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「気象業務の評価に関する懇談会」(第3回)の概要

1. 日時 平成14年3月22日(金)10:00~12:00
2. 場所 : 気象庁大会議室
3. 出席者
委員 (石田東生 筑波大学社会工学系教授は欠席)
小林昂 日本テレビ放送網株式会社取締役執行役員専務
(日本民間放送連盟放送小委員長)
小室広佐子 東京国際大学講師
平啓介 東京大学海洋研究所教授
田渕雪子 三菱総合研究所主任研究員
(座長) 廣井脩 東京大学社会情報研究所長
森下俊三 東日本電信電話株式会社代表取締役常務取締役
気象庁 長官、次長、総務部長ほか
4.議題
(1)気象業務チェックアップのための業績指標について
(2)14年度業務目標について
(3)その他
5.議事概要
委員と気象庁の発言概要は次のとおりです。


<気象業務チェックアップのための業績指標について>
 気象庁から、業績指標の素案へのご意見募集(平成13年11月~12月)の内容とそれに対する気象庁の考え方・対応案について紹介し、今回の業績指標は、その設定の第一歩として、技術に立脚したものとしたが、今後、よりアウトカムに関係した業績指標となるよう取り組んでいくことを説明。
(委員)
意見募集の結果を見ると、気象業務への関心の高さが良く分かった。指標は、数値で示しており、各個表にはその目標を具体的にどのように設定したかが明確には書かれているが、一見してわかりにくいので工夫が必要。
目標について、難易度が示されないまま公表され、事後に評価した場合、単に目標が達成できたかどうかだけで評価されるようになりかねない。困難度の高い目標に挑戦して達成できなかった項目に対して、国民からの厳しい評価が出てしまうのではないか。難易度を示していく必要があると思う。
何を基準にして目標値を設定しているのか、その基準があれば、正統性や難易度というものも分かるようになる。例えば、世界 と比較した場合に見比べることができるなど、検討してほしい。
指標名が分かり難い。単に「精度」より、「明日予報が大きくはずれた年間日数」の方が国民は直ぐ分かる。このような工夫をしてほしい。
情報の充実のなかで、どれだけ情報を早く入手できたかなどの迅速性を示す指標も必要ではないか。
評価は身内ではなく、第三者による客観的な評価を行うことができる目標が必要であると主張してきたが、意見募集なども含め改善がなされてきていることに対して満足している。
提出された意見に対する気象庁の考え方・対応案において、なお技術開発に立脚した指標であり今後さらに検討していくことの姿勢は良く分かるが、「今後の検討」、「引き続き検討」などとなっており、例えば、いつまでに何をどうするかなど、もう少し具体的な方向性を明らかにした方がいいのではないか。
台風、地震、大雨などは、何が一番大事であるか順番は付けられないが、過去の経験から、意外に足をすくわれるのは、集中豪雨であり、地域的現象でもあって後手に廻ることがあるので、集中豪雨時における情報提供などの対応についての検討を要望したい。
(気象庁)
目標設定における基準については、指標データの過去の時系列を踏まえた設定や、当面の望ましい目標として設定したことなどを示すことで、妥当性を示す工夫をする。
目標の難易度については、ホームページや報道などのルートで社会に対する情報の提供・還元ができるので、今後、整理し、着実に改善のステップアップを図っていく。
迅速性に関する指標は、社会のインフラに拠るところが大きいこと、各種情報が様々な方法で容易に入手可能となってきていることなどから、気象庁の指標としては設定していない。
意見募集に対する回答振りとして、時間の関係もあり、「今後の検討」などの表現が多くなったが、次年度以降、意見等を踏まえて具体的に更にブレイクダウンして検討していく。社会との関係で、気象庁の情報に対する有効性や満足度などを定量的な指標として表すことができるかどうかは難しい課題であるが、専門家の協力等も受けながらやらなければと考えている。
気象庁において、技術開発そのものについては自らの責任で進めるが、そのための資本の投入と効果の関係(費用対効果)や社会の満足度の指標化などについては、重大な課題であることは十分認識しているが、それらの定量化は技術的に難しい問題もあるので、さらに工夫が必要で時間を頂きたい。
大雨への対応として、土砂災害も含めて集中豪雨に対する警報の改善を進めていかなければならない。重大な災害をどう捉えるかということを含め、地方公共団体、国土交通省等との連携が必要であり、社会との関係を重視して警報の有効性を高めていくための検討を行うととしている。
(委員)
大雨警報について、都市型災害では、交通や電力などは急な対応が必要となるので、改善を期待する。
 また、指標の改善に加え、指標の有効な利用方法の検討も重要。大地震の発生時に防災対応すべき対象エリアをすばやく判断することは難しく、震度情報の精度向上の指標のとおり改善されることを望む。
独立行政法人の評価では、全体評価と個別評価とに分けて、全体評価は定性的なものとしている例がある。気象庁の業務評価についても、世界標準との比較はどうか、コストとべネフィットの関係はどうか、防災活動にどの程度役立っているか、また、気象情報の満足度はどうかなど、様々な視点からの評価があるが、気象庁トータルを定性的に、これらの観点も含んだ総合的な業績指標はできないか。
(気象庁)
気象業務については、これまで徹底した情報開示を行うことで、社会から出された要望等を把握して、業務改善につなげてきた。
大雨警報や推計震度は、社会での有効利用や満足度の観点から、気象庁単独で検討することは、防災・減災の面で限界があることから、関係機関とともに進めていくことが課題である。
技術向上の把握は、技術に立脚した観点でみていくことで可能であるが、それを社会への貢献の観点から見た場合、定量化にどのような意味があるのか、また、気象情報の満足度測定を試行しているが、社会との関係で気象庁の仕事を定量化できるか、その方向が適切かを明確に回答することは現状では難しいところがある。専門家からこうすべきという助言を頂きたいというのが率直なところである。
 現状では、この業績指標の案で進め、14年度以降、更に改善していきたい。
(委員)
費用対効果に関して、海洋の予報やエルニーニョの3・6ヶ月予報がどのくらい社会的効果があるのかについて、米国海洋大気庁が中心となり研究していたので、参考になる。気象業務についても、台風の中心位置予報が何%向上すると、その経済効果はどうなるかを試算できるのではないか。数値予報に必要なスーパーコンピューターの費用に対して、精度向上によりそれ以上に経済効果が大きいということを示せれば良いことだと思う。
各省庁や事業者の中では、気象庁ぐらい測定値が豊富な所はない。確たる測定値を元に数値を築き上げてきた気象庁にとっては、自然科学的な手法ではなく、社会科学や人文科学的な手法の満足度は捕らえ難い存在であると想像はつくが、是非取り組んでもらいたい。満足度の一般的な指標というものは確かに難しく、全省庁を対象に同じ手法を用いて同じ数値を出すというのは現実的ではないので、気象庁自らがフレーム作りから始めて、満足度に関するデータや手法を蓄積していくことが大事なのではないか。その中から物差しとなる指標を見つけ出していければ良いのではないか。
(気象庁)
気象情報の社会における価値や経済効果については、検討に着手している。
気象情報の満足度については、初めてのことで、また他に比べ先行しており、分からない部分がある。
 気象庁の業務評価は全てトライアルである。技術開発に立脚した情報の改善について指標化しているが、ここ5年ぐらいの間には、満足度も測定していく。現在でも、気象庁は様々な分野で改善を試みており、例えば、気象統計データが社会にどのように活用されているのかも調査している。今回の指標についても、技術開発に立脚したものであるが、今後は、社会の満足度やコスト・ベネフィットが求められるので、委員各位とともに、検討を進めさせてもらえればと思っている。


<気象業務に関する14年度の業務目標(案)について>
 気象庁から、施策等と関係して年度ごとに実施・達成すべき具体的な業務内容を「業務目標」として明確にし、その達成度や実績を評価するため、13年度から継続して数値等を再設定する目標と14年度に新規に設定する目標を紹介。公表し、外部からも評価されることも想定し、各部局・職員が目標をもった業務運営ができることを目的として設定したことを説明。
新規の業務目標が出てくる場合は、先ず大きな括りとして施策レベルごとの評価があり、継続する施策を構成している業務の良し悪しの評価があって、そこから足りないものがあった場合に、初めて新たに必要とする施策が出てくるもので、それが明らかになると何故新規として必要なのかが見えてくる。この当りの施策の評価や基本目標レベルの評価はどのような形で行われたのか。
気象庁としてはこう評価するなどを示すことができれば、気象庁全体としての総合評価にも繋がるのではないか。もう一つのアプローチとして、現在の業務云々も大事であるが、気象庁のミッションが何であるのかを示せれば全体評価もでき良いのではないか。
(気象庁)
14年度の新規については、気象庁として、重点事項(基本目標レベル)を達成するため、業務改善には、何が必要かという観点から自ら評価している。現実には、国の予算要求のスキームの中で、財政状況等を踏まえ個々の行政施策の中から気象庁の業務改善に必要で実現可能なものについて、国民との約束事として諸経費を財政当局に要求したもので、その内容に基づき業務目標を設定した。
また、予算要求に当たり省として新規施策の事前評価は実施しており、その際、気象庁の使命と関係したアウトカム目標にも言及している。
(委員)
技術的な業績指標や業務目標について、定性的であり、素人でも分かりやすい表現である基本目標レベルに戻した評価の表現とする工夫を検討してほしい。基本目標について、ある業務目標がどのように貢献し、どれだけの効果があったかなどの観点から書くと、公表しても分かりやすく伝わり、良い評価が得られる。


<気象庁業務評価計画(骨子案)について>
 気象庁から、本日議論して頂いた、中期的な業績指標・目標値と14年度の業務目標の内容を盛り込み、気象庁の業務評価の目的等とともに、14年度の業務評価計画として策定・公表する予定であることを説明。


<満足度調査概要について>
 気象庁から、気象情報の満足度調査について、昨年11月以降の検討経過、調査内容、結果の速報等を紹介し、5月を目途に公表できるよう、分析を進めることを説明。
(委員)
満足度調査は初めてのことであるが、非常に高い回収率であり、調査としては信頼できる結果が出てきている。督促状を出したとは言え、住民向け調査の回収率がこんなに高い理由を知りたいところである。今後、詳細な分析をしてほしい。
報道の役割は、情報を国民に迅速に分かりやすく伝えることであることから、報道機関の満足度は気象庁からの情報がどれだけ料理(加工)しやすいかにかかっており、裏を返すと加工し難いことに不満があるという意識が反映されているのではないか。そのあたりの分析をしてほしい。
住民の気象情報に対する総合評価には、マスコミも関わっているのではないかと思う。その点も含めて分析してもらいたい。
今回、防災意識の高い地域の住民を対象として調査を実施しているが、これらの住民の意識が必ずしも標準とは言えない。普通の住民の満足度やニーズが気象庁の業務改善には必要なのではないか。全国的に無作為に行うなど、今後の予定はどうか。
(気象庁)
どのような調査方法が望ましいか、インターネット上で行うなどの工夫もでき、よく分析したうえで、費用面なども考慮し、今後どうするかを考えていきたい。
(委員)
津波や火山は、特定地域の住民にアンケートするのが妥当であるが、気象・地震は広域や東京などの都市部も対象とすべきと思う。
事業者や情報の利用者ごとに特に関心のある項目に絞って行う方法もある。例えば、ライフライン事業者は地震関係、農業従事者は雨や1ヶ月予報など、情報を使う集団毎にグルーピングすれば、各事業者も協力的になるのではないかと思う。モニター制度の併用も含め調査方法についても勉強してほしい。
詳細な質問も可能であり、経費や手間も係らないグループインタビューについても検討してほしい。
これまでの方法を活用すれば、国民の意識を取り入れるための機能を十分果たせる。これだけ詳細な調査をしたので、データを分析して、今後は目的に応じて、グループインタビューとかワークショップだとかの方法を用いるとよい。また、目的に応じて、調査・把握する項目を絞って、効果的な手段を選択して行うとよい。

(以上)

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