「気象業務の評価に関する懇談会」(第1回)の概要
- 日時 : 平成13年8月3日(金)13:30~15:30
- 場所 : 気象庁大会議室
- 出席者 :
委員
石田東生 筑波大学社会工学系教授
小林昂 日本テレビ放送網株式会社取締役執行役員専務(日本民間放送連盟放送小委員長)
小室広佐子 東京国際大学講師
平啓介 東京大学海洋研究所教授
田渕雪子 三菱総合研究所主任研究員
廣井脩 東京大学社会情報研究所長
(森下俊三 東日本電信電話株式会社代表取締役常務取締役は欠席)
気象庁
長官、次長、総務部長ほか - 議題
- 懇談会における検討内容について
- 気象庁における評価活動イメージと今後の課題について(意見交換)
- 議事概要
- 廣井委員を座長に選出
- 懇談会において意見・助言等を頂く内容の確認
- 気象庁の現状及び施策等について紹介
- 気象庁における評価活動イメージと今後の課題について、気象庁が平成13年度に取り組んでいる業務目標も参考として、委員から出された発言概要は次のとおりです。
- 気象庁が試行的に取り組んでいる13年度の独自の業務目標については、目標と指標の区別が不明であり、分かり難い。ここで指標とは、具体的な目標ということだと思う。
- 業績指標は、原則、毎年測定し、継続できるもので、より国民的視点のアウトカム(施策等により提供されたサービス等(アウトプット)の結果として生み出される成果なり効果等)であることが望ましいことは言うまでもないが、実際にはその設定は難しく、良い知恵がないか探している状況ですっきりしたものはない。情報提供が基本である気象業務について言えば、急ぐ必要もないが、現状は、観測施設の整備等のインプットとか活動に関する目標が多いので、今後は工夫の余地があるのではないか。
- 現在のように業務に関する基本目標を立て、それに係る業績指標を設定して評価を行うとやりやすいと思うが、①国民本位の効率的で質の高い行政の実現、②成果重視の行政への転換、③国民に対する説明責任(アカウンタビリティ)を果たす、④仕事の進め方の改善、職員の意識の向上という理念そのものについて業務目標・業績指標に設定するのは難しい。国民は結果的にどのように改善されるのか期待しているところであり、そういった意味での指標を設定し評価できるかが重要。
- 業務の効率化や職員の意識向上を掲げているが、業績目標等の設定にあって、これをどのように関連させていくかを今後の課題とすべきである。
- 懇談会において、第三者から評価を受けていることを職員に周知するだけで、職員の意識向上になるといった効果があると思う。
- 13年度の気象庁の業務目標は、気象庁自らの体力・技量の向上を目指すことに尽きているように感じる。つまり、この体力・技能が向上した結果が、どのように反映され、どのように気象業務が改善され、国民にとってどのような効果があるのか触れられていない。例えば、野球の選手で考えた場合、13年度の目標は、練習計画、練習目標、キャンプにおける目標は立てたが、シーズン中の試合にどう生かすかを示していない。14年度の取組みとしては、このキャンプ計画に加えて、どう勝利していくか、そして誰が評価するのかを明確にすべきである。
- 民間企業では、売上が外部評価、つまりお客様の評価の一尺度であり、更に株価も数値として明確である。言わば、客観評価を常に受けている。このような他者から評価を受ける仕組みを作るべきである。他者の評価としてアピールした方が良いと思う。
- 気象庁の「より速く、より正確に、わかりやすい」のキャッチコピーは素晴らしい。民間企業で言えば、評価目標はこの3つで十分である。それを満たせば○、達しなければ×ということであり、これが民間の日頃の物の見方である。分かりやすさを満たすような業務を行い、国民から評価を受けるべきであり、それができて初めて気象庁が評価を受けたということではないか。
- 気象業務についても、ユーザーである防災機関・大学、国民にアンケートをとっても良いのではないか。評価の流行り言葉となっている「顧客満足度」を測ってみると良いのではないか。
- 気象庁が有する技術的ソフトウェアを開示することにより、民間気象事業の技術向上など、どれだけ社会の役に立っているかを、その提供件数だとか特許の数だとかで測ることができれば良いのではないかと思う。こういったものを業績目標、業績指標として、来年度の設定でも良いので、入れる可能性がある。気象業務についても、世の中でどれくらい役立っているか、こういう活用がされているとかをもう少し積極的に広報するために、どういうことが含まれていれば説得力があるのかを考えれば良い。
- 天気予報の適中率と最低気温予報の精度は素晴らしいアウトカム指標である。他にもいろいろなアウトカム指標は準備できると思うが、13年度の目標・指標には、たくさん素晴らしいデータが含まれているはずだが、それが必ずしも表に見える形で出てきていない印象を受ける。
- 例えば、上空の風を連続的に観測するウインドプロファイラを25箇所に整備するとあるが、これがアウトカムの向上にどのように貢献するかが分からない。理論的には極めて難しいとは思うが、活動計画の企画段階では、担当者には、そのような活動計画の結果、期待されるアウトカムが意識されているはずで、職員間の議論を通して、そういうことが常に意識されることによって、更に効率的、効果的なアウトカムの飛躍・向上が見込まれることが、評価の本来の目的であろうと思う。
- コストパフォーマンスを向上させる観点からは、コストに関する情報も必要。また、説明責任の観点から、何をこれからどのようにしていくかという目標設定に当たり、現状の把握に関する情報も必要。さらに、目標値の設定根拠について説明がなされるべきである。
- 自己評価も良いが、国民のニーズをどのように反映させていくか工夫が必要である。また、業績目標・指標を導入した場合、どのような効果があるのか、その関連を説明する必要がある。13年度の目標は、アカウンタビリティの観点からは不十分である。さらに、4つの理念に対する業績目標・指標を具体的にすべきであり、目的と効果をどうチェーンで結ぶかを考えるべきである。14年度の場合には、これらの観点から工夫するべきである。
- 数値化に馴染まない目標もあるが、それらをどう分かりやすく国民に示していくかも重要である。
- 各部局が自ら目標を持った業務運営を先ずは目指すというボトムアップ形式で気象庁の業務の評価を進める方法と、骨太のものを3本か4本の柱を立てて、これに関するいくつかの指標を設定して進める方法があるので、評価目的に応じて適宜活用すべきである。
(以上)