気象庁の任務

 明治8年(1875年)に東京気象台として発足以来、約1世紀半にわたって、気象庁は自然を監視・予測し、国民の生命・財産が災害から守られるよう、適切な情報提供に努めています。
 これからも、気象庁の使命・ビジョンをすべての活動の根幹に据えて、一人一人の生命・財産が守られ、しなやかで、誰もが活き活きと活力のある暮らしを享受できるような社会のために取り組んで参ります。

<気象庁の使命>

気象業務の健全な発達を図ることにより、災害の予防、交通の安全の確保、産業の興隆等公共の福祉の増進に寄与するとともに、気象業務に関する国際協力を行う。

 気象庁の使命は、“気象庁に与えられた任務1”です。
 気象業務は、気象や気候、海洋、地震、津波、火山等の自然現象の観察・観測、観測データの取得・収集、スーパーコンピュータ等をはじめとする各種システムを活用した解析・予測、情報の作成・提供、さらに、それらに必要な調査・研究などの業務をいいます。この気象業務は、気象庁のみならず、自治体、民間事業者等、様々な主体によって実施されています。
 また、気象業務の遂行には、世界各国とのデータの交換や技術協力等が不可欠であり、これらが国際的な協力により実施されています。
 この気象業務は、災害予防、交通安全、産業の興隆等に寄与することを目的としています。そのために、気象業務を担う機関、関係者により気象情報・データが的確に提供され、これらが防災対応や一般社会・産業分野等において利活用されるようにすること、すなわち、気象業務の健全な発達を図ることが必要となります。
 気象庁は、最先端の技術開発やその成果を導入し、自ら観測・予測を行い気象情報・データを作成・提供するとともに、自治体や報道機関、民間事業者等における気象情報・データの作成・提供や様々な社会経済活動における利活用を促進することにより、気象業務の健全な発達に向け、その役割と機能を十全に発揮できるよう取り組んでいきます。


1国土交通省設置法には、「気象庁は、気象業務の健全な発達を図ることを任務とする。」とされています。また、気象業務法には、「この法律は、気象業務に関する基本的制度を定めることによって、気象業務の健全な発達を図り、もつて災害の予防、交通の安全の確保、産業の興隆等公共の福祉の増進に寄与するとともに、気象業務に関する国際的協力を行うことを目的とする。」とされています。これらを踏まえて、使命を表現しています。

<気象庁のビジョン>

安全、強靱で活力ある社会を目指し、国民とともに前進する気象業務

 産学官や国際連携のもと、最新の科学技術を取り入れ、観測・予報の技術開発を推進する。
 社会の様々な場面で必要不可欠な国民共有のソフトインフラとして気象情報・データが活用されることを促進する。

 気象庁の使命を果たすため、社会や技術動向を見据えて気象庁が取り組むべき今後の構想を、ビジョンとして表現しています。
 交通政策審議会気象分科会提言「2030年の科学技術を見据えた気象業務のあり方」(平成30年8月)では、気象業務が寄与する社会の姿として、「安全、強靭で活力ある社会(一人一人の生命・財産が守られ、しなやかで、誰もが活き活きと活力ある暮らしを享受できる社会)」を目指すことが示されました。
 また、同提言では、災害が激甚化する国土、変革する社会において、国民ととともに前進する気象業務の方向性として、「観測・予測精度向上に係る技術開発」、「気象情報・データの利活用促進」を両輪として推進するとともに、気象業務にかかわる「防災対応・支援」について気象庁が中核となって取り組むこととされています。
 気象庁は、目指すべき社会の実現に向けて、常に社会的ニーズの把握に努めつつ、幅広い関係者の理解と協力を得て、以下のとおり、気象業務の前進を図る取組を進めます。

  •  技術に真に立脚した気象情報・データの提供がなされるよう、産学官や国際的な連携のもと、最新の科学技術に対応して、観測や予測精度を向上させるための技術開発を進めます。
  •  気象情報・データが防災や生活、経済等の様々な社会経済活動におけるソフトインフラ(基盤情報)として十分に利活用されるよう、気象情報・データが取得・利用できる環境の整備と、「理解・活用」を支援する取組を進めます。
  •  国民の生命・財産に直接関わる防災対応・支援については、気象庁は中核となって、防災意識を社会全体で高めるとともに、技術開発と利活用促進の相乗効果を発揮させて、取り組みます。

気象庁の使命、ビジョン