「気象業務の評価に関する懇談会」(第4回)の概要

  1. 日時 : 平成14年9月20日(金)15:00~17:00
  2. 場所 : 気象庁大会議室
  3. 出席者 :
    委員
    (石田東生 筑波大学社会工学系教授は欠席)
    小林昂 日本テレビ放送網株式会社取締役執行役員専務(日本民間放送連盟放送小委員長)
    小室広佐子 東京国際大学講師
    (平啓介 東京大学海洋研究所教授は欠席)
    (田渕雪子 三菱総合研究所主任研究員は欠席)
    (座長)廣井脩 東京大学社会情報研究所長
    森下俊三 東日本電信電話株式会社代表取締役常務取締役
    気象庁
    長官、次長、総務部長ほか
  4. 議題
    1. 平成14年度のこれまでの取組状況について
      • 「気象庁業務評価レポート(平成14年度版)」
      • 「防災気象情報の満足度調査結果」
    2. 平成14年度の今後の進め方について
      • プログラム評価「火山噴火への対応策―有珠山・三宅島の経験から―」
        (平成14~15年度)の進め方
      • 平成14年度における「気象情報の満足度」調査の進め方
      • 業績測定の今後の進め方
  5. 議事概要
  6. 委員と気象庁の発言概要は次のとおりです。

    <気象庁業務評価レポート(平成14年度版)>

    気象庁の平成13年度における業務評価の概要や業績指標と目標値等の測定結果についてとりまとめ、公表した「気象庁業務評価レポート(平成14年度版)」について説明。

    (委員)

    • 業績測定などの結果については、パターン(様式)化して、目標の達成度を一覧的に明示したことはわかりやすく、評価できる。
    • 評価方法(論)は大変優れておりよい。コメント中の"概ね順調"、"順調"などの判断をどうしていくのか、コメントにおける表現のバラツキを今後どうやって無くしていくかの課題はあるものの、この評価基準は優れたものであると考える。
    • 業績測定結果のコメントで、数値に現れてない内容について記述しているが、業績指標としては数値目標を設定しているのに、定性的な表現はわかりにくのではないか。
    • 評価結果はパターン化されているが、評価結果におけるコメントで、なおパターン化されていないものがあるが、今後このコメント全体をパターン化して行うということか。また、1年間で予定どおり進んだ場合を"順調"というのか、予定以上に進んだ場合を順調というのか。
    • 気象庁の業績指標や目標値には、その結果が出るまでは開発をしており、途中段階では効果が出ないものもあり、取組が施策とつながっていれば"概ね順調"というのも理解できる。

    (気象庁)

    • 初めての評価を行うにあたり、業務評価レポートの作成に合わせて、その評価方法・記述をパターン化した。その際、結果だけではなく、プロセスとして取組内容の評価も必要と判断してコメントに含めたが、目標の性格によってその内容そのものは、様々な表現ぶりになっている。
    • 数値の達成と進捗状況と合わせて取組内容を記述するという観点からは数値には現われない定性的な表現のところがある。
    • 気象庁の自己評価で"順調に進んでいる"と考えるもの、"予定どおり進んだ、目標が達成できる"と考えたものを"順調"としている。この懇談会やパブリックコメントなどで、その意味を問われた時にアカウンタビリティをもって対応できるかがポイントと考えている。現時点では、各目標の達成度を測る物差しが固定していないので、委員の皆様方の客観的な立場での意見を聞きつつ、改善していく。
    • 技術開発の場合、ブレークスルーすると一挙に改善され、そうでないと1年間何もしていないようにも見えるので、取組状況から見てブレークスルーに向けてまじめに取り組んでいるものは順調に進んでいるとしている。これは技術官庁のもつ特徴で、5年後のアウトプットの固まりがどのような仕上がりになるのか、そういう側面があることを理解して頂いた上で、委員の皆様のコメントを頂きながら対応していきたい。



    (委員)

    • 業務評価レポートは、作成のプロセスとして誰が目標を決めて評価し、誰が評価結果を認定したのか、受け手側ではその仕組みが理解しずらい。また、役所の内部資料がそのまま公表されているような印象を受ける。
    • 今後、この評価をどのようにチェックしていくのか。

    (気象庁)

    • 気象庁の自己評価であるが、指標・目標の設定などにあたっては、懇談会での議論や気象庁ホームページを通じてご意見募集(パブリックコメント)も行ったところであり、気象庁の目標や考え方をオープンにした上で、目標を定めて気象庁でその実績などを評価した。気象庁は、行政として評価結果等について先駆的にオープンにしており、引き続きこれで進めさせて頂きたい。
    • 業績指標・目標の設定に対するパブリックコメントの中に、わかりずらいとの意見もあり、庁内で議論し可能な限り客観的でわかりやすいものとなるよう努力した。指標や目標に使用している用語は、気象庁独自で一般社会で使われている用語ではないものもあり、改善の余地はある。
    • 来年度は、各委員から事前にコメントを頂き、評価内容に反映したいと考えている。


    (委員)

    • 評価した結果この1年はどうだったのか、一般の人がわかるような全体の総括評価が必要ではないか。
    • 学校や独立行政法人では、管理運営ではどうだったのか、研究技術の推進はトータルでどうだったのかという総合的な評価があり、1年間を通してこれを全体としてみてどうだったのか、気象庁全体としてのコメントがあってもよいと考える。

    (気象庁)

    • 今回、基本目標の各関連施策を固まりとし総合的な評価をまとめてみたが、設定した目標は、様々なエレメントから成り立っており、基本目標を全体として総合評価することは現時点では難しいという印象を持っている。今後の検討課題ではあると考えている。


    (委員)

    • 実績評価等の結果(達成度)の表現では、"ほぼ達成"、"未達成"というような5段階評価でいうところの3以下はほとんどないし、取組が"適切でない"等の評価結果も、今回の測定結果のコメントにはない。これを見ると、気象庁は全般的に優秀で全ての目標が達成したようにも読めるが、逆に目標そのものが低く設定されているとも考えられる。その尺度について気象庁で議論はなされたのか。
    (気象庁)

    • 今回評価対象となった13年度の業務目標は、ある程度の難易度が高いものも含まれているが、担当部局における自己申告の目標を中心に設定したこともあり、概ね良い評価結果が得られたのではと考える。達成の難しい目標は掲げにくくなり、また、評価に甘さが出てこないよう、委員の皆様から評価に関して指摘があって改善や発展があると考えている。
    • 目標の設定にあたり、目標のレベル(難易度)を、どう表現していけばよいのかという課題もあり、今後、難易度を明確化できるよう検討を進めていく。また、業績測定等の評価コメントにおける更なる客観化など改善に向けた課題もあると認識している。


    (委員)

    • 精度関連の評価については、適中率を指標としているものと、はずれ・誤差を指標としているものがあり、わかりにくいので、方向性を統一してはどうか。
    • "明日予報が大きく外れた年間日数"という業績指標はあいまいな表現となっており工夫が必要。

    (気象庁)

    • 業績指標に関するご意見募集(パブリックコメント)を経て、それぞれの業務の特性に合わせて指標と目標値を設定しているが、わかりやすい観点から改善すべきものがあれば検討していきたい。
    • 具体的内容については、気象庁の業績指標として個表の形で検索し、見ることができるようにしているが、よりわかりやすい表現とするよう努めていきたい。

    <プログラム評価「火山噴火への対応策-有珠山・三宅島の経験から-」>

    国土交通省のプログラム評価として14年度~15年度の実施テーマとなっている本件について、火山活動の監視・情報提供の状況、情報の利用実態の把握等を視点として火山噴火対策の効果や課題等について総合的に評価を進めていくことについて説明。

    (委員)

    • 専門家の助言も踏まえて取りまとめるとあるが、この懇談会のメンバーが参画する必要があるということか。

    (気象庁)

    • 本プログラム評価については、評価のための検討会又は懇談会を別に設けて、外部有識者からの専門的な意見等を頂き進めていきたいと考えている。この懇談会からも要所要所でご意見を頂きたい。

    <防災気象情報の満足度調査結果及び平成14年度の「気象情報の満足度」調査の進め方>

    平成14年2月~3月にかけて防災関係機関、住民を対象に実施した「防災気象情報の満足度調査」結果について、業務改善にあたっていくことも合わせて説明。また、平成14年度の調査の方向として、天気予報等の国民生活に係る気象情報の満足度・ニーズ等の把握のための調査を行う計画であることを説明。

    (委員)

    • 全体として良い試みであり、今年度も実施すべきと考える。
    • 今回の満足度調査と同じような性格をもっているものとして、世論調査の支持率や株価があり、その調査の結果は絶対的な尺度でなく、景気や外交問題などによって変わるが、だからといってあてにならないというものでもない。満足度の調査結果は、単純な置き換えの業績指標にはならないけれども、政策や施策に取り込むヒントがその中にあり、長期的に見て、流れとして捉えていく必要がある。
    • 気象庁の施策についての業績指標が達成されたことにどんな意味があるのか、国民等にとってどう役に立つのかわからないところもあり、また、業績測定結果と実際に情報を利用している人との実感が合わないことも考えられるので、国民にとっての効果を適確にみていくために満足度調査を行うということだと考える。
    • 満足度調査は、今後も継続して行っていく必要があり、推移を見ていく必要がある。
    • 調査結果からは技術レベルの向上だけではなく、職員の対応や解説のわかりやすさなどの重要性も指摘されており、精度の向上等では測れないこれらの要素についても満足度に反映される。いわゆるアウトプットとしてのサービスと考えた時に、フェイス・トゥ・フェィスでの対応等も含めたものが満足度だと思う。そのような要素を反映する満足度を把握していく必要がある。

    (気象庁)

    • 解説のわかりやすさなどの一つ一つの評価項目の満足度とともに、各評価項目を合わせて、情報の総合的な満足度を繰り返してそれぞれ見ていくので、それらの各評価項目の分析結果から、まず優先して取り組まなければならないことを明確にし、改善することで満足度を上げていくことを考えている。


    (委員)

    • 満足度調査については、非常に結構なことであり、指標とすることについても良いことと考える。
    • ニーズは毎年変わっていくものであり、また、満足度や改善事項は毎年変わるので、一度指標として目標を置いたら、それで何年も固定してやるというのではなく、そのときのニーズに合わせて行っていく方がよいのではないか。この観点からは、毎年のように満足度測定をすることで、客観的に業績が評価されているという見方の方がよい。また、満足度とその他の気象庁の業績指標がペアになって、気象庁が行うことが一般の目から見て役に立っているという評価となるのではないか。
    • 満足度調査はその都度、重点的に改善すべき地域・項目などを見つけていくために利用することとし、一方で災害等によって意識・ニーズも変わり、気象庁がいくら努力しても評価が下がることもあるので、今回の調査結果そのものが業績指標となり得るのか、また、本当に目標を達成できるのか。

    (気象庁)

    • 今回の調査結果は、その時点でのニーズであって、災害が発生すると満足度はドラスティックに変化することになる。個々の改善項目の各エレメントの寄与率を満足度におきかえて、満足度だけを指標としてみてしまうと、社会の変化に伴って必ずしも業務改善の効果が見えなくなるので、それらに耐えうるような形で評価しないと客観的な評価も難しいという印象を持っている。
    • 各情報の満足度を既に業績指標として設定しており、今後、満足度をどう捉えていくか、引き続き整理・検討していきたい。


    (委員)

    • 気象庁として13年度の防災気象情報の満足度の調査結果をどのように扱っていくのか。

    (気象庁)

    • 調査結果の概要は、インターネットにより公表しており、また、調査の結果、自治体等の各気象台に対する評価の内容が不満内容を含めてよく把握されたので、その内容について気象庁内で情報の共有化を図っている。また、今回の調査結果から改善事項が明確になったので、重点的に業務を改善する内容を明確にする形で活用している。


    (委員)

    • 平成14年度の満足度調査として、天気予報等の生活情報について進めることでいいのではないか。
    • 今後の満足度調査では、集中豪雨等イベントのテーマに応じた調査も行うとよい。

    <業績測定の今後の進め方>

    平成13年11月~12月に実施した気象庁の業績指標に係る「ご意見募集」の結果、今後の課題とされた主な事項への当面の取組みの方向性について説明。

    (委員)

    • アウトカム指標をどう設定するか、費用対効果をどのように定量化するかというような課題はあるが、重要で的を得た、核心をついた意見が多く、気象庁としてそれらの課題についてねばり強く色々な可能性についての調査等を進めていって頂きたい。

    <その他全般>

    (委員)

    • 今回の議論を通じて、気象庁の業務評価が着実に実績を挙げていることがわかった。アカウンタビリティや透明性といったことが大事になっている時代であるので、更なる努力を続けられることを期待する。
    • 気象庁の今回の評価においては、ロジカルにきちんと検討しており、すばらしいと思う。

(以上)

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