が短時間に変動し、それが周囲に波として広がって行く現象で、波長は数キロから数百キロメートルと非常に長いものです。このため津波は勢いが衰えずに連続して押し寄せ、沿岸での津波の高さ以上の標高まで駆け上がります。しかも、浅い海岸付近に来ると波の高さが急激に高くなる特徴があります。また、津波が引く場合も強い力で長時間にわたり引き続けるため、破壊した家屋などの漂流物を一気に海中に引き込みます。

津波

波浪と津波の違い(津波)
  海底から海面まで海水全体が押し寄せる

波浪

波浪と津波の違い(波浪)
  海面付近の海水だけが押し寄せる

津波の高さによってどのような被害が発生するのですか?

 過去に発生した津波被害と津波の高さの関係を見ると、家屋被害については、建築方法等によって異なりますが、木造家屋では浸水1m程度から部分破壊を起こし始め、2mで全面破壊に至ります。また、浸水が0.5m程度であっても船舶や木材などの漂流物の直撃によって被害が出る場合があります。

津波波高と被害程度(首藤(1993)を改変)

津波波高(m) 16 32 
木造家屋 部分的破壊 全面破壊
石造家屋       持ちこたえる   全面破壊
鉄筋コンクリートビル       持ちこたえる   全面破壊
漁船   被害発生 被害率50% 被害率100%
防潮林
  被害軽微   漂流物阻止
  津波軽減
部分的被害
漂流物阻止
全面的被害
無効果
養殖筏 被害発生
  前面が砕けた波による連続音
(海鳴り、暴風雨の音)
  浜で巻いて砕けた波による大音響
(雷鳴の音。遠方では認識されない)
  崖に衝突する大音響
(遠雷、発破の音。かなり遠くまで聞こえる)

※津波波高(m)は、船舶、養殖筏など海上にあるものに対しては概ね海岸線における津波の高さ、家屋や防潮林など陸上にあるものに関しては地面から測った浸水深となっています。
※上表は津波の高さと被害の関係の一応の目安を示したもので、それぞれの沿岸の状況によっては、同じ津波の高さでも被害の状況が大きく異なることがあります。
※津波による音の発生については、周期5分~10分程度の近地津波に対してのみ適用可能です。

検潮所における津波の高さと浸水深、浸水高、遡上高の関係

津波の高さ

※津波の痕跡から推定される津波の高さ(浸水高、遡上高など)を「痕跡高」と呼びます。気象庁の過去の資料では、浸水高を痕跡高としているものがあります。

津波の高さ○mと予報される場合、どこの地点で言うのですか?例えば、海岸線ですか。内陸部100m地点等のことですか。

 「津波の高さ」とは、津波がない場合の潮位(平常潮位)から、津波によって海面が上昇したその高さの差を言います。気象庁が津波情報で発表している「予想される津波の高さ」は、海岸線での値です。場所によっては予想された高さよりも高い津波が押し寄せることがあり、その旨を津波情報に記載することでお伝えしています。

津波予報の文中にある「海面変動」とは津波のことですか?

 津波予報で発表される「海面変動」とは、津波注意報を発表する基準には達しない程度の小さな津波が観測される可能性がある場合に用います。「津波」という言葉が災害を連想するため、被害を及ぼさない津波という安心情報を伝えるために、あえて「海面変動」という言葉を用いています。

日本で一番大きな津波は何ですか?

 2011年3月11日に発生した「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による津波では、『東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ』による調査により、岩手県大船渡市の綾里湾で局所的に40.1mの遡上高(海岸から内陸へ津波がかけ上がった高さ)が観測されました。※

 記録に残っている中では、1896年の明治三陸津波(遡上高で約38.2mと推定:同じく岩手県大船渡市)を上回り、これまでに日本で記録された最大の津波となりました。

 ただし、これらはこの100年間程度の記録が残されている範囲での値であり、それ以前にも同程度、あるいはより高い津波が日本の沿岸を襲った可能性があります。近年、過去の津波の痕跡から浸水範囲を推定する調査が進んでおり、今後、より大きな津波の証拠が見つかるかも知れません。

 ※東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ(http://www.coastal.jp/ttjt/)調査結果より

津波警報発表時の緊急警報放送とはどのようなものですか?

 気象庁から津波警報が発表された時に、テレビ/ラジオなどの受信機から警報音を発し、お知らせするものです。

 テレビ/ラジオのスイッチが入っていない状態でも、緊急警報放送に対応した受信機を使用し待機状態としておけば、緊急警報放送受信時に自動的に起動し、津波警報の発表を知ることができます。

 緊急警報放送の詳しい説明については、日本放送協会(NHK)のウェブサイトをご参照ください。

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