気象業務はいま 2020

はじめに

 気象庁の任務は、台風・集中豪雨等の気象、地震・津波、火山、さらに気候変動などに関する自然現象の観測・予報等と、その情報の利用促進を通じて、気象業務の健全な発達を図り、これにより安全、強靭で活力ある社会を実現することにあります。

 昨年も、台風や梅雨前線により多くの被害が発生しました。特に、9月の令和元年房総半島台風(台風第15号)や10月の令和元年東日本台風(台風第19号)では、記録的な大雨や暴風により、東日本を中心に甚大な被害が生じました。これらの災害により犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、災害に遭われました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 気象庁では、これらの災害を受け、政府全体の防災対応の取組強化の検討に積極的に参加するとともに、関係省庁とも連携しながら防災気象情報の改善に取り組み、令和2年3月には「防災気象情報の伝え方の改善策と推進すべき取組」を取りまとめたところです。

 また気象庁は、このような防災気象情報の改善に取り組むとともに、地域で防災対応を行う自治体等の関係機関を支援する取組を強化しております。平成30年度に創設された「気象庁防災対応支援チーム(JETT)」は、令和元年も各地の被災自治体等の防災対応を支援しました。

 今回の「気象業務はいま」では、特集として激甚化する豪雨災害から命と暮らしを守るための防災気象情報の伝え方の改善や、防災気象情報を支える新たな技術を取り上げ、これらの気象庁の取組を紹介するとともに、トピックとして、昨年5月から提供を開始した「南海トラフ地震臨時情報」、津波警報等の視覚による伝達のあり方の検討、雪に関する新たな情報、台風に関するハイレベル東京会議、海域・南極等で地球環境を見守る取組、気象情報やデータのビジネス等での活用等を、また、コラムとして関係者の声や気象庁の最近の動きを取り上げております。

 本年に入りましてからは、新型コロナウイルス感染症対策等が進められておりますが、そのような中、原稿作成にご協力いただいた関係機関の皆様に感謝を申し上げます。気象庁では、感染拡大防止対策を講じながら、国民生活に不可欠な防災気象情報の発出を継続してまいります。

 多くの方々が本書に目を通され、気象業務への皆様のご理解が深まりますとともに、各分野で活用されることを期待しています。

 令和2年6月1日

気象庁長官 関田 康雄

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