令和5年度 気象防災アドバイザー育成研修

 気象庁は、令和5年8月から令和6年2月にかけて「令和5年度気象防災アドバイザー育成研修」を実施しました。

 地方公共団体における災害対応時には、避難情報の発令について迅速な判断が求められています。本研修では、気象予報士等の方に国のガイドラインに基づく避難情報発令の判断方法を習得いただくことで、 限られた時間の中で、予報の解説から避難の判断までを一貫して扱うことのできる地方公共団体の即戦力となる人材を育成しました。
 研修修了者は国土交通大臣から気象防災アドバイザーを委嘱され、地方公共団体の職員として採用された場合には、避難情報発令に関する首長への進言等を実施いただきます。 地方公共団体は、防災基本計画に基づき、気象防災アドバイザーを、避難情報の発令のほか防災教育や人材育成等に活用します。

研修カリキュラム

研修カリキュラム

研修で習得した知識・技能・姿勢

研修内容

1. 防災基礎講義

 気象防災アドバイザーに求められる災害や避難に関する基礎的な知識・技能・姿勢を習得するための講義です。
 土砂・洪水・高潮・地震・津波・火山災害の発生メカニズムのほか「予測に反して降り続く線状降水帯の恐ろしさ」「地形から災害リスクを読み取る」「大河川からの背水による支川氾濫」「防災関連の法制度と計画」「地方公共団体の防災対応」等について、一流の講師陣による講義を通じて学習します。

2. 避難判断訓練

 市町村の防災の現場で、限られた時間の中で予報の解説から避難の判断までを一貫して担う気象防災アドバイザーとして必須となる避難情報発令に関する知識・技能・姿勢を習得するための訓練です。
 防災気象情報から、内閣府の「避難情報に関するガイドライン」に沿って対象区域を絞り込んで避難情報発令を判断する方法を、過去の災害事例を用いた体験型の訓練プログラムを通じて学習します。

3. 災害対応演習

 市町村における災害対応に習熟するための演習です。
 現場経験の豊富な有識者の指導の下、市町村長に避難情報発令について進言したり、住民に求める避難行動について記者会見で説明したりするロールプレイを行い  「災害対策本部・記者会見における災害コミュニケーション」や「防災気象情報やハザードマップを活用した災害対応」について参加型のリアルタイム演習を通じて学習します。

4. 防災解説実習

 地方公共団体の現場で即戦力となる実力を養成するための実習です。
 地元気象台において職員を住民や地方公共団体職員に見立てた模擬の防災出前講座や防災解説ワークショップを実施し、これまでの研修を通じて講師から学んだ「予測に反して降り続く線状降水帯の恐ろしさ」「地形から災害リスクを読み取る」「大河川からの背水による支川氾濫」 といった内容を、研修生自身が講師役となって解説し、1~3で習得した知識・技能・姿勢の定着を図ります。